経営トップの引き際:お金と地位に固執せず、高い志を持つ
△概要
2015年6月、城南信用金庫の理事長を退任した吉原毅氏は、経営トップの引き際の重要性を強調しています。彼は2010年に理事長に就任し、役職の60歳定年制と理事長の任期を最長4年とする制度を導入しました。この制度は、長期政権の弊害を防ぎ、役職者と職員の平等を図るためのものでした。吉原氏は、経営者にとって最も重要なのは志であり、社会貢献の意欲が事業の継続に不可欠だと述べています。経営者が地位に固執するのは拝金主義が根底にあると指摘し、年数制限の必要性を訴えています。定年後は顧問や相談役として知見を活かし、権力から離れたところで活躍することが望ましいとしています。吉原氏自身も定年後に社会貢献活動を行い、充実した生活を送っていると述べています。
□長期政権の弊害と定年制の導入
○吉原氏は、長期政権の弊害を防ぐために、理事長を含む役職の60歳定年制を導入しました。長期にわたるトップの在任は、周囲とのコミュニケーション不足や社内の状況把握の困難さを招き、暴走を引き起こす可能性があります。この制度は、役職者と職員の平等を図るためのものであり、役員間の差をなくし、全員の年収を同等にすることを目指しました。役員は最高の役職であり、誰かから評価されるべきではないと考え、評価者に従うことを避けるための措置です。
□経営者に必要な志と社会貢献
○吉原氏は、経営者にとって最も重要なのは志であり、新たな製品やサービスを生み出し、世界を変えることにロマンを感じることが必要だと述べています。社会貢献の意欲が事業の継続に不可欠であり、目先のお金に固執することは避けるべきです。経営トップの座に固執するのは拝金主義が根底にあると指摘し、経営者の進退は自ら決めるべきであり、第三者に決めさせるのは難しいと述べています。
□年数制限の必要性と定年後の活躍
○経営者が長期的な視点で経営を行うためには、年数制限が必要だと吉原氏は訴えています。株主の評価を気にしすぎると、経営者は自分で考えなくなり、右顧左眄するようになり、小粒な経営者になってしまいます。定年後は顧問や相談役として知見を活かし、権力から離れたところで活躍することが望ましいとしています。企業ガバナンス強化のため、顧問や相談役を否定する動きもありますが、取締役が最高意思決定機関を形成し、顧問や相談役の意見をはねのけることができると述べています。
□吉原氏の定年後の活動と引き際の重要性
○吉原氏自身、定年後は社会貢献活動を行い、充実した生活を送っています。経営者は引き際が大切であり、権力に固執せず、社会に貢献することが重要だと身をもって感じています。彼の経験から、経営者は自らの引き際を見極め、次の世代にバトンを渡すことが組織の健全な発展につながると考えています。