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伊藤園の広報戦略を考察する

伊藤園は、日本の飲料メーカーで、特に緑茶飲料「おーいお茶」で知られます。1966年に設立され、ペットボトル入りの緑茶を世界に広めました。製品の品質と多様性、環境への配慮、グローバル展開を特徴とし、国内外で高く評価されています。
今回は伊藤園「おーいお茶」の広報戦略を考察し、そこから学ぶべき点を書いていきます。

今回、長文になってしまったので先に結論を書きます。考察が気になる方は読み進めていただけると幸いです。

まとめ

伊藤園は、大谷翔平選手とのグローバル契約発表に際して、多様なメディアを活用する戦略を展開しました。伝統的なメディアからSNS、動画コンテンツ、公式ウェブサイトまで、幅広いチャネルを利用することで、情報を効果的に拡散し、ファンとのエンゲージメントを高めました。この戦略は、伊藤園のブランドイメージを強化し、大谷選手との契約を通じて新たな価値を創出する上で重要な役割を果たしたといえるでしょう。

伊藤園HPより

伊藤園の広報戦略

大谷翔平選手とのグローバル契約発表に際して展開した広報戦略について、その手法や成果を振り返りながら、我々が学ぶべき点を探っていきたいと思います。

伊藤園は2番手?

伊藤園が大谷選手とグローバル契約を締結したのは、実は他社に遅れを取っていました。一体いつ頃、どの企業が先に締結していたのでしょうか?

実は伊藤園以外に13社もの企業が、すでに大谷選手とスポンサー契約を結んでいます。コーセー、セイコー、セールスフォースなど、一部の企業名は報道やCMで目にする機会がありましたが、半数以上の企業は正直知りませんでした。

伊藤園は14番手

伊藤園より先に大谷選手とグローバル契約を結んだのは、日本の化粧品ブランド「雪肌精」のコーセーでした。2023年元旦にビジュアルが公開され、テレビCMや広告、看板などで大々的に展開されていましたね。ですが、コーセーのCMを見ていても、グローバル契約だと知っている人は少なかったのではないでしょうか?

そして伊藤園は、実に14社目のスポンサー企業として大谷選手とグローバル契約を結んだのです。かなり後発組と言えますね。

一方で、一般の私たち消費者はテレビCMや広告で「契約した」ことを知るだけで、具体的な内容までは分かりません。(企業HPや大谷選手のオフィシャルサイトから詳しい情報を得ている場合は別です)

費用対効果を最大化する戦略

投資家とは違い、一般消費者の関心はその程度ですよね。企業側としては、有名選手起用によるイメージアップで費用対効果が出れば十分なのでしょう。

しかし、伊藤園は14社目のスポンサー契約、グローバル契約でもコーセーに1年以上遅れを取った2番手でした。先行して契約した13社の費用対効果は最大化できていたのか、伊藤園の広報戦略を見ることで、何か学ぶべきヒントがあるかもしれません。

以下に13のスポンサー企業を書き出します。

コーセー(KOSE)
化粧品ブランドとのグローバル広告契約。

セイコー(Seiko)
時計メーカーとのサプライヤー契約。

セールスフォース(Salesforce)
IT企業とのスポンサー契約。

西川
寝具メーカーとのコンディショニングサポート契約。

New Balance(ニューバランス)
スポーツメーカーとして、ウェアを提供。

Oakley(オークリー)
アイウェアのブランドとのパートナー契約。

Porsche(ポルシェ)
高級車メーカーとのアンバサダー契約。

JAL(Japan Airlines)
航空企業とのサポート契約

三菱UFJ銀行
金融ブランドパートナーとの契約。

興和
医薬品、健康関連商品の企業とのスポンサー契約。

Fanatics(ファナティクス)
アメリカのスポーツ用品やグッズの製造・販売会社とのライセンスパートナーシップ契約。

HUGO BOSS(ヒューゴボス)
ファッションブランドとのパートナー契約。

明治「SAVAS(ザバス)」
プロテインブランドとのサポート契約。

伊藤園の広報戦略を知る

伊藤園「おーいお茶」のV字回復

1980年代から日本の緑茶市場に革命を起こした「おーいお茶」。その名を知らぬ日本人はいないといっても過言ではないでしょう。しかし、どんなに成功を収めたブランドでも、時には厳しい局面に立たされることがあります。伊藤園が「おーいお茶」で直面した困難と、その後の見事なV字回復についてお話しましょう。

逆風の中で

1990年代後半から2000年代初頭にかけて、日本の飲料市場は多様化し、競争が激化しました。炭酸飲料やコーヒー飲料、スポーツドリンクなどの市場が拡大する中、緑茶飲料の売上は伸び悩むようになりました。さらに、伊藤園自身も製品ラインナップの多様化により、「おーいお茶」のブランド力が相対的に弱まるという課題に直面しました。

戦略の見直し

伊藤園はこの状況を打開するため、いくつかの戦略的な取り組みを行いました。その中でも特筆すべきは、次のような点です。

製品の品質向上: 伊藤園は「おーいお茶」の製造過程や原材料に対する取り組みを強化し、品質向上に努めました。特に、茶葉の厳選と新しい製造技術の導入により、緑茶の風味をより引き立たせることに成功しました。

ブランドイメージの再構築: 消費者にとっての「おーいお茶」の価値を再定義するため、ブランドの再構築に力を入れました。特に、「日本らしさ」を強調し、緑茶の伝統と文化を取り入れた伊藤園の広報戦略を考察プロモーションを展開しました。

環境への配慮: 伊藤園は、環境に優しい企業としてのイメージを強化しました。「おーいお茶」のペットボトルはリサイクル素材を使用し、持続可能な取り組みを積極的に推進しました。

V字回復の成果

こうした取り組みの結果、「おーいお茶」は再び成長軌道に乗り、緑茶飲料市場での地位を取り戻しました。ブランドイメージの再構築によって、若い世代にも緑茶の魅力を訴求することができ、売上は急激に回復しました。さらに、環境への配慮を通じて、社会的責任を果たす企業としての評価も高まりました。

成功事例から学ぶ

「おーいお茶」のV字回復は、企業が困難に直面したときにどのように再起を図るべきかという示唆を与えてくれます。品質向上、ブランドイメージの再構築、環境への配慮など、様々な取り組みが成功を導き、伊藤園は再び緑茶市場のリーダーとなりました。この成功例から、多くの企業が学ぶことができるでしょう。

メディア戦略

ブランドイメージ維持・向上が課題

伊藤園は「おーいお茶」をはじめとする緑茶飲料で多くの人々から親しまれていますが、激しい競争の中でブランドイメージを維持・向上させていくのは決して容易なことではありません。

そこで今回、世界的な大スター選手である大谷翔平選手とのグローバル契約を機に、戦略的な広報活動を展開することになったのです。

多様なメディアで幅広いリーチを確保

伊藤園はこの契約発表に際して、伝統的なメディアからデジタルプラットフォームまで、多様なチャネルを使い分けました。この戦略により、幅広い層にリーチできたことが大きなポイントです。

特に大谷選手がMLBの世界的スターであることから、海外メディアへの露出も果たせたのは大きな武器となりました。

SNSを活用してファンエンゲージメントも

Twitterや Instagram、Facebookなどの主要SNSを駆使し、契約発表の情報をファンと共有。さらにはキャンペーンなどを仕掛けてファンとのエンゲージメントを高める工夫もありました。

動画でブランドストーリーをわかりやすく

動画コンテンツも重視されました。大谷選手のスポーツマンシップや、伊藤園の緑茶飲料の健康的なイメージを視覚的に訴求し、ブランドストーリーを分かりやすく伝えています。

公式サイトで詳細情報を提供

公式ウェブサイトでは、メディアで報じられた内容以上に、伊藤園と大谷選手の関係性や、今後の施策について詳しく解説。他のメディアへのリンクも設置するなど、情報の連携を図っていました。

このように伊藤園は、マスからデジタル、ワンウェイからインタラクティブまで、多様なメディアを組み合わせた広報戦略を展開。話題性も高め、ファンエンゲージメントも構築しながら、グローバルなブランディングを実現したのです。

企業にとってメディアの有効活用は極めて重要な要素です。伊藤園の事例から、私たちも様々なヒントを得られるのではないでしょうか。

学び真似ること

多様なメディアを活用する戦略を展開

*伝統的なメディアからSNS
*動画コンテンツ
*公式ウェブサイト

これらの方法で情報を効果的に拡散し、ファンとのエンゲージメントを高めた手法は素晴らしいですね。テレビCMや新聞広告などの伝統的メディア(マス広告)は拡散力がありますが、費用も高額になります。また、メディア報道を上手に利用する伊藤園の手法は他社では見られず、高く評価できます。この部分を真似るのは正直難しいでしょう。

しかし、「SNS」「動画コンテンツ」「公式ウェブサイト」といった手法ならば、マス広告ほどの多額の費用をかけずに、少人数のチームでも十分に取り組めます。自社のSNSが未整備で、公式ウェブサイトの運用が不十分、コンテンツ作成に悩んでいる方々におかれましては、ご相談いただければと思います。

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