初恋の話

高校生くらいまでは、自分が惚れっぽい性格と信じて疑っていなかったけれど、それが告白とかお付き合いとかそういうものにつながることは皆無だった。

幼少期に病気をして寝たきりの時期があり、そこで肥満遺伝子が一斉に目を覚ました。
そこから私はずっと太っている。もちろん今も。
小学校の時は、ピーク中のピーク。それはもうマトリョシカみたいだった。針で刺したらパン!と弾けそうなくらい。

だからお笑い要員で人気はあったけれど、それが恋愛に結びつくことなんてなかった。
周りに合わせて、誰が好きだーなんだーと言っていた気がする。

初めてこの人とじゃなくちゃ嫌!と思ったのは高校三年生の時。いわゆる、初恋

二年でクラスが一緒だった、坊主でがっしり、共働きの親の代わりに妹たちの面倒を見てるような朗らかだけど力強さがある同級生を好きになった。(今思うと昭和のど根性アニメの主人公みたいな人だった)

彼とは三年になってから付き合ったけれど、私がメンヘラだったのが原因で三ヶ月くらいでお別れした。このはなしはいつかどこかでしようと思う。

話は戻るが、初めての恋は自分史上最高に、狂おしいほど素敵だった。
実際は、高校三年生の多感な時期なのに、キスもしなければ手を繋いだのも一度だけ。
お互いの誕生日も過ぎていたからお祝いもしなかったし、デートは本屋だし(彼は筋金入りのオタクだった、武器とか厨二っぽいものが大好きだったので情報収集に余念がなかったのを覚えてる)、今思えば何が楽しかったのかというような思い出しかない。
そもそも、お付き合いした期間が短過ぎて思い出もそんなに多くない。

忘れられない思い出があるとしたら、2つ。

初めて手を繋いだ時に汗をかきすぎて恥ずかしかった私が、手を離した後ハンカチで急いで手を拭ったのを彼がすごく複雑な顔で見ていたこと。

学校帰り反対方向の私の家まで自転車で一緒に帰ってくれて、別れ際に頭をぽんぽん撫でてくれたこと。
これを父に見られ、恥ずかしい尋問を受けた。

改めて文字にして読むと、めちゃくちゃ甘酸っぱい思い出だ。ザ高校生だ。人がえ?と思うようなことが全部美化されている。

お陰で私はこの彼をたっぷり5年は引きずった。
大学では一人も彼氏を作らなかったし、25歳まで処女を貫いた。

それくらい、彼のことが好きだったんだと思う。本当に好きな人と、添い遂げたかったんだと思う。

まあ、現実、そんなのは3ヶ月で別れた男と叶うわけもなく、変におとなになった私は軽く道を踏み外し。せっかく守ってきた大事な処女膜も、金魚すくいのポイみたいに呆気なく酷い有様で破ってしまった……(でも後悔はしていない)

こんなにもどかしくて遅熟で面白くもない初恋を大事に思ってしまったから、私は今こんなにいろんなことをこじらせているんだろう。

ある意味彼には感謝しかない。
1つ文句をいうなら、あの時セックスとは言わないまでも、キスくらいはしてくれといたらよかったのに、ということだけ。
その頃の私は純朴そのものだったので到底無理だっただろうが。

こんなおままごとみたいな恋しかしたことのない女が、初めてあった男とも寝るようになるまでの話をこれから少しずつしようと思う。
楽しみだ。

あと、メンヘラは高校を卒業したらすぐに治った。原因が進路だったから。
そこからはまたありえない性格改変が起きて、今や私は爆裂ポジティブ能天気系女子だ。

初恋をこじらせると人は色んな意味で歪む。
いまはかなりスパイシーな人生だ。
この思い出はずっと大事にしていこうと心に誓っている。

#アラサー女子 #初恋 #こじらせ #独白

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