インド・タミルナドゥ州の活動制限について
私が住むチェンナイはインドの南部タミルナドゥ州にあります。
2021年5月1日時点で、一日の感染者数がインド全土で40万人を超え、タミルナドゥ州は1万8千人を超えています。
(出典:Aarogya Setu)
この数字はムンバイがあるマハラシュトラ州の6万2千人、ベンガルールがあるカルナタカ州の4万8千人、首都ニューデリーがあるデリー準州の2万7千人に比べ多くはないものの、深刻な状況です。
第2波を受け、タミルナドゥ州では2021年4月10日から段階的に活動制限を強化してきてます。
今回は活動制限が強化されていく様子をまとめました。
(活動制限の内容については、ジェトロのビジネス短信をもとに記載しています。)
1.4月10日より夜間営業を制限
4月8日にタミルナドゥ州政府より以下の通達が出されました。
4月10日より以下の活動制限が課されるとの由でした。
・事業者は標準行動手順(SOP)を厳守することで、操業することができる。事業者はガイドラインに基づき、従業員へのワクチン接種を手配しなければならない。
・バスの運行(プドゥチェリー連邦直轄領、カルナタカ州、アンドラ・プラデシュ州間を含む)は継続されるが、乗車人数は座席数までに制限し、立ったままの乗車は不可。
・食料品店やショッピングモールなどの全ての店は午後11時までの営業となり、収容可能人数を半数以下に制限。
・レストランなどの飲食を提供する店は午後11時までの営業となり、収容可能人数を半数以下に制限。食事の持ち帰りも午後11時までの営業に制限。
・屋内施設で行うあらゆるイベントの収容人数は最大200人に制限。
・展示会場の利用は商業目的に制限。
・タクシーなどの利用は、運転手を除いて3人までの利用に限る(既に適用されているが、履行の徹底)。
・オートリキシャの利用は、運転手を除いて2人の利用に限る(同上)。
・州外(プドゥチェリー連邦直轄領、カルナータカ州、アンドラ・プラデシュ州を除く)からの移動には「eパス(許可証)」が必要(同上)。
この時点で、デリー準州は午後10時から翌日朝5時までの外出禁止令を施行しており(4月6日通達、発効)、マハラシュトラ州では夜間外出禁止に加え、週末のロックダウン(終日外出禁止)、製造業や特定業種を除いた民間事業所の閉鎖措置がなされていました(4月5日発効)。
このころのタミルナドゥ州の一日の感染者数は5千人程度で、活動制限は比較的緩やかでした。
夜間を除けばこれまで通り日常生活を送れる状況にあり、逼迫感はありませんでした。
写真は某レストランの厨房の様子ですが、昼間は通常営業しており、従業員たちもノーマスクです。
2.4月20日より日曜日の活動を厳しく制限
こちらの通達も発効の2日前(4月18日)に発出されました。
・日曜日は、レストランは持ち帰りに限り、制限された時間(午前6時~午前10時、正午~午後3時、午後6時~午後9時)のみ料理の提供が可能。宅配サービスは食料品に限り、上記制限時間のみ営業可能。
・食料品店やショッピングモールなどの全ての店は、日曜日は営業不可(ただし、野菜や新聞、医薬品などの販売に一部例外あり)となり、日曜日以外も午後9時までの営業とし、収容可能人数は半数以下に制限。
・夜間と日曜日のあらゆる移動を禁止。ただし、病院や空港・駅へのタクシー、オートリキシャによる移動、医療や食料品、貨物、ガソリンなどの必要不可欠な輸送と、ガソリンスタンドの営業は可能。
・連続生産をする工場、必需品を製造する工場は操業可能だが、事業者は従業員に許可文書ないし職員証を持たせなければならない。
・IT企業は少なくとも従業員の半数以上を在宅勤務させる。
・民間病院と共同でホテルを新型コロナウイルス感染患者専用の施設とすることが可能。その場合、他の宿泊客を建物内に入れてはならない。
日曜日の活動が著しく制限されました。
この段階ではタミルナドゥ州の一日の感染者数は1万人を超えていました。
私自身も感染者(インド人)との接触歴があったためPCR検査を受けることとなりましたが、幸い陰性でした。
この時期になると、完全在宅勤務体制とする日系企業も増えてきました。
しかし、依然として製造業関連の企業は出勤しており、酸素不足に伴う生産調整や、夜間外出禁止令に伴う夜間シフトの見直し等の対応に奔走している様子でした。
3.4月26日より更なる活動制限
こちらの通達も発効の2日前(4月24日)に発出されました。
・レストランなど、飲食を提供する店は、テイクアウトサービスのみ可能。
・Eコマースサービスは、制限された時間帯のみ営業可能。
・ショッピングモールなどの大型複合施設は、営業不可(入居する食品販売店などの営業も不可)。
・独立店舗型の食料品店は、50%以下の収容人数であれば営業可能。
・プドゥチェリー連邦直轄領を除く、州外からTN州への移動には「eパス(許可証)」が必要。
・映画館、ジム、バー、会議施設、理髪店、美容院などの閉鎖。
飲食店でのイートインができなくなり、外出は実質的には食料品の買い出しのみとなりました。
当地の日系企業が駐在員を日本へ一時退避させる動きが出始めたのがこの時期です。
なお、通達文はなかなか難解な文章で書かれていますが、twitterではGreater Chennai Corporationといった政府および関係組織が要点をおさえ、やってもいい事、やってはいけない事が非常にわかりやすい形で発信しています。
こちらが現在の活動制限の状況で、5月1日以降も次の通達があるまで継続されます(4月29日に無期限延長の旨、通達)。