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「和文英訳演習室」に挑戦 2024年11月号

はじめに

 毎月、演習室に投稿してきて今回で12回目となりました。丸一年分の課題をやったことになります。この一年で英語力はのびたでしょうか。
 本当は過去の課題もしっかり復習をしたいのですが、なかなか時間がつくれていません。とりあえずは、すこしでも成長することをねがって、これからも投稿はつづけていきます。

 「そもそも演習室ってなに?」という方は↓の記事をご覧ください。




今回提出した訳文

       Here are some money tips in going abroad:
       First, besides cash, take with you three or more credit cards. A card offering international cash withdrawal service eases worries, allowing you to directly withdraw local currencies from ATMs.  Confirm to the credit-card company whether your card offers this service. Cash still talks even in societies going cashless around the world. After the COVID-19 pandemic, visiting Pingtung County in southern Taiwan, I mainly shopped at markets, independent shops, and farms. About half of them only accepted cash.
       Second, for a longer trip, leave a note of your credit card numbers for your family, your confidant, and of course, yourself. This note helps when you lose your cards. You might check the numbers online, but people (especially me) often forget passwords and waste time. A handwritten note means a lot.
       Third, without fail, carry with you two types of wallets. The primary wallet has two credit cards and much cash in it, and the secondary a card and a little.

 山脇りこ(2023)『50歳からのごきげんひとり旅』だいわ文庫, pp. 40-41
 出題者:磐崎弘貞先生・Jim Elwood先生


全体の感想など

 今回の課題文は、海外旅行のときお金をどうするかというエッセイですね。口語的な省略がおおいので英訳する際には適宜、コトバをおぎなう必要がありました。
 また、キャッシング、メモ、アナログ、メインとミラーなど、いわゆるカタカナ語が多くでてくるので、それらをどう自然な英語にするかも今回の課題のポイントかなとおもいました。


第1段落、第2段落

 全体の内容としては「わたしはいつもこうしている」という文章ですが、暗に「あなたもこうしたらいい」というアドバイスもふくんでいます(でなければ2-3のような文はでてこないはずです)。
 なので、今回はおおきく3つのアドバイスを読者に伝える英文としてまとめていきたいとおもいます。
 まずは1つめのアドバイス。

1-1海外に行くときは、私はちまちま対策をしています。
2-1まず、現金のほかに、クレジットカードを3枚は持っていきます。 2-2現地のATM で直接現地通貨が引き出せる=海外でのキャッシング機能がついているカードが1枚はあると安心です。 2-3可否はカード会社に確認してください。


1-1

海外に行くときは、私はちまちま対策をしています。

 素直に「私は〜する」という英文にしてもいいですが、Here are 〜 として第2パラグラフ以下に列挙される内容の導入にしたほうがスムーズだとおもいます。
 「ちまちまとした対策」は、tips(コツ)をつかうと語感があっているかもしれません。これらはお金にかんするtipsなのであらかじめmoneyで限定しておいたほうが具体的でわかりやすいでしょう。
 「海外に行くとき」はwhen I go abroadと副詞節でもいいですが、in (my) going abroadという副詞句にしておいたほうがひきしまりそうです。


Here are some money tips in going abroad: 


2-1

まず、現金のほかに、クレジットカードを3枚は持っていきます。

 「のほかに」はin addition toがつかえるとおもいますが、語数を削るためにbesidesにしておきます。
 「3枚は」ということは3枚以上もっていくということです。more than threeとすると3はふくまず4以上のことになってしまうので、at least threeまたはthree or moreがいいでしょう。
 「Oを携帯してください」は、take O with youが通常ですが、2-2でOにあたる部分の話がつづくので、take with you Oの語順にしておきます。


First, besides cash, take with you three or more credit cards.


2-2

現地のATM で直接現地通貨が引き出せる=海外でのキャッシング機能がついているカードが1枚はあると安心です。 

 このイコールの使い方はなんか日本語独特って感じがしますね。「つまり」とか「すなわち」という意味なのでしょう。課題文と語順が前後してしまいますが、先に「海外でのキャッシング機能つきカードがあると安心」とかいて、それがどういう機能かをあとで具体的に説明するほうが自然かもしれません。
 英訳する際には、クレジットカードの英語版のページなどをみながらつかえそうな表現をひろって組みあわせました。ATMはそのまんまATMでいいんですね。

 ところで、この「安心」というのはどういうことでしょう? 「ほっとする」「おちつく」と訳してしまうとヘンな感じがしますね。消極的には「心配事がなくなる」とか、あるいは積極的に「便利である」といいかえるとわかりやすいかもしれません。ここではease worriesとしました。


A card offering international cash withdrawal service eases worries, allowing you to directly withdraw local currencies from ATMs.


2-3

可否はカード会社に確認してください。

  「可否」とは、つまり「海外でのキャッシングができるかどうか」ということですね。


Confirm to the credit-card company whether your card offers this service.


第3段落

 この段落は第2段落の補足的な内容ですね。第2段落とつなげてひとつのパラグラフにしました。

3-1世界中でキャッシュレスは進んでいますが、やはり現金も必要です。 3-2コロナが落ち着いた後に行った台湾の南の方(屛東)では、市場や個人商店、生産者さんを中心にまわったからか、半分は現金のみでした。


3-1

世界中でキャッシュレスは進んでいますが、やはり現金も必要です。

 「現金は必要」はYou[We] need cashでいいかもしれませんが、もっとしまった表現にしたいところです。Money talks(金がものをいう)という慣用的な表現がありますが、この主語をCashとすれば「現金には影響力がある」となります。
 cashless societyで「キャッシュレス社会」、go cashlessで「キャッシュレスになる、キャッシュレス化する」なので、それらを組み合わせて以下のような英文にしました。


Cash still talks even in societies going cashless around the world.


3-2

コロナが落ち着いた後に行った台湾の南の方(屛東)では、市場や個人商店、生産者さんを中心にまわったからか、半分は現金のみでした。

 「まわる」というのは「買い物して回る」ことですね(提出した英文ではshopにしましたが、go shoppingのほうがよかったかもしれません)。
 はじめI visit Pingtung Country in southern Taiwan, mainly shopping at…というふうに後半を分詞構文にしましたが、話の中心は買い物のほうなのでvisiting Pingtung Country in southern Taiwan, I mainly shopped at…というふうに前半のほうを分詞構文にしてみました。

 市場はともかくとして、個人商店、生産者さんを訳すのはすこしむずかしいですね。「個人商店」は個人経営の店ですが、大企業の直営や支店ではないお店はindependent shopでいいみたいです。「生産者さん」はおもに第一次産業、農業や畜産業にたずさわる人たちのことでしょう。ひとまずはfarmsとしました。

 「(彼らの)半分は現金のみ(しか受け付けません)でした」ということなので、単語をおぎなって英文にしました。接続詞や分詞構文で全体を一文にまとめてもよかったのですが、長い文になると内容がボヤけるような気がしました。いちばん伝えたいであろうことを、独立した短文としてかくことにしました。


After the COVID-19 pandemic, visiting Pingtung County in southern Taiwan, I mainly shopped at markets, independent shops, and farms. About half of them only accepted cash.


第4段落

 2つめのtipsですね。

4-1それから、少し長めの旅の場合、家族や信頼できる人に、カード番号のメモをあずけておきます。 4-2もちろん、そのメモは自分でも持ちます。 4-3カードを無くしたときのためで、ネットでマイページに入ればわかるじゃんと言われそうですが、私はパスワードとかしょっちゅう忘れて手間取るので、アナログな備えもしています。


4-1、4-2

それから、少し長めの旅の場合、家族や信頼できる人に、カード番号のメモをあずけておきます。もちろん、そのメモは自分でも持ちます。

 2-1の「まず」をFirstとしたので、この「それから」はSecondとします。「少し長めの」はlongerだけでいいかなとおもいます。

 「信頼できる人」はいろいろ類語を検索してたらconfidant(秘密を打ち明けられる親友)という単語をみつけましたので採用しました。
 家族以外にカード番号をおしえるというのは、えぇ!?とおもいますが、そもそも十数桁のカード番号っておぼえておく必要があるのでしょうか? これはもしかして、紛失時に連絡するカード会社の電話番号のことでしょうか? 正直ちょっとよくわからないです。

 4-2はめちゃくちゃ短くして4-1の一部にしました。


Second, for a longer trip, leave a note of your credit card numbers for your family, your confidant, and of course, yourself.


4-3

カードを無くしたときのためで、ネットでマイページに入ればわかるじゃんと言われそうですが、私はパスワードとかしょっちゅう忘れて手間取るので、アナログな備えもしています。

 4-14-2にひきつづき、ネットのマイページで何を確認するのかがよくわかりませんが、ひとまずは素直に訳してみました。


This note helps when you lose your cards. You might check the numbers online, but people (especially me) often forget passwords and waste time. A handwritten note means a lot.


第5段落

 課題文ではここが最終段落。たった2文しかないので、全体のパラグラフ構成が頭でっかちなるのが気になりました。このあとに具体的なことをつけくわえるか、全体の結びのコトバがあればまとまりがよくなるのですが、途中の文章からの抜粋なので仕方ないですね。


5-1また必ず、メインの財布とミラー財布の2つの財布を持っていきます。 5-2メインには2枚のクレジットカードと現金、ミラーには1枚と現金少し、というように配分します。


5-1

また必ず、メインの財布とミラー財布の2つの財布を持っていきます。

 ミラーサイトなら聞いたことがあるので意味はわかりますが、「ミラー財布」って一般的なコトバなのでしょうか。検索してみても、たんに外側や内側が反射する素材でつくられている財布や、鏡つきのアイディア商品がでてくるだけでした。
 5-2をみるとミラー財布には本物のクレジットカードもいれるので、スリ対策用のダミー財布ともすこしちがうようです(?)。たんに小回りのきくサブという意味かなとおもいました。
 mainとsub(stitute)というとき、sub-は接頭辞になのでうしろの単語とくっつけないといけませんし、substituteだと代用品または補欠なのでミラー財布の目的とすこしズレがあるようにおもえます。ここではメインとサブをprimaryとsecondaryで表現したいとおもいます。

 「2つの財布を携帯する」はcarry two wallets with youでいいとおもいますが、実際は「2つ」という数字が重要ではなくtwo types ofあるいはdifferent types ofとしたほうが文意がハッキリするのではないでしょうか。
5-2でその2つの財布がどんなものか具体的に説明するのでcarry with you two types of walletsというふうにwalletsがうしろにくる語順にします。


Third, without fail, carry with you two types of wallets.


5-2

メインには2枚のクレジットカードと現金、ミラーには1枚と現金少し、というように配分します。

 ムリに「(人が)配分する」と訳そうとしなくても、前文の流れから財布を主語にして、The primary wallet has A and B in it, and the secondary wallet has C and D in it. とかいたほうがシンプルになるとおもいます。and以降のwallet、has、in itは重複しているので省略できますね。そのほうが小気味いいでしょう。


The primary wallet has two credit cards and much cash in it, and the secondary a card and a little.



訳文検討会

※後日追記予定


成績・講評

※後日追記予定

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