本格的にnoteに取り組みだしてから9か月。
自分の思っていることを書く、という過程は楽しくもあり苦しくもあり。
昨日まで35本の記事を公開していた!正直びっくり。
文章が湧きでることがあれば、思考が分散しすぎて何を伝えようと思って書いているのか迷子にもなる。そんなときに、「パパッと書けちゃえばいいのに」と思うことがある。
何事も積み重ねが必要だなぁ。
と思っていたら、あることを思い出したので今日はそのことについて書こうと思う。
優秀な営業マン
私より7期若い営業として、新卒で入社してきた彼。前職場の男性営業は、ほぼ全員入社後新規開拓を経験する。
その彼は私がいた営業所に配属された。
配属は7月なので、同年10月の人事異動で私がその営業所を離れたから、同じ営業所勤務は2~3か月と短い。
新規開拓の彼と顧客担当の私では役割が異なるため会話自体ほぼなかった。
その彼と再度同じ職場になったのは、それから6年後のこと。私が営業職として配属された最後の部署だった。
それ以前から彼は一目置かれる存在だった。
私がその部署に移動した頃の彼は、目標達成は当たり前、優秀セールスとして全国でも毎年のように表彰される存在になっていた。どんな仕事の仕方をしているのだろう。
聞いても簡単には教えてくれない。
「いや、普通ですよ」
普通って、なに。
デモンストレーション大会
そんなとき、部署の中でソフトウエアのデモンストレーション大会(デモ)が実施された。
ソリューション営業として、お客様のお困りごとにフォーカスを当てデモを行っていく。
7名の営業が、担当するお客様からヒアリングした課題を確認しながら進めていくやり方。何に注力してデモするかは自分次第。
ソフトウエア拡販の時期、通り一遍等のデモを行ってもお客様にとって、そのソフトウエアが課題解決につながるとは限らない。となると、お客様の業務をいかに理解するか。困っている顕在ニーズだけではなく、お客様が気づかない、当たり前だと思ってやっている業務、潜在ニーズを理解し、それが解決することでお客様にどんなメリットが生じるか、まで伝えていくのだ。
彼はそれが秀逸だった。そんな使い方するのか。
できる人を目の前にすると、自分ができない存在に思えてくる。
できない自分を卑下してしまう。
そんな彼から言われたことは
「クボさんのデモは、クボさんのお客様の課題解決するデモになってましたよ。お客様の課題はお客様によって違うでしょ」
人の出来と比較するのではなくて、自分が担当するお客様をみていますか、という問いかけだったのかしら。
今となっては知る由もないのだけれど。
職種が変わったあと聞いてみた
その彼に、私がスタッフになってからインタビューというか、仕事のやり方について質問する機会があった。
「営業もMgrも魔法の杖があると思っている。僕がやっているやり方をコピペすれば結果がついてくると思っている。そんなのあるわけない。僕だって地道に仕事してますよ」
魔法の杖の話は飲みの席でも聞いたことがあった。その時はちょっとした愚痴のように聞いていたと思う。
同じ営業として、対等な立場で。
もっと突っ込んで聞いたらその時も話してくれたのかもしれないけれど。
僕だって地道に仕事してますよ
彼の仕事のやり方
営業する姿を見られる機会は少ない。
年に1度、販売促進のためイベントを行っていた。
企画側で参加していた私は、営業さんの姿を観察する。
彼が特別なことをしているか、というと決してそうではなかった。
お客様との話をメモ。常にメモ。後で聞いた話だと、どんな話も仕事の種になってくれるから細かくメモをしていたそうだ。営業成績TOPの彼は来場するお客様も多かった。お客様のお出迎え、お見送り、アシスタントをうまく使いながら対応していた。
提案のやり方も聞いたことがあった。
一択ではもっていかない。
必ず複数持っていく、そうすることでお客様に選択権を与えることができるから。
「どちらが良いですか」クローズトークはコレ。
スイスイ仕事をしているように見えても、丁寧に丁寧にひとつひとつお客様の話を漏らさないように、困りごとを見逃さないように、まだお客様の目に留まっていないお困りごとを見つけていく。地道な努力。
「イチロー選手みたいやね」
「それ、まじ嬉しいっす」
と破顔した。
スンっ、とした彼が滅多に見せない晴れやかな笑顔。私が意図したことは伝わったみたい。
結局、魔法の杖はない
入社した当時の社長が水鳥の話をよくしていた。スイスイ泳いでいても水面下で足を動かしている、あれが大切だ。
何かを身に着けるとき、一足飛びはない。
自分と向き合い、できること、不足していることを理解し、嫌だと思ってもたどりつきたい場所があるから乗り越えるんだ。目標。ああなりたい。こうなりたい。こうありたい。そこにたどり着くマイルストーンは何か、そして今自分はどこにいるのか。魔法の杖はない。
地道に自分が掲げた目標に向かって笑ったり、考えたり、悩んだりしながら進んでいくんだ。さぁ、私も掲げた場所に向かって進んでいこう!