![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157561621/rectangle_large_type_2_516c0fb413dbf9d96bc92bc6f2bbc700.png?width=1200)
電話しすぎかな、と思っても電話してよかったお話し
「引きこもってどうすればよいか分からなかった時に、心配・励ましの電話のおかげで今の自分があると思います」
誰かに贈る言葉のGIFT。
今日のテーマはこれだ。
どんなことがあっただろう。
自分の心をそっとめくってみたら半年くらい前にいただいた言葉の奥にある、わたしが贈った言葉があった。
退職日。
アルバイト先に休みをもらって訪ねてきてくれた彼。言葉では(泣いてしまって)伝えられないから、と手紙をくれた。
クライアントさんとの出会いは、就職支援の仕事が始まって1年経過したかくらいのとき。出会った当時の彼は20代前半。
***
わたしが勤務していた事業所は、就職したいけれど一歩踏み出すことが難しかったり、短期間就労を繰りかえしたり、入社1週間で退職したり、様々な背景をもつ方々が来られていた。
自分の状況のすべてを最初から話すことはまずない。関係性を構築していく中で、「聴かないで」と言われていたことをぽつりぽつりと話す方もいる。
関わり方によっては、心を閉ざされることがあるし、担当替えを言い出す方もいる。幸いなことに、担当替えをしてほしいと言われたことはなかったけれど。
***
ぽつりぽつり話してくれる中で、今現在の複雑な背景と気持ち。
幼少期の体験を話してくれるようになった。
正規雇用を目指していた彼。
ご自身の経験を棚卸し、できることは何か。
その中に得意なことってあるか。
苦手なことって?
退職につながった直接的な原因って何だろう?
ご自身を取り巻く環境・状況と、持っているスキルと。
1日8時間、週5日働けそう?
様々問いかけていくとまずはスモールステップを選択。
***
彼は、資格取得に向けても思いがあって。
その資格はどんな魅力が?
その先の未来をどう描いている?
ぽつりぽつり、考えている未来を話してくれた。描いた未来を手に入れるため、無事資格取得。
***
資格取得のあとは就職に向けていくつかの事業所を見学。
彼のことを気に入っていただいた企業様もあったけれど最終的にはお断り。
彼の気持ちを尊重したい。
企業様からの思いも大切。
覚悟がつくまで、待ってるよ。
企業様からそこまで言っていただけた。
お断りする理由もしっかり受け止める。
ジャッジはしない。
今はそう思うねの。
企業様にはお詫びとともにお礼をお伝えすることに。
***
そうゆうことだってある。
自分で未来を描いたものの、実際の職場を見学する中で本当にやっていけるのか。
わたしができることは、彼の話を聴くこと。
今の気持ちをそのまま受け止めること。
言葉にできなさそうだったから、「こうゆうことかな?」と質問してみる。
あっていなければそこから彼はまた考える。
ゆっくり、ゆっくり。
彼のペースで進めていく。
***
就職、アルバイトをしていない時。
そういえば、最近どうしてるんだろう。
働いていない時期に予約が入らない時は
「どうしてる?」
「よかったら、顔見せてくれると嬉しいな」
「仕事、決まってないんで顔が出しづらいんです。ミキさんのところには、仕事が決まってから行きたい」
「そっか、そっか。ありがとね。」
「体調はどう?ごはんは食べられている?」
こんな会話を繰り返しながら、
「〇日に予約とりたいです」
その繰り返し。
***
わたしが退職する3か月くらい前にアルバイトが決まった。
クライアントさんへの退職を伝える許可が雇用元からおりたのは退職日の1週間くらい前。
彼にもその旨を連絡。
退職日が彼のアルバイト日であることは知っていた。
何も言わずに退職する選択は私にはなかった。在宅時間に連絡し、最終出勤日を伝える。
「…」
電話の向こうから受け止め切れていないであろう気持ちが伝わってきた。
***
「引きこもってどうすればよいか分からなかった時に、心配・励ましの電話のおかげで今の自分があると思います」
退職日。
アルバイト先に休みをもらって訪ねてきてくれた彼。言葉では(泣いてしまって)伝えられないから、と、くれた手紙の中にこの言葉があった。
***
他人の人生に伴走する。
就職支援は人生のほんの一部分でしかない。
彼の支援をしていた私が、いま思うこと。
伴走の仕方は人それぞれ。
その彼に合うように、伴走してきた。
きっと彼自身も「ミキさんだから」と話してくれたりつらい話もうれしかった話もしてくれた。うれしかった話は照れながら。
そう思える関係性を築けたことは心からよかった。今でもみずみずしい記憶として残っている。