断捨離は進まない。母の愛と布団の重さ。
晴天のある日。
布団の話になった。
実家には布団が数多くある。
セット数は不明。
押し入れという押し入れには布団がたくさん。
圧縮袋を使ったことがあるそうだが、使用後に戻すのが手間とかで圧縮されないまま多くの布団がしまってある。
我が家は長男夫婦の家ではないが来客が多かった。
親族が大挙してきたときには、所狭しと布団を敷き詰めて寝ていた。
大挙して押し寄せていた親族の子供が家庭を持つと、我が家に多くの人が集まることが減った。
私にとってのまたいとこ(従兄の子供)が「おじちゃん、おばちゃん子供見せに来た~」と言って連れてきたのには正直驚いた。〇親等がもはやどうなっているのか。それほど、近しいと思ってくれていたのはうれしいことだ。
余談だが父は強面なのに小さな子供にモテた。またいとこの子供にも、近所の子供にも。
コロナ以降の泊り客はもちろんゼロ。
布団の話に戻ろう。
「もったいない、まだ使える」
「いつか使えるかもしれない」
断捨離が進まない、我が母の口癖。
先日、婚礼布団の話になった。
父も母も田舎の人。
両親とも兄弟・姉妹が多い。母の家系は行き来も頻繁だった。
母が実家を離れるときに、親族が来た時に困らないように、と布団を用意してくれた話になったのだ。(嫁入り道具のひとつとしてお客様用布団も持たせる習慣があったそう)
そんな話をきくと、押し入れのスペースを空けようよ、断捨離しようよ、が言いづらくなった。
母から
「(布団を)捨てるのは私がいなくなってからにして」
そう言われた。
そんな話をしながら思い出したのは一人暮らしを始めるときに2セット、布団をくれたこと。
「ね、もしかして私に布団持たせたのはそうゆう風習があるから?」
私の場合は結婚ではなく、一人暮らしではあるのだが。
おかげで友人が来た時に一緒にベッドで寝る、とかソファに寝て、とならなかったのは母が持たせてくれた布団のおかげ。
大学時代に一人暮らししたときにも1セット持たされた。
ワンルームの狭い部屋、押し入れだって半間しかないのに。
それでも使ったことがあるから母はお見通しだったのかも。
母の愛と布団は重い。
今は羊毛・羽毛、昔は綿。
日差しに充てるときに、その重さに母の愛情を感じながら。
実家の断捨離は母の言葉通りなら、もうしばらく先であってほしい。
そう願った娘なのだ。
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