ボツリヌス毒素投与前における戦場鍼の利用 2人の患者のケースのシリーズ (和訳論文)に対する考察
引用元
MEDICAL ACUPUNCTURE
Volume 30. Number5,2018
©Mary Ann Liebert,Inc
DOI:10.1089/acu.2018.1302
The Use of Battlefield Acupuncture
Prior to Botulinum Toxin A Administration:
A 2-Patient Case Series
注)この論文の和約によりいかなる損害が生じても、当方では一切責任を負いません。尚、グーグル翻訳を利用したものでは有りませんので、松浦の学力に依存した翻訳になっております事ご了承下さい。論文の原文はネット上にありましたのでご確認ください。
~原文は論文検索にてお探し下さい。以下、松浦による和訳~
医療鍼
30号、5番、2018
Mary Ann Liebert,Inc
ボツリヌス毒素投与前における戦場鍼の利用
2人の患者のケースのシリーズ
抽象
背景:ボツリヌスA型毒素の局所への注射は過活動筋の治療に用いられる一般的な安全な手順である。この毒素は神経筋接合部におけるアセチルコリンの放出を阻害します。通常その効果は3~6ヵ月しか続きません。したがって注射による投与を繰り返す必要があります。
しかしながら、患者さんの痙縮や痛みが注射の妨げになる場合や患者さんが不安になってしまう場合この手法は選択しがたいでしょう。戦場鍼(Battlefield Acupuncture・BFA)はRichard C.Niemtzow,MD,PhD,MPH が2001年に開発した技術であり、半永久的に耳に鍼を挿入したままにする非常に特有な継続的に金の鍼を使う耳鍼の形式である。戦場鍼はすばやく痛みを軽減するのにとても効果的である可能性があり、また起こりうる副作用はほとんどない。
症例:戦場鍼(BFA)はボツリヌス毒素A注射が痛みか患者さんの不安のいずれかにより制限される2人の患者さんにその注射に先立ち行われた。ケース1は70歳の退役軍人の男性で痛みをともなう右上肢と手の痙縮の見られる人であった。ケース2は69歳の退役軍人の男性で痙縮があり、必要のない恐怖に対する不安をもつ人であった。
結果:ボツリヌス毒素A注射の前に戦場鍼(BFA)を適用すると痛みもしくは不安のいずれかにより注射の制限がある2人の患者さんがその毒素注射に前よりずっと耐えられるようになった。
結論:戦場鍼(BFA)は注射の際に痛みや不安をもったりする患者さんにより簡単にボツリヌス毒素Aを投与できるようにする安全で効果的な即効性の鎮痛のための治療選択肢である。
導入
背景
ボツリヌス毒素A注射は局所への注射による一般的かつ安全な過活動筋の治療に利用される手順であり、これは神経筋接合部におけるアセチルコリンの放出阻害による。その効果は通常3~6ヵ月しか続かないので毒素注射を繰り返す必要があります。しかしながら患者さんの痙縮や痛みなどにより筋肉注射ができない場合や患者さんが必要のない不安をもったりして注射に耐えられない場合にその手順は行うのが難しいでしょう。
鍼治療(BFA)は中国を起源として5000年以上用いられてきました。この様式は体の局所そして遠隔的にもどちらにも効果があると示され、それは神経伝達物質の放出によると考えられ、また脳への効果も機能的MRIにより示されました。戦場鍼(BFA)はRichard C . Niemtzow , MD , PhD,MPHが2001年に彼がアメリカ空軍で現役だった間に開発した耳鍼の技術のことであり、非常に特有な耳に挿入したままにする鍼を使用する耳鍼の形式である。またそれはほとんど起こりうる副作用もなく数分で痛みを軽減すると示された。
実例
ケース1
70歳の退役軍人の男性は1991年および1994年に左中大脳動脈卒中の病歴があり、そのため手拘縮を伴う右上肢痙縮の症状があった。これらの拘縮は慢性的な難治性痛を引き起こした。この患者さんはボツリヌス毒素Aの局所注射を紹介されました。しかし彼は痛みのために注射のできる位置に上肢を持ってくることができませんでした。患者さんからのインフォームドコンセントを書いてもらい受け取った後、戦場鍼(BFA)が行われて半永久的に刺したままにして使われる金の鍼(ASP-Gold)が耳の両側の帯状回と視床に対するツボに刺されたこれにより拘縮が軽減され、また痛みもボツリヌス毒素Aの注射をするのに必要とされる位置に上肢を動かすことが容易にできるレベルまで減弱された。その患者さんは戦場鍼のあと痛みが6/10から4/10までになったと伝えた。それからボツリヌス毒素Aの注射が長橈側手根伸筋の75部位と深指屈筋の浅い部分の25部位と深部の25部位と浅指屈筋の50部位と短母指屈筋の25部位に行われた。この患者さんはいずれの注射にも耐えた。戦場鍼(BFA)の残っている耳の3点は両側的に効果を発揮し彼の痛みのレベルは1/10にまでなったと彼は伝えた。
ケース2
69歳の退役軍人の男性は右脳卒中を1999年に患ったことがあることと、さらに2回の脳卒中の疑いにあった。それ以来右側痙性片麻痺や痙縮に続くように右側の膝後部痛の慢性化が生じる結果となった。以前は痛みと痙縮はボツリヌス毒素Aによりうまく治療できていたので彼は局所への毒素の反復注射を勧められました。事前の治療中にこの患者さんはこの反復注射の間に動いてしまうのではないかという心配をしとても不安をかかえていました。インフォームドコンセントの書類を書き渡しているとき、この患者さんは注射針に対する恐怖を何度も訴えました。戦場鍼(BFA)による治療が行われ、帯状回と視床に効く耳の両側のツボに金のASP鍼(ASP-Gold)が刺された。この患者さんは不安をもったり有害なことが起きたりすることもなく戦場鍼に耐えた。彼は穏やかに落ち着いていきまた痛みも軽減されたと報告した。彼はそれから動くことなくボツリヌス毒素Aの注射に耐え、両足の大腿二頭筋の100か所と両足の半膜様筋の100か所さらに両足の半腱様筋の100か所に注射が行われた。
結果
ボツリヌス毒素Aの注射の前にこの二人の患者に戦場鍼(BFA)をすることで2人の患者さんは注射により耐えられるようになった。ケース1では患者さんの痛みが毒素を打てるほどに和らぎ、ケース2では患者さんの不安が毒素を打てるほどまで改善された。
討論
戦場鍼(BFA)は従来の薬では十分に治療できない慢性的な痛みや不安の治療のための新しい全身に対するアプローチです。戦場鍼(BFA)の迅速かつ簡単なところは訓練された開業医に痛かったり、不安を煽たりするような治療手順の前に戦場鍼(BFA)を使うことを提案します。ランダム化比較試験が示すところでは歯に対する不安の軽減について耳鍼と鼻腔内ミダゾラムに差異はなく、また何も行わないよりは優れていることがわかった。また戦場鍼(BFA)は24時間喉の痛みを軽減し、また鎮痛薬の使用を48時間までの間減らすこともランダム化比較試験で示されました。
結論
戦場鍼(BFA)は安全かつ効果的で迅速な鎮痛療法の治療の選択肢である。虚弱なお年寄りの患者さんでさえ副作用が最小限もしくはなしで戦場鍼(BFA)に耐えることができます。現在の2つのケースではボツリヌス毒素Aの注射前に行う戦場鍼(BFA)は痛みや不安による制限のある患者さんたちにより安らかに毒素注射に耐えることを可能にしたことが分かった。患者さんと開業医のどちらも盲目化されていなかった一方2つのケースに示された効果は意味深くさらに戦場鍼(BFA)のボツリヌス毒素Aの注射前の使用について探求する価値があった。
~以下、松浦の考察~
当方、この論文を脳梗塞後遺症の痙性麻痺に対するボツリヌス菌注射の代わりになるのか?って勝手に勘違いしてワクワクしながら読んでいて、途中で、”ん?、違うぞ・・・”ってなった思い出の論文です。
ボツリヌス菌注射をする為に、戦場鍼(BFA)を利用しているのであって、戦場鍼(BFA)が痙攣を軽減させるという事は一切触れていないですね・・・。
この論文は結論として、「ボツリヌス毒素Aの注射前に行う戦場鍼(BFA)は痛みや不安による制限のある患者さんたちにより安らかに毒素注射に耐えることを可能にした」と言っている訳です。又、討論(DISCUSSION)の中で「24時間喉の痛みを軽減し、また鎮痛薬の使用を48時間までの間減らすこともランダム化比較試験で示された」と言っていることから、戦場鍼(BFA)は鎮痛剤及び術前の不安を除去する為の術前投薬の代わりに使用できると言っていると私は理解しました。
2019.09.04
Tetsuya matsuura