44:冬と春の間で、R&D
花粉症に悩まされることもないし、ガリガリ君は当たるし、けん玉は1発で決まるし、信号は渡るたびに青なのに「彼女はいない」。
そう、
そんな春がもう来ている。
というか、気温が高くビーチサンダルを履いたのでもう夏が来たことにしよう。
そうすれば、別れも出会いもない春は通り過ぎてくれるから、、、。
なんて悲しいことは考えず、出逢いについて前向きに考えてみようと思う。
都心部に住んでいる僕に対して、「可愛い子いっぱい」「出会いなんていくらでもあるじゃん」皆が口を揃えていうのである。
逆の立場なら僕もそう言って嗜めるのかもしれないが、実際に出会いなんてそうそうあるのだろうか。
気取って行ったお店では、いざ話しかけることなんて出来ず、ふと浮かんだアイディアをメモして終わってしまった。側からみたらお絵描き小僧だっただろう。
幼少期から相手が興味なり好意を持ってくれると図々しく話せる能力は少しある、とは思うのだが、最初の会話の突破口を切り開くのが本当に苦手だ。
仕事で会社の看板を背負う場なら責任感によって話すことが容易だが、そうではないプライベートな大人数の飲み会なんて特にそう。色んな人に話しかけ、笑いを取れる人はチャラいと言わず素直に感心する。
そう言った場で結果を出そうとすることに、もう疲れてしまった。
だからもう、
食パンを加えて走るしかない。
そしてぶつかることを祈るしかない。
最後に人間が頼るのは漫画やドラマでの古典的方法だ。
王道こそ、多くの人を救済できる。
が、ひとつ問題がある。
中々ぶつかれない場合、時間経過と共に咥えた食パンがしおしおになってしまい、
ぶつかった衝撃を吸収できないことだ。
(僕の脳裏では、加えた食パンが女性の顔に当たることを正としています。)
しおしおで垂れた食パンは、垂れ下がり前方に出ないことで、頭や鼻を相手にぶつけてしまう恐れがある。
アンパンマンマーチから歌詞を借りるなら、「そんなのはいやだ。」
ということで、少し考えてみた。
食パンの側面中心部に切れ目を入れ、パン内部に軟質の樹脂を入れてそれを噛めば良いのだ。そうすればパンはしおしおになることもない。
なにより、通販でありそうな口で咥えて上下に動かすトレーニング機器っぽいので、ダイエット効果も見込める。
これがあれば、
必ず春はくる。
そう確信するけど、食パンを加えながら、首を上下にしている男がいたら逃げてください。
それが、僕かもしれません。
そして、貴方かもしれません。
春なんでね。
春ってみんな奇怪至極な行動とりますからね、そんなもんです。
ガキの頃見た、どうにかしてなってしまった男に近づいてるぞとワクワクして、近所のスーパーに向かおうと思います。