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楽しかったこえ部は第二の青春だった
今は昔「こえ部」というサイトがありました。文字通り「声」を使ったコミュニティーサイトで、ニコ生などが顔出し配信も行っていた一方で、声だけで配信するというものでした。今も声に特化した配信アプリがありますが、ラジオに近い感覚だとおもいます。しかしながら、こえ部はリスナー参加型というかリスナーも配信者(マスターと呼ぶ)も一緒に声で楽しむサイトだったのが特徴です。
筆者は古くはコミュニティーFMでのパーソナリティーやネットラジオの経験がありました。多分、ネットラジオにゲームサイトからのめり込んで行って、その人脈からこえ部を知ったと記憶しています。こえ部は今で言う雑談もありましたが、筆者は色んなところに参加していました。歌を歌う配信と言うと、今なら歌う配信者の曲を聴くというものですがこえ部には「みんなでかネットを通してカラオケしようぜ」といった趣向の「歌部屋」もあり、そこでは、部屋に入った歌いたい人が参加表明して、順番に歌っていました。
また「劇部屋」と呼ばれる部屋もあり、「声劇」(読み方がせいげきかこえげきか未だ、自分の中では定かではない)と呼ばれる、ラジオドラマのように、配役を決めて声だけで劇をする部屋でした。この部屋は、参加表明した人がどの性別(これは女性が男性役をやることが多かったけれど、少数だが逆もあった)で演じるかを申告することから始まります。そうすると、例えば男5女3とかいう比率になら、その比率で台本を検索するサイトがあり、劇の時間の目安なども添えられていたので、そこから何本か候補が出ると、参加者の投票(聴く側が参加することも)によって台本が決まり、あとは配役。役には番号が振られて、希望する役の番号をチャットで「せーの」で打ち込む。ダブった場合、多くは先着順だったため、希望する役の番号をチャット欄に書いておいて合図と同時にいち早く打てるようにしていたのは、筆者だけじゃないはずです。
こえ部が他のサイトより優れていたというか、分かりやすかったのが「部屋」と表現しているように誰かがやっている部屋に入室すると、登録したハンドルネームで誰が来たか分かるような仕組みになっていた点だと思います。クローズじゃないけどオープンでもない雰囲気、こえ部終了後、多くのマスターが配信者として移籍していった、ツイキャスでは誰が見ているか人数しか把握できないのがもどかしい。今思うと、誰々が部屋開いてるから行こうぜ!といってある意味仲間感覚で部屋に入って(一部大きな部屋となると参加するのは難しくなるけれど)距離感が近く、アットホームな感じが想い出補正を抜きにしても良かったと思います。
そのような中、何かBGMを流したい場合(もしくは音源に乗せて歌を歌う場合)ステレオミキサーが必要で、サウンドボードに取り付ける人も居れば、USBで繋げるミキサーを購入して導入する人も居ました。中でも性能の高い、エコーや効果音などの出せるミキサーを持つのがステータスであり、やりたいことを広げたい人には必須で、お小遣い生活の学生などにとっては壁でした。
そういったお小遣い生活の学生というのが、ニコ生などだと他に設定などが面倒で、さらなる機材が必要だったけれど、こえ部が他の配信サイトより敷居が低い点で、未成年同士、もしくは大人との出会いの場となることが問題視されていました。
そのような中、こえ部ユーザーに衝撃が走ったのは殺人事件が起きてしまったことです。その事件後も変わらず運営されていましたが、何をきっかけにしてか覚えがないのですが、いつのまにか過疎化の一途をたどって、サービス終了となります。
筆者は今でもこえ部で繋がった人と付き合いがあって、最近は実際に会うのはもちろん、通話などは減りましたが、想い出が沢山あります。性的な出会いの場に使われたことに関しては、未成年でも配信できてしまった部分が批判に値するものの、今となっては大人同士であったら今や出会い系アプリが沢山ある状況。他の記事で触れようと思っていますが、ネット上での仲間づくりという意味の、出会いのきっかけとなったという意味では筆者は感謝していますし、良質なサイトだったと思います。
今やこえ部をしていた世代は、当時中学生だったとしても軽く成人してるでしょう。しかし、今だからこそこんな配信プラットフォームが復活しないかなぁ・・・と期待しています。今や配信はお金稼ぎが関わるものばかりですからね、純粋に楽しめるところが欲しいところです。カヤックさん、またやりませんか?