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幼い頃の場外馬券場の想い出
今は子供がギャンブルに関わることが、過剰なほど(それでいいと思うけれど)禁止されており、特にパチンコでは子供の車内放置による死亡事故が、相次いだことから子供連れでは店にいくことができない。しかし昔は、パチンコ屋の店内に普通に打ち手の子供が歩いていたくらいだった。それは、競馬も同様で昔は寛大だったと感じる。今回はその競馬の場外馬券場について書いていこうと思う。
筆者の父は土曜日仕事だったのが多かったけれど、日曜日は決まって休みだったと思う。そこで毎週に近いほど通っていたのが競馬の場外馬券場。幼少期は、まさにオヤジ達のたまり場で、女性の姿を観た記憶がないくらい。主に渋谷の場外に通っていたので、近くの裏道に車を停め、徒歩で馬券場へ向かう。その途中には、喫茶店があり何故か冬の記憶が薄いのだけれど、それは父親がアイスコーヒー、自分がクリームソーダを良く飲んだことが思い出として刷り込まれていたからだと思う。
食べ物と言えば、今でも定番となっているもつ煮。焼きそば、フランクフルト、でも何故かたこ焼きは記憶にない。あとは、お酒がつきものだったと思う。ここ20年くらい行っていないので、直近の状況は分からない。しかし、幼少期には扉もないようなオープンな食堂があって・・・といっても室内で食べたりしている人は少数で(店内は狭いのもあるが)、多分ビールのケースだと思われるものを土台にしてあって、その上にベニヤ板を乗せたテーブルがメインだった。そこで、実況のラジオがオープンエアで流されているなか、多くのオヤジで埋めつくされている状況が週末の日常なのだと思う。(片づけるのが容易な形式で営業していたと思われる)
さて、馬券場内。とにかく満員電車のような人口密度で、箱の上に警備員のような恰好をしたJRAの職員が何かあった時のためか、目を配っている記憶がある。ちなみに、この頃にはワイドはもちろん馬連もなく、枠連と単勝・複勝しかなかった。そのシンプルさからか、マークシートなど無い。窓口で例えば、どこの何レース3-6、1000円などと口頭で伝えて馬券を受け取る形式が取られていた。口頭だけに、買い間違いや意図しない馬券を買うなどのトラブルも多かったようだった。また、筆者の父親もそうなのだが、自分の予想は3-6だったのだが、聞こえてきた他の人の予想に引っ張られて違う馬券を買う。こんなことは、良く分からないけれどあるあるなのだと思う。
筆者は今も競馬をやるのだけれど、ライブ映像を観るのが楽しみの一つとなっている。しかしながら、筆者が幼少期だった当時はラジオが中心だったと同時に馬券が当たった時には、また馬券場で払い戻しを受けることを考えて、自家用車内でラジオを聴きながら結果を確認するようにしていた。ここまで、幼少期の場外の話をしていたけれど、とにかく汚いけど、子供に寛容というより、子供など気にしないようだった。
馬券が買える年齢になって、渋谷の場外に行くと、実は幼少期に渋谷でも、改装工事が行われてWINSと言われるようになって綺麗になったのだけれど、それ以上に綺麗に。また驚いたのが周りの環境、いわゆる賭場のような雰囲気は全くなく、女性も多く食事を買うならコンビニへ。といった状況へと様変わりしていたことに時代の流れを感じたのを覚えている。
一方で、地方競馬へも頻度はかなり低いけれど出かけ、その時は実際に競馬場に行くので、馬券を買って観戦をするスタイルだった。競馬場は今よりは劣るものの、コースの真ん中に子供が遊ぶところやポニーに乗れるところがあったりと、家族ででかけている層も結構いた印象的でした。筆者も競馬場には、母も含めた家族ででかけることがほとんどだったと記憶している。しかし、今も覚えているのが、父親と2人ででかけた時だった。馬券売り場前でうろうろしていると注意されるでもなく、馬券売り場のおばちゃんから呼ばれて、こっちおいでと窓口の中へ。今はもちろん、昔もきっとアウトだったと思うけれど中でお菓子やお茶を頂いたのが思い出。きっとこんな経験を持つ人はかなり珍しいんじゃないだろうか。
今まで書いてきたように、馬券場も競馬場も子供に対して寛大なのには変わらなかった。それでも、中央は競馬場へ幼少期に行ったことが無いのでなんとも言えないものの、地方の競馬場は人が少なめでゆったりしていることから優しい雰囲気だった反面、中央の馬券場は殺伐としていた印象を受けていたが、どちらも食べ物が美味しかった。(今も美味しいけれど)
馬券場が幼少期の想い出に残っているのは、あまり教育的環境としては良くなかったかもしれないけれど、今も競馬を楽しめているのはギャンブルを超えて感謝している。今では頻繁には地理的に行けないけれど、中央の競馬場にも出かけるようになった。馬券場は賭けることに特化されているから、今も行楽には向かないと思っていたけれど、競馬ファンに楽しめるイベントを行っているWINSも多い。競馬を楽しむ大人はどちらも、子供とは競馬場で楽しむ、そんなレジャーの一つとして発展している競馬を巡る環境には驚かされるばかりだ。