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脱ステロイドで行き着いた心の境地。
脱ステって地獄です。
まずはじわじわ健康面からやられていき、精神も喰われていきます。
24時間体が痒くて、汁が出るまで掻きむしっても身をえぐり出したいほどの痒みは止まりません。
やばい、これ以上掻き続けたら皮膚が無くなる。と思っても掻く手は止められません。
気づけば、余裕で数時間経っています。
発作的な痒みが終わったあとは、そのビジュアルに精神がやられます。自らの手でぐちゃぐちゃにした皮膚。
皮膚が床に散らばって、あまりに力んで掻きむしるので全身が汗ばんで呼吸があがっています。
鏡を見たら血まみれ、汁だらけ、ところどころ皮膚のえぐれた自分が映ります。
絶望です。
それでもまた数分後には強烈な痒みに襲われます。もう皮膚がないので滲出液で掻く指がすべります。
それは睡眠にも影響します。痒さが落ち着いた、眠れそう、、うとうとし始めたとき、痒みが疼き始めます。
全身を掻きむしってる間に眠気は飛んでいきます。
これを何時間も何時間も繰り返して
明け方になるまで
時に朝を超えて昼近くまで繰り返して
やっと少し眠れます。
これが、毎日、毎晩続きます。
食事をした後は、身体が温まって痒みが爆発します。そのおかげで毎回の食事が楽しみではなく恐怖に変わります。
地獄です。
ある程度の覚悟はしていたつもりでも、
いつ終わるのか分からない、毎日毎日続くこれに精神が喰われて行きます。
最初は処方した医者を恨みます。そしてステロイドを使った母を恨みます。そうして散々恨んで恨むところがなくなったら、神様を恨みます。
ある夜、どうしようもなく感情が抑えらない日がやってきました。
叫んで喚いてもどうにもなりません。涙で濡れた頬は、さらに痒みを増して私は顔を盛大に掻きむしりました。
もう、こんな顔どうでもいいと思いました。
滲出液と血でぐしゃぐしゃになりながらも掻きむしり続けました。
私は35年間ステロイドを使っていたので
リバウンドも激しく、皮膚の80%がずるむけのような状態でした。
ちょうどこの時主人は長期の海外出張に出ていて
泣き叫ぶ私は家にひとりでした。
苦しみと辛さでしばらく喚いた後、気付いたことがあります。
人が助けを求めれるときは、そこに助けてくれる対象がいるときだ、と。
そもそも自分1人しかいなければ、泣いてもだれも反応してくれません。
涙を流して辛さを訴えれるときって、まだそこに期待があるんだなぁ、とぐしゃぐしゃになりながらも思った記憶があります。
そこに行き着いたとき、急に感情の波がすっと静まったのを覚えています。
大海原の海面が一気に真っ暗で静かな湖の水面に変わったようなイメージです。
その時、あぁもう泣くのはやめよう。
無駄だ。と思いました。
今思えば、一種の降伏だったように思えます。
コントロール出来ないことに対しての降伏。
この日が1番辛くて暗い静かな夜でした。