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『With Youでオードリーに恋したオタクがWith Youでオードリーを見た話』

     私にとって、オードリーとは「衝撃」だった。

    元々どちらかと言えばキャラ専で、当時中の人の配信が多かった虹ヶ咲のことを真面目に追っていたとは決して言えなかった人間。そんな私にとって、スクスタのリリース前後を契機に熱を帯びた虹ヶ咲フォーカスは興味の矛先を向けるには十分すぎる魅力があった。

    そうして仄かに湧き上がってきた熱につられ手に取った2ndアルバム。各種ソロとLove U My Friendsを聴いて、最終的に行き着いた答えが「これライブ行かないと後悔しそう」だった。しかし、思い立ったが時すでに遅し。その頃にはもうライブビューイングへ行くしか手段は無かったのだが。

   

    校内マッチングフェスティバルもちゃっかり予習して、いざ当日。

    ソロパートが歩夢、かすみと来たからおそらく次はきっと……と思っていた、推しの曲。

    元々、この時点で桜坂しずくが推しではあった。固まった瞬間のことは何も記憶にないけどツイートはしてた。それはそれとしても、ニジガクデートのスナップイラストやスクスタホーム画面で滲み出る後輩(16歳)としての姿、そしてあなたの理想のヒロインから滲み出る、愛しさ。ただ桜坂後輩の素の笑顔が見たいという気持ちは自覚してから何一つ変わらないものの一つだ。なんならそれより前、スクフェス感謝祭2017の時点で観客席から見つめた前田佳織里さんにどこか惹かれるものがあった。多分きっかけこれだろお前。さっき声優に興味無いとか言ってた癖にオタクは……

    閑話休題。

    妙に長い静寂の先、果たして目的の人はそこに居た。そして、私は圧倒された。

    映像配信の良い所というのは、振り付けやキャストをひとつの画角にしっかり映してくれることだと私は思う。全体の世界観で見れる現地と違い、その人の表現や感情をしっかりと見ることが出来るのがカメラによるライブ映像だ。



    そのカメラに映る前田佳織里さん……桜坂しずくの表情に、息を呑んだ。

    オードリーという言葉のイメージに忠実な、映像作品黎明期を思わせるモノクロの舞台映像。そんな舞台の中で、赤色のコートは聴衆の眼差しを惹き付けるにはあまりに十分過ぎた。

    憧れのオードリーを思い、己を見つめる桜坂後輩の顔は凛々しく、堂々としていて。そんな表情とともに、振りはしなやかに、尚且つ強く。
    そんな表情から奏でられる歌声はまさしくフォルテ。ライブのBlu-rayを持っている人は是非CD音源と聴き比べて欲しい。CDで思い描いていたものとは全く違う、ありったけの感情を込めた力強い歌声が全身を貫いた。

    極めつけは自らを覆っていたコートと傘を捨てて最後にみせた、あなたの理想のヒロインとして優しく微笑む姿───



    この人、こんなに凄いんだ。

 


    桜坂しずくを、この曲を……そしてあの日訳もなく見蕩れていたその人を自分の推しだと胸を張って言えるようになった瞬間。そうか、全てはこの日に向けた伏線。

    思わず座り込むほどに圧倒された2人への尊敬。それが全ての始まりだった。



    憧れのオードリー。今度貴女に会う時はきっと現地で───












ここから本文


初めましての方は初めまして。ミ←ツナ缶です。5thライブ計4公演、本当にお疲れ様でした+ありがとうございました。

まず……上の文章、何???って話なんですけど、要は虹ヶ咲にハマった最大の要因、オードリーと1stの桜坂しずくのにやられた経緯の話です。単なる自分語りですけども、この経験があったからこその5thライブなので、今回絶対入れようと思ったんです。

ただ、これ一応5thの感想ブログなんで延々と説明すべき文でも無いんだよな……と悩んだ結果、ちょっと小説じみた文章で書いてみました。

そういう訳でして……オードリー、本当にめちゃくちゃ好きなんです。With You自体にも勿論沢山の思い出があるんですけど、その中でもオードリーに受けた衝撃は段違いで。


どのくらいかといったら、それが災いして5thライブのColorful Dreams ! Colorful Smiles !公演の期待値が微妙に明後日の方向に向いてしまったくらいです。

というのも、ぼくはアニメ2期で初めてのライブをやろう!の流れになってから最終回を経て、それまではどうアニメを綴るのかがただ楽しみだった気持ちが大きく変わりました。
その理由こそ最終回で提示されたライブタイトルの『With You』と、その中で披露された2ndソロ曲に他なりません。

先述の通り、ぼくは2ndアルバムがきっかけで1stライブをLVで見届けました。
そして5th開催に至るまで……見事なまでに一度も2ndソロ曲を直接見る機会に恵まれませんでした。

不意に始まる2nd曲メドレーにも、いつものように一瞬の静寂を挟んで憧れを歌い出すオードリーにも、相も変わらず素晴らしいパフォーマンスと己の運のなさに画面の向こう側で蹲るしか出来なかったのです。



そう、5thでオードリーの披露がほぼ確定されるまでは。




「あの日現地で見られなかった景色を……オードリーを、やっとこの目で見れるんだ……!」



5th前に考えていたことは、ただそれだけ。

夢は呪いと同じなんだと某仮面ライダーの作中で言ってたんですが、なんとまあ見事にそんな具合に夢を拗らせ、オードリーに囚われた悲しきモンスターになってしまいました。それを直せないまま、2日目に現地を迎えることになった訳です。


ただまあ勿論なんですけど、当日はアニメ2期の物語パートもめちゃくちゃ楽しんでました。Eutopiaのインパクトとアリーナの縦揺れがすごい印象に残ってるし栞子のターンは4日全部泣いたし内田秀さん歌うま過ぎて……いや上手すぎん……?

あと高咲侑の立ち回りは絶妙でしたね。ゲスト出演ではなくちゃんとした1人の出演者として高咲侑にしか出来ない・高咲侑だからこそ出来た演出や立ち回り等々、本当にいい役貰ってたなあと思います。


そうして泣いたり高ぶったり地蔵になりながら楽しんで、いよいよ最終回パート。
自己紹介をここで挟んでくるのもなかなか秀逸ですよね。これからライブが始まりますよ(実際ここから1stライブが始まるの、狂ってるよ)の期待感、とてもたまらない。

さあいよいよ待ちに待った時間だ……となったところで、ここで問題がひとつ。


(え、指出さん!?)


なんで声繋ごうよが始まってんすか。


エマさん、遂に間をとってトップバッターになれたんだね……

じゃなくて。


今回も出ました。虹ヶ咲恒例ソロ曲(順番)シャッフルフェスティバル。もうソロ曲は初日と2日目で順番変えても良いって思ってるよこの運営。

この仕組み、ぼくは好きです。むしろこういうセトリでどうやってオタクを殴ってくるのか分からないのが虹ヶ咲らしさだと思ってます。
ただ今回は流石にアニメの順で来ると信じてたので、いつ推し曲に轢き殺されるのかが分かんなくなったことに恐怖を感じたわけです。


そして、見落としていた事項がもうひとつ。


小説パートで映像で見るライブの良い点を上げていましたが、こちら当然デメリットもあるわけで。

それは「画面に移されてる情報以外の把握ができない」こと。
LVだとキャストを移している間のスクリーンは当然見られないから、今回の現地で初めて見る映像なんてのもちらほらありました。それだけならいいんですけど、たまにアニメパートの終わり際に次の曲のためにもうキャストが出てきてるのが見える……とか舞台袖でキャストさんが何かしてた……ってことがありますよね?

あの瞬間のぼくはそれを失念していました。


Wish、やっぱええ曲や……と余韻に浸りながらブレードをゆっくり上に掲げると共に、視線をステージ全体にやった、その上段、右端───




おるやんけ、前田(静かにブレードを降ろしながら)


……オードリーを初めて見る時はたぶん盛大に泣き崩れるんやろなあ。当時からそう思ってました。

でも、現実は。

待ち望んだ光景を、遥か遠くの地で思い焦がれた赤いコートから一瞬たりとも目を逸らすなと本能が叫んでいて。ブレードも振れないし、最後の1音まで涙は出てきませんでした。

ようやく辿り着いた憧れの舞台。しかも有難いことに席にも恵まれて、映像を通さなくとも彼女の表情と動きが全部分かるんです。

……ああ、これはあの時見た表情だ。この動きも知っている。

これはあの時見惚れた映像。

あの時魅了された傘使い。

圧倒された力強い歌声。


画面越しに憧れたオードリーが、本当に目の前にいる……


全部、全部あの日の姿そのままでした。


前田さんが5thでオードリーをどんな気持ちでパフォーマンスしたのかは分かりません。

でも、ぼくにはあの日憧れたオードリーがあの日の姿のまま舞台に立っている、そう思えた一瞬でした。




5thライブ、だけど

こんな具合に、Colorful Dreams ! Colorful Smiles !公演に関する感想の9割はオードリー(というか、With Youパート)です。マジで次週にNEXT TOKIMEKI公演やってくれて助かった。

ただ、言い訳じゃないけど今回の5thライブに関してはそんな特別な感情抱いても仕方ない部分はあると思います。なんせ今回は5thライブであるけど、同時に名実共に13人の1stライブでもあるわけですから。しかもその劇中1stライブのタイトルが『With You』なんですから。

虹ヶ咲だけに限らず色んなコンテンツにおいて、入口は色んなところにあると思います。アニガサキから入りましたって人も、ラブライブ!フェスで虹ヶ咲見てそこからハマったって人も知り合いの中にはいるし、かく言う自分も本当に始まった瞬間はこれまでの通りWith Youのオードリーです。

そうして何かのきっかけでコンテンツに浸かった時、ふとした瞬間に一度くらい「この〇〇(ライブ、イベントetc)にも行ってみたかったな……」って思うことがありませんか?

ぼくにとって虹ヶ咲の1stライブ、With Youはまさにそれでした。

基本的に、ナンバリングライブや各種イベントってその時限りの特別な瞬間。普通「何か」って起こらないと思うんです。

その有り得ない「何か」が起きたのが5thライブです。
名義上は5thライブだし人数もあの時より増えてるし曲順も少しだけ違う。それ以上に虹ヶ咲もキャストさんもあの日とは比べ物にならないくらい大きくなってしまったけど、それでもあの一瞬だけ舞い降りた1stライブは紛れもなく3年前と同じものでした。

「1stライブもやっぱり現地で見たかったな……」

自分の心のどこかに残ってたその思いが叶う日が来る、そして叶ったという現実があまりにも不思議で、幸せだった。

それでいいのかとは書いてる今も思うけど、やっぱりこれが5thライブ 夢が咲く場所〜Colorful Dreams ! Colorful Smiles !〜公演1番の感想です。


3年前With Youのオードリーに出会えて良かったし、初めて生で見届けたオードリーもまたWith Youで良かったよ、俺。





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