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Ecat kitの社会実装にむけて

この記事では手押し車電動化キット 「E-cat kit」(以下Ecat)の社会実装を株式会社CuboRexが実施するに至った経緯について記載する。

この記事を見る際に是非先に下記の記事をよんでみてほしい。

事業継続のための商材が必要

2019年4月頃、株式会社CuboRexに副社長として就任した嘉数から会社として販売可能な商材を揃える必要があるとの提案をうけた。それまで寺嶋は実現可能かともかく作りたいものを作っていたので収益関係のことをあまり考えていなかった。そのため会社のお財布状況はかなりまずいことになっていた。

嘉数からは「作りたいものや試したいものを創るのはいいが、稼いだ資金次第ですきにやれるようにしよう」とのことを言われこのままだと会社的にかなりまずい状況になるのは明白であった。そういった観点からこれまでの技術を利用して早い段階で継続的に販売可能な商材を開発することになった。

Ecatはそういった会社の収益化を目指して検討されたものであった。Ecat事態は副社長が以前の会社からすでに開発と一部販売が行われており、コアな部分の開発は完了し、いつでも試せる状態にあった。このあたりの開発経緯は上記の参考記事に記載している。また当時同様に収益化を目指して開発を進めた製品に汎用クローラモジュール「CuBase」が存在する。こちらも興味があればみてほしい。

Ecatのみかん産業での活用

Ecatを株式会社CuboRexとして商品化することを嘉数から提案された時に自分は最初否定の意思を示した。なぜならそれはクローラじゃないから。それまで株式会社CuboRexが扱っていた技術といえばクローラシステムに関するものが殆どでタイヤタイプは扱っていなかったのである。その中でタイヤタイプのEcatを扱うことに対して抵抗感があった。しかし何も試さず否定するのは寺嶋の生き方の主義に反する。そこで自分なりにどういった用途があるか考えてみた結果、みかん産業での経験が思い浮かんだのである。

このあたりの経験については下記の記事の後半に記載している。

そこから私の地元である和歌山県有田地域が全国でも最大のみかん産地であることを知っていたのでまずはそこで縁のある人から確認していくことにした。その際に長野高専卒業の山岸さんや和歌山で無人島ツアーを実施されていた高梨さんに有田地域の若いみかん農家さんを紹介してもらった。というのも私自身和歌山からはその時点で5年以上離れておりみかん農業に従事している人と継続的な付き合いをしていなかったからである。

初期ユーザーの獲得

山岸さんやそのほかの方の協力により有田地域で活躍される若いみかん農家さんとお会いできる約束がとれた。

2019年5月10-14日にかけてアポイントをとった和歌山のみかん農家さんを回らせてもらった。その全員のみかん農家さんにそれぞれが所有している手押し車にEcatkitを実装し実演をおこなった。

下記のツイートはその時に高専時代に働かせてもらっていた有田エイト果樹園の伊藤社長に協力してもらって実験したものである。

最終的にこの時に4件のみかん農家さんから受注を獲得しその後7月に納品することができた。ここで簡単ながらEcatの導入を決定してくれた方を紹介させていただく。(Ecat導入決定順)

有田エイト果樹園 伊藤社長

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早和果樹園 秋竹社長

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善兵衛 井上代表

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みかんのみっちゃん農園 小澤代表

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上記の皆さんはEcatの利用実績がないなか導入を決めてくれた方たちであり、当時まだ効果もよくわかってない中で決断してくれた。2020年現在も継続的に貴重なフィードバックをくれておりとてもありがたく思っている。この場をかりて改めて感謝させて頂く。ありがとうございます。

反面当然ながら営業させてもらって導入を見送られた方もいらっしゃる。この時は合計8件回ってそのうち4件が導入を見送られた。

導入を見送られた理由としては、

・価格が高い
・導入事例がなくよくわからない
・購入検討に対して今きめるのは難しい
・クローラ運搬車がありことたりているのでEcatは特に必要ない

などが挙げられる。特に農業界隈は農家同士のつながりが強く、使っている農機具など、知り合いが使っている事例をみて導入を決意することが多い。これらの内容については初期導入者をはじめとしてEcatの実装事例を重ねた上で改めて再度アプローチしていく というか導入実例に基づいて再度アプローチしたところ複数件導入を決定してくれた。

最初は和歌山県有田地域でのEcatの実装を決意

和歌山での初期導入を終え実際に利用してもらってから、そこからの口コミが広がり購入意思を示してくれる人がとても増えた。僕自身の経験的にもEcatが有田の山畑で作業する上で活躍できる確信があった。それらがEcatを利用してもらった実際にみかん農家さんからも聞けたことでEcatが有田のみかん農家さんはじめ全国のみかん農家さん達にとって必要となる運搬器具であることの確信を得た。

特に電動手押し車はすでにマキタさんはじめ他社さんでも出ているがいずれも完成品としてであり、有田のみかん農家のように山畑での作業が多く農家ごとに適した手押し車が異なるような場合には完成品だと対応しきれない。私達のEcatはそういった多様な環境に対応できるだけの素養と拡張性をもった動力化システムである。

これまでの自身の経験とEcatを実装して使ってもらった声を聞いてEcatを有田地域で一番最初に社会実装を目指すことに決めた。

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実際に利用してもらって得られた声

2020年になり有田地域において10件程度のみかん農家さんにEcatを使ってもらい、その上で使い心地や改良点などについてヒアリングを実施した。

ここではヒアリング結果のうちいくつかの内容を抜粋した記載する。

Q1、 主な栽培作物はなんですか?
・柑橘類(全員)
・米(一部)

Q2、Ecatの利用用途はなんですか
・収穫コンテナの運搬
・肥料・石灰の運搬等

Q3、Ecat実装によって以前よりよくなった点
・運搬作業が(圧倒的に)楽になった(全員)

・これまで地畑で使っていたクローラ運搬車に比べて木々を簡単にすり抜けられる。Ecatなら運搬車とコンテナや肥料なども軽トラで一緒にもっていける。クローラ運搬車だと軽トラ一台を運搬車が占領しておりその他の資材はもう一往復してとりにいかなくてはいけなかった。
・坂道も重量物をつんで簡単に登れるようになった

Q4、以前に比べて悪くなった点
・手押し車が重くなった
・山畑に手押し車を放置できなくなった

上記は実際のヒアリング結果をまとめた際の一部である。全てのみかん農家が運搬作業が楽になったと答えている。また当初Ecatは既存の運搬車が活躍しづらい山畑での段畑や傾斜した畑での運用を想定していたが平地の地畑での運用を行う人も多かった(クローラ運搬車があるにもかかわらず)。これらはEcatが手軽な運搬車であるにも関わらず、大きな運搬能力と高い拡張性があることが大きな要因であると考えられる。

また一部のみかん農家さん達は独自にEcatkitの改造もはじめた。より自分たちの農業を効率化するための改良を自身でやってくれたこと。とてもうれしかった。

今後に向けて

私達は2020年10月1日にEcatの有田地域への社会実装を目指す。現在はそれにむけて準備を着々と進めている最中である。

私達はEcatの事業を通じて既存の農業がより効率的でかつ楽しく実施できるようになることを強く望んでいる。過去の自身の農業経験的にもその思いは強い。

また上記を実現していく上でこれまで完成品の農業器具を使うことが多かった農業において農家さん自身が自分の農業をより効率でかつ楽しく実施していくためにはどういった工夫や改良が必要かを考え実践していけるようになってほしい。僕達はそのためにEcatをはじめとする自分たち自身が必要だと思ったシステムを開発し社会実装を目指していく。

最後に改めて「欲しい者が欲しい物を生み出し試せる社会」の実現にむけて不整地のパイオニアとして道なき未知を切り拓きEcatkit事業を実施していく。

本記事を読んでEcatに興味をもってくれた人はぜひ下記の予約フォームを記載してほしい


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