見出し画像

【鎌倉市DXアドバイザー】自治体DXに民間人材が貢献できること

▼この記事でわかること


 私は2024年に神奈川県鎌倉市にてDXアンバサダーに就任し、鎌倉市職員のDXリテラシー向上に向け何ができるかを、約500名の職員に向けたアンケートを実施た上で、DXリテラシー向上研修の企画・実施を行いました。結果、研修受講者の100%の参加者がデジタル化に前向きになり、26%の人がDXで業務改善の具体的なイメージが持てたという回答が得られ、満足度100%の研修という評価を頂きました。
 就任前は行政と民間、全然デジタルの状況が違うと聞いて戦々恐々としていましたが、その通りの部分もある一方で、意外に共通課題も多く、民間人材が自治体DX推進の上でできることはまだまだあるな!と感じましたので、その内容をまとめています。
 今後民間とのコラボを考えている自治体職員の方や、民間で自分の力を最大限自治体に還元したいと思う方の後押しになればと思います!
 なお、詳細はこちらのAnotherWorks社記事にも取り上げて頂いておりますのでぜひご覧ください!

▼ そもそもなぜ自治体DXに取り組んだの?

自治体勤務の友人の悩み「デジタル活用進まない!」

 今長い間民間でデジタル活用を進める上で、自治体勤務の友人からよく相談をもらいました。

「民間はいいなぁ、デジタル化が自治体は全然進まないよ…」

某自治体職員のぼやき

 その度に私は、「民間と行政ってそこまで違うのかな」「もし何か独自課題があるとしたら、民間でデジタル活用を13年以上実施してきた経験を基に何かできることはないかな」と考えていました。
 そんな中、鎌倉市が「DXリテラシー向上施策」に向け民間知見を募集されており、DXアドバイザーに就任させて頂くことになりました!

▼DXリテラシー向上に向けた標準プロセス

 ここではざっくり、DXリテラシー向上に向け、私が研修を打ち立てるまでの標準プロセスを記載させていただきます。(内容はかなり簡略化した表現となっています)

①(現状把握)×(あるべき姿)のギャップ

 現在、その自治体が感じている課題は何か適切に把握すべく、何度も議論を重ねて、現状とあるべき姿を明確化します。そうすると、その間にギャップ=課題が見えてくるので、優先順位をつけながらそれぞれの打ち手を検討します。

②職員向けアンケートで現状を定量的に把握

 ①で実施した課題と打ち手設定をより具体的なものとすべく、職員向けアンケートを実施します。
 そうすると、事前に感覚で持っていた仮説が実は一部異なっているなど新しい事実がデータにより浮彫になり、どの層にはどういった機会を提供すべきかがより明確になります。

③ロードマップ策定

 現状を具体的にデータで把握した上で、将来的なあり姿に向け数年単位でのロードマップ案を策定しご提案します。

④職員向けDXリテラシー基礎研修実施

 最後に、③のロードマップに沿って、特定セグメントに向け効果的なDXリテラシー基礎研修を実施します。ちなみに、鎌倉市職員様向けに行った研修後の事後アンケートでは、100%の参加者がデジタル化に前向きになったと応えてくれました。また、26%の人がDXで業務改善したいことのイメージを持てたと回答を得て、実際のアクションにつながる機会となりました。

▼どう貢献できるか

 今回、民間の立場で自治体DXの一端に取り組ませて頂いた中で、非常に多くの気づきがあり共有します。

①自治体デジタル環境を学ぶマインドは必須

 過去、民間会社へは100社以上にデジタル活用推進を実施してきましたが、今回聞きなれない自治体独自の用語に非常に苦労しました。(LG-WAN、三層分離、各自治体独自業務用語など)。鎌倉市の皆さんが温かくご教示頂きましたが、このあたりが民間と自治体のデジタル情報交流の1つハードルになりうるかと思います。
 一方、民間でも食料業界やヘルスケア業界では必要なサービスレベルや対応すべき法令など大きく異なるので、そういった障壁の存在自体は民間人材は比較的受け入れ慣れているのではとも感じました。
 まとめると、自治体・民間、双方が知らないことを「知らない」と素直に伝え、教えを乞う姿勢が重要だと思います。

②多岐にわたる自治体業務への理解と感謝

 通常民間企業は一定の共通業務をもつため、デジタル活用箇所の勘所があり、提案をしやすい状況がありました。(例:営業業務は日報などの顧客情報集約化が課題だよね・・・)一方、自治体はそもそも何をしている業務!?というものが多数で、非常に新鮮でした。と同時に、日頃からその外から見えにくい業務に従事し、私たちの生活を支えて頂いている自治体職員の皆さんには感謝の気持ちしかありませんでした…。

③民間と自治体で共通するデジタル推進課題は意外に多い

 今回、日々民間企業が直面している課題が自治体でも共通課題として多々あることがわかり、その観点では非常に自身の知見を活かせたところがありました。
 特に、DXリテラシー向上の観点で言うと、日々の業務で忙しい一般の職員様にどのように短時間で効果的な研修を実施できるか、は、民間・自治体で共通する課題だと感じました。
 そうすると打ち手も一部共通化できてきます。一例ですが、私は「研修で必ず笑いをとること」を重視しています。日々忙しい営業部や経理部にデジタルを説明する上で、眠たくなるような研修では絶対に内容が伝わらないため、『楽しくデジタルを学ぶ』ことは非常に大事にしている軸です。そしてこのスタンスは今回鎌倉市の職員様にも受け入れて頂きました。職員様ご協力のもと、啓蒙用ショート動画を事前に撮影するなど、ホスピタリティ溢れる研修になり、それが満足度100%につながったと思っています。
 つまり、民間でも自治体でも結局ITを動かすのは人の『共感』や『納得感』!それを醸成するためにわかりやすく楽しく情報発信をすることは、どこでも求められるスキルなんだなと確信しています。

▼最後に

 非常に学びの多い取り組みでしたので、今後、自治体DXの課題解消に取り組みたい、お世話になった自治体に貢献したい、と思っている民間デジタル人材は、ぜひ前向きにトライして頂ければと思います。
 一方自治体側の方も、民間から得られる知見や、民間とコラボするからこそできるアプローチがある、など良い効果があるかと思いますので、ぜひまずは一歩越境の機会を活用してみるのが良いのではと思います!

▼次の越境の一歩として『デッカイギ』参戦!

 私自身、早速次の越境機会として、2025年1月、『デッカイギ』という自治体DXイベントに参加してきました。歴代デジタル庁大臣が全4名そろい踏みという非常に豪華なイベントでしたので、そちらのイベントレポートも追って記載しますね!
 いずれにしても日々の業務ではお会いできない人ばかりで、非常に楽しいイベントでしたので、来年はぜひ皆さんもご参加ください!

以上です。
この記事がもし少しでもためになっていれば、励みになりますので「いいね!」やフォローをお願いします!
Twitter(現、X)のフォローもお待ちしています!
https://twitter.com/mtani00

いいなと思ったら応援しよう!