腐れ縁だから?
「キャーハッハ! あの男がさあ!」
「ありえないよねー! キャー! わたしはあの男とこんなんであんなんでー。」
「えーマジ? ヤるねー。わたしは遊んでても好きな男じゃないといやだなあー。」
「まあー、ノリよノリ!」
……あんた。
わたしはいいけど、家族がみんな聞こえるようなところで、よくそんな話するよね。三階までの吹き受け。お父さんもお母さんも弟も、みんなに聞こえているだろうに。
遊んでは、何度も泊まっている彼女の家。
金持ちの家。こんな家見たことないっつーの。
ま、中学からの腐れ縁。一緒に遊ぶ分には楽しいからいっか。
あ、弟が降りてきた。
「あのさー、全部聞こえてるよ。おれ、全部知ってるよ。」
あらまあ。わたしのカレシ話も、あーんな話もこーんな話も、きっと知ってるのね。ま、いいけど。
ミカちゃん。
「はい?」
「腐れ縁みたいなもんだしさ、誰とも結婚できなかったら、おれがもらってやるから。」
「はあ?」
その後、結婚離婚、再婚などと繰り返したわたしだけど、彼は待っているのだろうか?
いや。それはない。
だって、彼に抱かれたいと思わないから。
ごめんね。
その後、彼が結婚したという話はまったく聞かない。
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