わかる人しかわからない「花のあすか組!」パロディ~セピア色の桜の巻
「星ぃ、そのネタ、ガセじゃないだろうな?」
「違いますって、あすかさん! その証拠に今、新宿は空っぽです。」
西区筆頭表番、姫が言う。
「どうやら、モノホンのようですね。他の十人集も、吉野の里に来ているようです。奴ら、血眼になってセピア色の桜を探していますぜ。」
「セビア色の桜が咲いたら、今年の桜は即座にすべての花を落とすちゅうことかぜよ。」
「最首! お前まで何でここに!」
あすかが叫ぶ。
そう。日本桜友の会によれば、今年は吉野のどこかに一輪だけ、セピア色の桜が咲くという。
すると、日本全国の桜の花が一斉に落ちてしまうというのだ。
政府も気象庁もヤクザも必至だ。
「紅神会・トキ正宗がつぼみの状態なら1億出すといっちょる。インバンウンドを見込んで、桜の満開時期も脅しのひとつになるちや。」
「ふん、オレはこのおねーちゃんと仲良くしたかないんでね。」
と、ミコが向こうに行ってしまった。
「嫌われちょる(笑)。」
と最首。
「あすか、これは完全に、先に見つけたもんの勝ちや。それでええんやな?」
「別に、あんたとこんな約束する必要もないけどな!」
あすかはくるりと、桜の木々の中に向かって歩いて言った。
そしてあすかは言う。
「探せ―っ! 桜の満開を汚い取引の道具にするんじゃねえ!」
「はっ。」
西区表番の水、風、林たちが散っていく。
そこに、カア、カアとカラスの大群がやってきた。
「紅! まさかお前が……?」
「ほほほ……。そうよ。お前は……。
わたしの美しい顔に傷をつけたじゃないの!
日本中の桜なんて、枯れて落ちるがいいわ! 人より、カラスのほうが見つけやすいに決まっているでしょ!
あんたの思い通りなんかにさせないわ!」
桜全滅計画は、紅によるものであった。もちろんその裏には全中裏が……。
「くそお。やっぱり、ヒバリか。」
あすかがつぶやく。
一刻も早く、セピア色の桜が咲くのを阻止せねば……。
そのときだった。
「ピューィッ!」
「あ、あんたたちは!」
蘭塾で会った、バーゲンとミキリだ。
地図を出す。
「このA地点より半径1・5m。それ以上は絞れなかった。マサチュー工科大学と気象台、そして日本野鳥の会が出しているデータを解析した。この地域に、セピア色の桜が必ず、ある。」
と、ミキリ。
「今すぐ向かえば、3分43秒以上5分22秒以内にその地点につけると見たね。」
とバーゲン。
「ありがとよ! ミキリ、バーゲン!」
「最首に気をつけろよ! 先に見つけている可能性がある!」
「おう!」
あすかがA地点に到着すると、少し離れたところに、最首がすでに小さな子杖の先にある、セピア色の桜のつぼみを見つけていた。
人海戦術で見つけ出したらしい。
「馬場、トキ政宗にやらんでも、どげんかならんか。」
「策がないこともない。」
「さすが馬場ぜよ。」
二人がのんきな話をしているあいだに、最首があすかに気付いた。
「あすか、なぜここに? あー、ミキリだね。あの秀才が。」
あすかはつぼみの前に来た。
「あすか、やるがかえ!」
とケンカを売る最首を横目に、あすかはさっと、セピアの桜のつぼみをプツリと手折った。
「あーーーーーーーーーーー!」
「最首、ケンカしたかったかい? わたしの目的はこれでね。むかしからガキはずるがしこいと決まってんだ。」
「あー! セピアの花びらなんて珍しいもん、開花までビデオで納めてYouTubeに上げよう思っていたのに。」
「馬場、お前の策って、けっこう、ふつうぜよ。」
「……そうか?」
「金にならん。トキ政宗に持っていくちや。待て、あすかー!」
あすかたちの尽力で、日本全国はこれからも桜の満開を楽しめることとなった。
「セピア色の桜の花、咲いたところ見たくもあったけどなー」
みんなと笑いながら、吉野を去るあすか。そのころ、
吉野某所では、
「おのれあすか……。またしても。」
と言いながら、人形の顔をつぶすヒバリの姿があった。
「まあよい! 春日、上野の桜が見たくなってきたぞ!」
「はい! ヒバリ様!」
見つけてしまえば、変わった色の、ひとつの桜のつぼみ。
「残念だけどな、ごめんな。」
とつぶやきながら、
あすかはセピア色の桜のつぼみを、多摩川に放り込んだ。
「花のあすか組!」
わかる人しかわからなくてごめんなさい。ここを見たら少しわかるかも。
よろしくお願いいたします!