ライター養成講座と大学での学びの違い(アートライティングコースで学べる事③)
文章の書き方を学べる場所はたくさんありますよね。書籍も山ほど出版されていますし、出版社や現役ライターによる講座も人気です。
私も、大手出版社のウェブ媒体が主催する講座を二つほど受講したことがありますし、大学ではなく売れっ子ライターさんによる長期講座を検討していたこともあります。
でも迷った末に、京都芸術大学のアートライティングコースを選びました。どちらの方が良い・悪いとの判断はできませんが、私の思う両者の違いについて書きたいと思います(あくまで私個人の感想です)。
私のように、全く実績がないのに書くことを仕事にしたい、京都芸術大学のアートライティングコースに入ってみたいけど、ウェブ媒体やライターさんの講座と迷う、という方のお役に立てたらうれしいです。
■ライターさんが開く講座について(なお、そういった講座をすべて受けたわけではありませんし、主催するライターさんによって内容も違ってきます。私がライティングの勉強ができる場所を調べていて入手した情報や、実際に受けた講座をもとにお話ししたいと思います)
ライター養成講座で重要視されているのは「実用」です。
書きたいことを書いて仕事にするには、「書きたいこと」と運営側の求めるものを合致させなければならない。そして運営側が最も求めているのはやはり「収益化」です。
どうしたら利益がでるか。PV数が増えるか。そのために使える予算など、運営の仕組みを理解すること。
また、そのような媒体の運営側が求めるものと、自分の書きたいことをマッチさせるための「編集力」と「企画力」が最も重要であると繰り返されていたのが印象的でした。
ジャンルは関係ありません。自分の好きなもの、得意分野、書きたいテーマなど、文章化してどこかの媒体に掲載してもらうには、何はなくとも「企画」。紙でもウェブでも、運営は常に企画を欲しがっている。そのため、企画の立て方や企画書の書き方に多くの時間が割かれていました。
ライター養成講座は、仕事に直結するための知識やスキルを身につけるためのものです。教える側もシビアで、課題がいきなりインタビューだったり、フィードバックで厳しい言葉をかけられたり、ライティングの素地がない私は凹むことが多かったです。
ですが、ライティングを仕事にすることの現実や難しさを教えてくれるものでした。
一方で、京都芸術大学のアートライティングコースは、真逆といえるかもしれません。
■アートライティングコースについて
コースでは、まず「理論」と「知識」、その後に「実践」となります。
アートとは何か、アートライティングとは何かを考え、その意味と意義を理解しようとする。そのうえで、批評、歴史、エッセイ、論述、インタビューを実践します。
また、課題は決められているので、そこに沿ったテーマ選びをすることになります。そのため、好きなことばかりをテーマにすることはできない場合があります。身近なモノや知っている街、歴史的価値のある文化財など、これまで自分があまり触れたことのないテーマであっても、調べたり外に出て発見することが求められます。
ここでの目標はアートとアートライティングについて理解を深めることです。アートライティングコースでは、書くことだけでなく芸術史や美学理論、東西の芸術理論といった芸術に関するアカデミックな授業が必須となり
ます。そこで身につけた知識は、アートを得意分野として書くことを仕事にすることに繋げられる可能性があります。
また、アートライティングコースは、「書く」という行為によって、目に見えない現象や些末な物事をくっきりと浮かび上がらせ、彩りを与え、名前をつける。そうすることで世界をより豊かなものにする。
つまり、収益化や具体的な数字目標というより、「書く」ことが意味あるものにするための学びであり、実践を行う場だと思います。
■まとめ
<ライター講座>
書くことを仕事にするため、収益化も含めたライティング業界の仕組みを理解すること。またそこで必要とされる「編集」「企画」のスキルアップを目指す。
<アートライティングコース>
ライティングの理論をふまえて実践していく。目に見えないものを文章という形に残せるスキルを身につけることを目指す。また、芸術の基礎知識をみにつけることができる。
両者は真逆、といいましたが、人の心を打つようなアートライティングが書ければ、おのずと読みたい人は増え、収益にもつながるはず。一方で、書き続けるためには社会のニーズを知ることも大切です。あらためて、どちらの学びが優れているかということではないな、と感じました。
「書くこと」に対して目的や目指す方向を定め、それに最もフィットしている学びは何か。それを自分で考え、覚悟を決めることがなによりも重要だと思いました。
以上、あくまでも私個人の所見ではありますが、ライター養成講座と京都芸術大学のアートライティングコースの違いについて考えてみました。
参考になればうれしいです。
最後まで読んでいただきありがとうございした!