令和6年にツイン・ピークスを観る奴 その2(ファーストシーズン3~7章)

観ていると、「ああ、あのドラマとかはツイン・ピークスのこういうところをオマージュしていたのかな……」と感じることが多々あった。しかしこの時点でそれをあれやこれや語ってしまうとツイン・ピークスの感想としての側面が薄くなるというか濁るというか……
出発点はRusty Lakeシリーズの原点を探るということだったためそのシリーズについて触れることだけは自身に許そうと思うが(別に誰に咎められるとかという訳でもないんだけど)、ひとまず後世の作品への影響については今回は無しにして書き残したい、と思います。

常にある不可思議な不気味さ

まだファーストシーズン3~7章まで(Blu-rayコレクションのディスクで言えばようやく2枚目)しか見ていないけれど、恐らくツイン・ピークスが伝説的な存在になった一つの要因として、常に話の全体にあるどこか不気味でこの世のものでは無いものが常にすぐ側にあるようなミステリアスな雰囲気が挙げられるのではないかと思う。本当に予想だけども。
ローラが誰かに殺害されたという話自体において、そこに超常現象めいたものは見られない。殺害したのは(恐らく)二人の男によるもので、手口も動機もオカルトめいたものが絡んでいるわけではなさそう。優等生に見えていた少女は悪い男達との付き合いがあり、その果てに始末されてしまったという流れ。
なんだけども、このローラが何やらそれ以上に怪しい。というよりもこのツイン・ピークスという町自体が何かおかしい。ついでに言えば捜査にやってきたクーパーも別途おかしい。
ローラ(と同じ顔をした女性)は2章の終わりでクーパーの夢に出た『赤い部屋』にて謎の小男と共に謎のメッセージを残している。
また、一番自分を困惑させたのはこの会話だった。

ハリー「変な話をするが信じてほしい。ここは時に取り残された別世界だ」
クーパー「知ってる」
ハリー「それがこの町の良さだ。でもここには裏側がある。負の部分だ」
クーパー「つまり?」
「邪悪な存在だ。森に何か潜んでる。闇と言うか魔物と言うか。姿を変える。でも確かにずっと昔からそこにいる」

ツイン・ピークス ファーストシーズン 3章(日本語字幕) ハリーとクーパーの会話より

この後にもやり取りが続くが、この一連の会話が出てきたときに正直面食らった。あまりにも火の玉ストレートに「この世界は別世界」だと、常識人枠であると思っていたハリーが言ったためである。
ハリー以外にもホークやエドがいるがその二人も真面目な顔をしている、つまりハリーの言っていることに齟齬が無いということのようだった。
この「別世界」というのはどういうことなのだろう。都会とは全く別のや常識があるような令和流行りの因習村的なことを言っているのか、はたまた本当に現実とか全く別の次元に存在するということなのか。正直、後者と捉えてしまうような現象が度々起こるためどっちの意味か分かりかねている。
このツイン・ピークス、そしてここで起きていることは常世の外で起きていることなのか?

ローラって何者なのか

正直これについて今語る方がおかしいというか、恐らくツイン・ピークスの最大の謎であろうことを今考えても分かる訳ないのだが、やっぱりここの辺りから特にこのことについて混乱が深まったのも事実なので現時点で思ったことを整理したい。
前述でも少し触れたが、ローラは優等生に見えていたがその内には歪んだものがありそれを本人も自覚していた。そしてそれを精神科医ジャコビーと、ローラと関係を持っていたボビー(話を見るにつれて正直彼が彼女と『付き合っていた』という言い方が相応しいとは思えなくなってきた)はそれに気付き同じ闇に堕とされた、若しくは堕とされかけている。
ジェームズも堕とされされかけてたけど踏みとどまった、と言えるだろうか。少なくとも色々人生も心も狂わされつつあるだろうけど……遊ばれてると知った時のジェームズの心境しんどすぎる。

人は善良であろうとしているけど皆腐っている。特に自分は。世の中を良くしようと思う度に体の中の怪物が自分を地獄に引き戻す。真っ暗な悪夢の奥深く連れ込まれ、その度に光が遠くなる。

ツイン・ピークス ファーストシーズン 3章(日本語字幕) ボビーがローラの言葉を振り返って

この辺りから、事件の被害者であるはずのローラがツイン・ピークスという街の様々な人々の心を生前から掻き乱していたことが分かってくる。しかも意図的というか自覚があった上で、そう望んでやっている。凄くチープな言い方になってしまうが、ある意味でこの事件の真の黒幕は彼女自身ではないか?と思わせてくる。
引用のローラの言葉は俯瞰的で、人の理から解脱してしまった存在のような印象を受けた。彼女が生まれつきそういう思考だったのか、それとも何か切っ掛けがあった、というか本当に彼女はちゃんと人間なのか……?ツイン・ピークスという街に潜む魔なる者の一部なのでは、と思いかけている。
これについて明かされることはあるのだろうか……。

その他箇条書き感想

ひたすら謎が謎を呼びまくる展開だし6章では衝撃のラストも迎えている。
何処まで謎は解明されるのだろうか……

  • 3話から、いきなりローラ父のSAN値が下がり始めてびっくりした。ローラ母の方が憔悴しているかなと思ってたのに……

  • クーパーも都会の方から来た余所者であろうに、アルバートについて「都会から来た野郎に街を汚させてさせてなるものか」って言っててワロタ

  • クーパーはツイン・ピークスについてかなり好意的というかこの土地を気に入っているようだけど、実際クーパーも夢でヒントを得るなどかなり謎の能力を持っているみたいなのでツイン・ピークスという異次元に惹かれるものがあるというか呼ばれたような感じなのだろうか

  • クーパーの過去についても明かされるのだろうか(かつて愛した女性がいて、その女性から愛することの重みと責任、悲恋の辛さを学んだとのことだったので)

  • マデリーン=ローラのいとこがローラと瓜二つなことについて反応しているのがジェームズ、ボビー、ジャコビーとローラに狂わされた3人でそれ以外の人間はあまり特別な反応を示していないように見える。これは何か意味があるのか、自分の思い過ごしか?

  • ノーマの夫(ハンク)の顔つきが某芸人に近いものを感じるんだけど何か信用ならない顔をしているし実際信用してはならない男だった……

  • オードリー、凄く美人だしスタイルもいいし頭もいいんだけど一番関わりたくなさすぎる 何もしてないのに破滅させてくるの怖い

  • ジャコビーを奇襲した人物と6章ラストでクーパーを撃ったのは同一人物なのかな?と思うけどこの一夜で色々ありすぎなのでどうなるのか

色々書きましたが結論として何も分かっていません。とにかく続きを観ます……

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