強制収容所紀行文 -ザクセンハウゼン-
ザクセンハウゼン強制収容所は、ベルリンから電車で1時間ほどの場所にある。こんな住宅街の中に、本当に強制収容所跡地があるのか?と疑いながら進んでいくと、突如としてその姿を表す。前回がブーヘンヴァルトだっただけに、かなりの衝撃だった。
訪問客は、アウシュヴィッツ・ビルケナウほどではないが比較的多かったように感じた。あちらこちらからスペイン語が聞こえたので、おそらくツアーか何かでやってきたのだろう。1人日本人を目にしたが、彼もまた僕と同じようにのんびりと展示を見ていた。
強制収容所記念館や博物館を見て回る中で、本当に各々の歴史があったのだと感じる。一括りに強制収容所と言っても、その場所が主にどういった人々を収容していたのか、どのような設備が備わっていたのかという点で様々だ。ザクセンハウゼン強制収容所は、「絶滅収容所」と呼ばれる種のものとは一線を画しているが、ガス室の導入も進んでいたのである。
ザクセンハウゼン強制収容所は、対戦末期に連合国軍による爆撃を受けており、その過程で収容されている人間も大量に爆死した。この記念館には連合国軍による爆撃の展示もあり、ナチスによるマイノリティー迫害と共に考えるべきもう1つのトピックとして提示されているような気がした。戦争はいつだって「勝てば官軍」の様相が出てしまうが、勝者も敗者も歴史自体に反くことはできない。歴史はその事実を克明に記憶しているのだから。