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1次進行性の多発性硬化症が新薬「ケシンプタ」で奇跡の回復!

多発性硬化症、通称MS。

本来、MSの薬は治療薬ではない。根本治療の方法が確立されていないからこそ難病なのだ。

だが2021年末に日本でも認可された新薬ケシンプタによって、僕の病状は何故か回復に向かっている。

今は月に1回の通院でペンタイプの注射を打っている。治療はそれが全てだ。

僕の担当医であるMS専門医に聞くと、他の患者でも背中の激痛が収まったりと、効果があらわれているようだ。

神経の世界では何が起こるか分からない。僕はその「何が起こるか分からない」の極めて良い方に当たったのかもしれない。

一時期は歩くのが難しく、座った姿勢を保つのも難しく、数カ月間ほぼ寝たきりだった。

いつ自力で入浴できなくなるか、トイレにもいけなくなるかという戦いだった。

しかも僕は「1次進行性のMS」と診断されており、タイサブリ、メーゼントなど他の薬は全く効き目がなく、ただただ病状の進行に絶望しているばかりだった。

なにせスマホやゲーム機を持つ手にも力が入らず、外界との接続方法の一切を失ってしまうかもしれなかったのだ。本当にひどい状態だった。

妻は僕の障害を見切って離婚を突きつけ、母が僕の面倒を見てくれていた。

僕はいま38歳だが、この先の長い人生、ずっと暗い暗い世界の中で生き続けるのだと思ったら、正気ではいられなくなりそうだった。

だが体が朽ち果てる前の絶妙なタイミングでケシンプタが日本で使えるようになった。まさに奇跡のタイミングだった。

今でも歩くことがしんどかったり、体が疲れやすかったり、右腕が90度より上がりにくかったり、腰のきしみがひどかったりと色々と症状は残っている。だけどなんとか日常生活を過ごし、仕事にも軽く復帰できるぐらいになった。

寝たきりで人生に絶望するばかりだったあの頃とは、雲泥の差だ。

医学の薬ひとつで、ここまでに人生は天と地に別れてしまう。医学は偉大だ。気合や精神論ではない。僕は医学によって生かされている。


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