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サイクリスト視点だと栃木県は魅力的だという話

2020年の10月中旬に発表された都道府県魅力度ランキングで栃木県が最下位になっていました。

その結果を見た時にわたしが思ったのは「首都圏へのアクセスは悪くないし、適度に田舎で過ごしやすいし、食べ物が美味しくて有名な観光地や景勝地もあるし、何よりも我々サイクリストに理解があって走りやすい道がたくさんある、とても良い県だよなぁ。」という感想でした。
(埼玉県に引っ越してくる前、10年ほど栃木に住んでいました。)

日光東照宮や中禅寺湖、那須高原や鬼怒川温泉、宇都宮餃子やアウトレットなどのメジャーな魅力については沢山の人が言及されているので、わたしはサイクリスト視点で栃木県の魅力を書いてみようと思います。

ジャパンカップ サイクルロードレースの開催地

サイクルロードレースに興味があって、日本国内で観戦してみようと考えたことのある方であればご存知かと思いますが、アジアで行われる最高峰のレース(※1)である「ジャパンカップサイクルロードレース(以下ジャパンカップ)」は栃木県宇都宮市の郊外、宇都宮森林公園で毎年開催されています。

このジャパンカップは、国内やアジアのプロロードレースチームはもちろんのこと、トップカテゴリーであるUCIワールドチーム(※2)が複数参加するレースでもあり、ツール・ド・フランス(※3)のようなビッグレースに参加するチームと選手を日本で直に見ることができる数少ない機会として、ロードレースファンから認知されています。

有名選手といえば、2020年のツール・ド・フランスで総合優勝したタデイ・ポガチャル選手は2018年に参加していましたし、ダミアーノ・クネゴ選手、ファビアン・カンチェラーラ選手、アルベルト・コンタドール選手、ジョン・デゲンコルプ選手といった超有名選手も来日し、ロードレースの前日に宇都宮駅前を封鎖して行われるクリテリウム(エキシビション)に参加しています。

※1:2020年現在アジアで唯一の「UCI PROSERIES(プロシリーズ)」となっています。
なお「UCI PROSERIES(プロシリーズ)」は「UCI WORLDTOUR(ワールドツアー)」につぐ、上から2番目のカテゴリーです。

※2:UCIワールドチーム
UCI(国際自転車競技連合)によるチームの格付けで、トップにカテゴライズされているチームです。

※3:ツール・ド・フランス
毎年7月にフランスとフランスの周辺国を舞台に行われる自転車ロードレース。FIFAワールドカップ、オリンピックと並び、世界三大スポーツイベントの1つと称されることもあるビッグタイトルです。

ジャパンカップが育てた土壌

ジャパンカップは1990年に宇都宮市で開催された世界選手権自転車競技大会のロードレース部門のメモリアルとして1992年から開催されるようになったのですが、わたしはこのジャパンカップが栃木県にスポーツサイクリングの文化を根付かせた大きな要因であると思っています。

そう考える理由としてまず挙げられるのが、ジャパンカップが10万人を超える来場者数を誇る大規模なスポーツイベントである点です。

10万人を超える様な大規模なスポーツイベントであるため、市や県から地元住民の方達への説明と理解を促す活動は常に行われているでしょうし、お仕事やボランティアといった形で、このイベントに関わっている方も多くいらっしゃると思います。

つまり、ジャパンカップの開催地である宇都宮市の周辺はもちろんのこと、栃木県で暮らしている方であれば、ジャパンカップというイベントと共にサイクルロードレースというスポーツを知る機会が多いのではないでしょうか。

また、ジャパンカップを観戦した人の中にはジャパンカップに憧れてプロサイクリストになり、日本初の地域密着型のプロロードレースチームである宇都宮ブリッツェンを立ち上げた廣瀬佳正さんのような方もいます。
廣瀬佳正さんが宇都宮ブリッツェンを立ち上げるまでの話は以下リンク先の記事を読んでみてください。

執筆された佐藤 喬さんの文章が好きなこともあり、一気読みしてしまいました。

宇都宮ブリッツェンは那須ブラーゼンという栃木県にあるもう一つの地域密着型のチームと共に、栃木県のローカルメディア(TVやラジオ、フリーペーパーや地方新聞など)に取り上げられることが多く、お店の広告に起用されることもあります。

また、小中学校に出向いて自転車交通安全講習を行っていたり、次世代の選手を発掘する活動を行っていたりと、栃木県に住んでいるとプロのサイクリストを目にする機会が多くあり、サイクルロードレースに対する認知度を高めることに大きく貢献していると思います。

ユニクロと宇都宮ブリッツェンがコラボしたという記事を読んだとき、こんな事あるんだ!と素直に驚きました(笑)

以前ジャパンカップの会場で宇都宮ブリッツェンを応援している家族から聞いた「宇都宮の小学生はコンタドール(スペインの超有名選手)のことは顔も名前も知らないけど、宇都宮ブリッツェンの選手のことは顔も名前も知っている。」という話。

冗談だと思っていましたが、本当かも知れませんね (^ ^;

コンビニと道の駅がサイクリストフレンドリー

ジャパンカップのような大きなイベントや地域密着型プロロードレースチームのおかげで、サイクルロードレースやロードバイクに対する認知度が高まっている栃木県。

特に宇都宮ブリッツェンと那須ブラーゼンの本拠地である宇都宮市の周辺や那須地域のコンビニや道の駅には、必ずと言っていいほどサイクルラックが置いてありますし、自転車の駅になっているコンビニにはロードバイクのちょっとした整備や修理ができる設備が整っています。
(最近はサイクルラックが置いているお店も増えていると思いますが、ロードバイクの整備や修理ができるところはなかなか無いと思います。)

ロードバイクでサイクリングをしていると避けては通れないのがパンクというトラブルですが、応急処置をして最寄りの自転車の駅まで移動できればきちんとしたポンプを使ってタイヤの空気を入れることができます。

また、コンビニや道の駅から遠く離れた場所で自分ではどうにもできないトラブルが発生してしまったときは、サイクルレスキューというサービスを活用することもできます。

つまり、市や町をあげてサイクリストを歓迎してくれているのです!

最後に

栃木県はサイクルロードレースやロードバイクに関する認知度が高まっている県であるということを書いてきましたが、その恩恵として我々のような一般のサイクリスト向けのサービスを市や町が準備してくれていますし、栃木を走ることを歓迎してくれていると思います。

また、プロスポーツとしては「ツール・ド・とちぎ」という栃木県全体を使って行われるレースが新たに開催されるようになったことからも、サイクルロードレースとサイクルスポーツが栃木県の日常に溶け込み始めてきていると考えられます。

日本ではまだまだマイナーであるサイクルロードレースとサイクルスポーツですが、栃木県から新しい風が吹き始めているのかも知れません!!

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