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世界の選手と闘っていくために

 タイトルにあるように、今回は武術太極拳で海外の選手と闘っていく為に、技術面で今の自分が何をすればいいかを書いてみました。
 昨年の世界選手権での反省から得た具体的な課題を書き出した感じです。
 新型コロナウィルスの影響で今年は大会が全て中止になり、来年も大会が無事に開催されるかまだ不明ですが、アスリートとして競技力向上は念頭に置いておきたいので、このテーマを書くことに決めました。
 主に3つの課題に分けました。そしてなるべく専門用語を用いない形で伝えていきたいと思います。

①難度動作の安定性

 先ず何より自分が解決するべき課題は難度動作での成功率を安定させることです。
 正直、昨年まで自分はもう大きなミスはしないものと思っておりましたが、昨年の世界選手権で大きくミスし、悲惨な結果を残しました。
 その要因は色々考えられますが、一番大きいのは精神面での弱さです。
 初めての世界選手権の出場ということもあり、試合前は顔が酷くやつれ、コーチ・他の選手に心配をかけさせてしまったほどに緊張をしていました。
 そのような緊張等による精神コントロールの改善方法として以下にいくつか考えています。
 先ずは日記などで自分の精神状態を客観的に見られるようにすることです。これまで練習日誌は書いていましたが、技術面ばかりでしたので、そこに加えて自分の精神状態もなるべく詳細に書いていこうと考えています。
 また日々の習慣の中に瞑想を取り入れていきます。瞑想もこれまでやっていましたが、大会シーズン中だけのように限定的でした。大会シーズンだけでなく、まさに今のようなオフシーズンのときにも行い、習慣化して長い期間で安定したメンタルの獲得を目指していきます。
 
 また精神面以外に、身体面でのアプローチの必要もあります。
 ミスをしない身体づくりの為に、現在トレーナーの方と協力して頂きトレーニングのプログラムを組んでいます。
 難度の着地に必要となる臀筋群の部分等を重点的にトレーニングしています。
 練習が再開して約1ヶ月経ちましたが、跳躍難度着地のときの身体の感覚が良いように変わっていて、効果を感じています。

以上のように、精神面と身体面での両方のアプローチから100%の成功率を目指していきます。

②身体の小ささの克服

 男子太極拳の平均身長は世界的にみると170cm以上はある思います。
 それだけ太極拳種目では身長が高い方が有利とされています。限られたコート内でゆっくり動くので、より大きい方がそれだけ迫力が出やすい為です。
 一方僕の身長は163cmとその中では低く、色々と工夫する必要があります。
 しかし低身長でも世界で活躍している選手もいるので、そういった選手から低身長でも大きく見えやすい動作、その方法を取り入れ、研究していきます。特にその中で、足の運び方(歩法)を粘り強くしていくことは一つの解決策になると思います。

 またトレーニングによって上半身を大きくして、身体全体を見栄えよくすることも考えています。
 やはりコートに立った時の第一印象で小さく弱々しく思われてしまうとそれだけでマイナスになってしまうので、それをなるべく失くすようにします。
 またこの後の部分でも述べますが、上半身を大きくすることは、立った時の単なる見栄えの変化だけでなく、発勁動作という後半部分の盛り上がりで技術的にも必要になってきます。

③後半部分のパワー、盛り上がり

 太極拳種目では演武の後半には発勁動作という、比較的速い動作の組み合わせが続きます。
 特に男子太極拳ではこの速い動作の連続による盛り上がりが重要になってきます。
 自分は身体が小さく、上半身の筋肉が少ないためこの部分の盛り上がりが欠けていました。
 その為、身体を大きくすることでその各動作にパワーを付けて、より盛り上がりを見せていく必要があります。

 またこの発勁動作と呼ばれる動作の連続には、背景の音楽に合わせたリズミカルな要素も必要です。
 ここは他の選手を見てどのような組合せを用いているのか、その中から自分で真似できるものはないかを研究していきます。

 技術的なことをいうと、各動作で腰を円滑に動かせるようになると、より素早い動きができるようになり、表現の幅も広がると思っています。


 以上、自分の武術太極拳に対しての技術的な課題を主に難度の安定性、身体の小ささの改善、後半の盛り上がりの3つにまとめて書かせて頂きました。
 今後の自分の演武の変化に少しでも期待して頂けると嬉しいです。

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村上僚(武術太極拳アスリート)
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