GDPを知ろう②【三面等価の原則】
(最終更新日:2021年12月10日)
皆さんこんにちわ!まっきーです。今回も、経済について勉強していきましょう!今回は基本中の基本と思われる「GDP」第2弾。
「三面等価の原則」について一緒に勉強していきましょう!
三面等価の原則
これ、学校の授業で聞いた記憶がある方もいると思います。「あるものを3つの視点で見た時、その値はすべて同じになる」と言う意味なのですが、これに当てはまるのがGDPという訳です。
GDPには「支出面・生産面・分配面」この3つの視点があります。1つずつ見ていきましょう!
支出面のGDP
これは「支出」を合計した金額になります。「支出」とは、要するに何かを買って支払った金額という事。内訳には「民間最終消費支出」「政府最終消費支出」「総固定資本形成」「在庫品増加」「純輸出」があり、これらを合計したものです。
何だか聞きなれない文言ばかりですね。全部説明すると難しくなると思うので、ざっくり「誰かが日本国内で支払った金額の合計」だと覚えてもらえばOKです。
生産面のGDP
これは「付加価値」を生み出した金額の合計です。付加価値と言うと、ちょっと分かりにくいですね。
例えば、私が農家からリンゴを1個100円で買ったとします。これを加工して200円のリンゴジュースを作ったとします。そして、これを流通業者を通じて最終的にお店で300円で販売されたとします。
すると、農家、私、流通業者それぞれが100円の付加価値を生み出した事になる。そして、それを誰かが300円で買う(支出面のGDP)。
付加価値の合計額は、誰かが購入した金額と同じ額になる、という訳ですね。
分配面のGDP
これは、いわゆる「所得(給与)」からみたGDPです。
「雇用者報酬(家計の所得)」「営業余剰(企業の所得)」「固定資本減耗(減価償却)」「税金(政府の所得)」を足したものになります。
なんだか難しい言い方になってますが、個人・法人・政府がそれぞれ手に入れた所得だと思ってください。
言葉だけで説明しても、やや理解が難しいと思います。
これらを分かり易くした図が、私が経済を勉強していた時によく見ていた方のブログに記載されてました。すごく分かり易い図なので、ちょっと拝借をさせて頂きます。
上記の図を見れば、「分配面(所得)」「支出面(消費支出)」「生産面(付加価値)」3つの値がすべて「1,000円」になると言う事が分かりますね。このように、3つの視点のGDPは必ず同じ金額になります。
『誰かの支出は誰かの所得』という事実
このGDP三面等価の原則から特に学んで欲しい点は「誰かの支出は誰かの所得になる」という点です。
逆に言うと「誰かが支出を減らせば、その分だけ誰かの所得が減る」ということ。デフレ下では、これが慢性的に発生するためGDPが減り、結果として誰かの所得も減る、という流れになります。
よく聞く「無駄を省く」「節約する」という言葉はポジティブな印象ですが、マクロ経済の観点から言うと、それは結果として「誰かの所得を減らす」というマイナスの効果を生み出します。
そのため、デフレ下において政府が節約のために何かを切り詰める(例えば、災害用の防潮堤やダム等の作成を取りやめる)事は、災害リスクを放置するだけではなく、結果として誰かの所得をも減らす、という2重に悪い結果を生み出します。
これって誰も得をしませんよね?
例えば、「公務員の給料を減らす」という行為ですが、無駄を省くと思われるため、国民からも賛同を得られやすい。
しかし、その結果として、必ず「誰かの所得が減る」ことになります。
つまり、マクロ視点から言えば、結果として国民から所得を奪う行為であり「デフレ不況下では実施すべき政策ではない」という事になります。
『プライマリーバランス黒字化目標』の愚かさ
みなさんは、財務省が「プライマリーバランス黒字化目標」を掲げている事をご存じでしょうか?
プライマリーバランス(PB)とは、社会保障や公共事業をはじめ様々な行政サービスを提供するための経費(政策的経費)を、税収等で賄えているかどうかを示す指標です。現在、日本のPBは赤字であり、政策的経費を借金で賄っている状況です。
引用元:財務省HP より
プライマリーバランス(以下PB)とは「その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれだけ賄えているかを示す指標」です。
つまり、税収を増やしつつ政策的経費(支出)を減らす、という事ですね。
これ、ものすごく違和感を感じませんか?
なぜなら、税収を増やすという行為は「国民から、より多くの所得を奪う」という事です。
そして、政府が支出を減らすという事は「その分だけ、誰かの所得も減る」という事にもなります。
つまり、このPB黒字化目標とは「出来るだけ政府はお金を使わず、国民から所得を奪う」と宣言している事になります。
そして、さらに良くないのが「デフレ化におけるPB黒字化の推進」です。
今の日本はデフレ不況により、国民の所得が減り続けています。
そんな状況で、PB黒字化を進めれば「国民の所得がますます減り、結果的に政府の税収も減る」という本末転倒な未来しかありません。
このPB黒字化って、様々な意味で間違えていると思いませんか?
これについては、別の記事を書いていますので、ご興味がありましたら、併せてお読みください。
「合成の誤謬」という言葉
景気が良くなり皆さんの使うお金が増えれば、その分だけ誰かの所得も増えます。これはマクロ経済の特徴であり、一般の家計(ミクロ経済)とはまったく異なる部分です。
所得が減れば、家計では支出を減らしますよね?これは極めて合理的な行動です。「節約」や「貯蓄」は、極めて前向きな行動に思えます。
しかし、皆が節約や貯蓄をして支出を減らしてしまうと、それに比例して「誰かの所得も減る」と言う事を、三面等価の原則から皆さんは学びました。
このようにミクロ視点(家計)からみれば合理的な行動でも、マクロ視点(国全体)から見ると良くない状況が起こる事を「合成の誤謬(ごうせいのごびゅう)」と言います。
デフレ不況下では、まさにこの「合成の誤謬」が発生している訳ですね。そして、この状況を打破できるのは政府しか居ませんが、結果はこれまで説明した通りです。
さて、いかがでしたでしょうか?やや難しい内容であったかも知れませんが、知っておいて損はないと思いますので、これを機に覚えていきましょう!
最後までお読み頂いて感謝です!少しでも日本経済に興味を持っていただけたら本当に嬉しいです!もし良かったら、次回も一緒に勉強していきましょう!よろしくお願いいたします<(_ _)>
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