ようこそ、シアタールームへ
数週間ぶりに納得のいく涙活ができた
鼻からツーンと来るものがあれば
これはもう しめたものだ。
そういや
私が泣くのをちょっと嫌がる人もいたな
本気で突っ込むと泣いちゃうからやめとく
なんて予防線を貼ったりする奴
元恋仲を抜けて
信頼しあえる友達のような存在になりたいのに
うまく事が運ばないのが
もどかしい
とはいえ最近は彼のことも忘れるくらい
ラジオドラマにどっぷり浸かっているので
精神的には何の問題もないのだが。
私の涙活はここから始まる
そこに映像は無く 耳だけで味わう劇場
自分の為だけに開かれた劇場
一名様限定のシアタールームへ案内された私は
部屋を真っ暗にしてBluetoothのスピーカーで
それを聴く
ラジオドラマである。
時々 話の途中で一時停止ボタンを押し
主人公に向けてツッコミを入れたりもする
一人だし
誰も聴いていないから
今日の作品は「唐棣色の明日」
1998年 NHK銀の雫文芸賞 最優秀賞受賞
受賞した当時 作者は26歳
この難しい漢字は
はねずいろ、と読むそうだ
序盤はゆったりと時が進むので
展開を予測しながら聴いた
しかし 予想した展開はどれも的中せず
自分の未熟さにがっかりした
感動というのは、きわめて個人的なものなので控えますが
このコンクールの応募条件は
「高齢社会の生き方をテーマにした小説」とのこと。
高齢社会への提言が作家の手によって、
ここまで豊かに描くことが可能なのかという驚き、
そして深く余韻を残させる技に
私は涙した
作者のメッセージを
私は24年越しに受け取ったということに
なるだろうか?
この作品の募集が始まったのは
今から34年前の1988年だという
その頃の日本はまだ「高齢社会」だった
時の流れというのは、とても恐ろしい
加えて、4月から取っている授業の中に
「家族と高齢社会の法」という科目が
あったことを思い出した
高齢社会との向き合い方をこれを機に
今一度考えてみようと思う