最後がはじまり
誰にでも忘れられない人がいるもの。
もちろん私にもいる。
一度手に入れたものを手放すことに抵抗してしまうのは
人の心理。
けれど、どうあがいても繋ぎ止めておけなかったものもある。
ひとつは“わたしのせい”で壊してしまったもの。
もうひとつは、すこしずつ崩れてなくなってしまったもの。
どちらも私の中で人生をかけても大切なものだった。
いや、なくなってしまったからかもしれない。
何事もはじまりは案外ぬるっとしている。
気づけばそこにいたりする。
飛び上がるほどの喜びや震えあがるほどの感動があることは稀。
なのにどうして最後はいつまでも苦しみをくれてしまうのだろうか。
同じ過ちは繰り返すまいとする過去の自分からのメッセージだろうか。
『愛のいない部屋』石田衣良
普段小説は読まない。
だけど、姉の置いて行った背表紙に惹かれて読んでみた。
あぁ、小説家の作り出す言葉の比喩表現の魅力ってこういうことなのか。
孤独と愛の表現は人ぞれぞれ。日常が描かれた非日常の面白み。
たまに小説を読むのもいい。
ただ、静かな部屋で一人過ごすのにも飽きてきた。
だからこうして紛らわす手段を手に入れた。
これは初心忘れぬための備忘録。