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うつ病持ち設備設計が設備について熱く語るぞ:7.火事だ!その時建物はどうしてる?

どうも、沖やんです。
この章では、建物で火災などの災害が起こった時の建築設備の様子を説明します。
序章はこちら

火災発生!その時建物は?

建物内で火災が発生したときには、その建物にいる居住者をいかに安全かつ迅速に避難させられるかどうかで、被害を最小限に抑えられるかどうかが決まります。

一戸建ての住宅であれば、その住宅の居住者(家族)が避難できればそれで済みますが、大きな施設ですと不特定多数の居住者を避難させる必要があります。
居住者に火災を知らせて、安全に避難させるための設備を紹介します。

自動火災報知設備

建物内で発生した火災に伴う熱、煙、炎などを自動的に検知し、ベルやブザーなどで火災の発生を初期段階で知らせる設備です。
熱感知器、煙感知器、炎感知器などの感知器、火災発生を手動で発信する発信機、感知器や発信機などからの信号を受信して、火災発生を建物内の人にランプなどで知らせる受信機、火災発生を建物内の人に知らせる地区音響装置で構成されます。

自動火災報知設備の構成 ※1

誘導灯設備

地震や火災などの災害時に、建物の避難口への場所や避難口への方向を示し、避難を円滑に誘導するための照明設備です。通常時は常陽電源(商用電源)を使いますが、停電時には備え付けの蓄電池で一定時間以上点灯できるようになっています。
誘導灯の種類は、避難口誘導灯(緑色の誘導灯)、通路誘導灯(白色の誘導灯)、階段通路誘導灯、劇場・映画館などの客席誘導灯があります。

避難口誘導灯 ※2
誘導灯設備の種類 ※1

非常用照明設備

非常用の照明設備は避難を助けるための設備であり、不特定多数の利用がある居室や、避難のための通路・廊下・ロビーなどに設置されます。災害時や停電時に点灯することで、安全に避難できるようにしています。
非常用照明は一定の照度を確保する必要があり、さらに一定時間以上継続して点灯できる必要があります。

非常警報設備

建物内の居住者に火災の発生を知らせて、避難を円滑に進めるための設備です。前述の自動火災報知設備に似ていますが、火災感知機能は持たず、非常ベル・自動式サイレンなどの音響装置、操作装置、発信機などの起動装置、表示灯で構成されています。

また、音声によって火災発生を居住者に知らせて、避難に必要な情報を提供する非常放送設備もここに含まれます。非常放送設備は一般放送設備と兼用可能ですが、非常時は一般放送の機能を打ち切って、非常放送に切り替えなくてはいけません。

非常警報装置(フラットランプタイプ) ※3

ガス漏れ警報設備

都市ガス・プロパンガスなどのガス漏れを検知して、建物内の居住者に警報する設備です。ガス漏れ検知器、中継器、警報装置及び受信機で構成され、一定規模以上の施設や共同住宅(集合住宅)の3階建て以上の部分に設置されます。

排煙設備

火災発生時に出る煙(ガス)によって、人体にさまざまな悪影響を及ぼします。避難する方向に煙があると避難できなくなるので、建物内の人が容易に避難できるように煙の侵入を抑制して排出することが排煙設備の目的です。
排煙計画として、居室の用途や面積によって区画することが必要です。その区画を防煙区画といいます。これは用途・面積によって決められています。
排煙の方式には自然排煙方式と機械排煙方式があります。

自然排煙方式は窓などのサッシを開放して排煙する方式です。比較的簡単な方式で、電源などを必要としません。ただし外部の開口部を確保しにくい建物には不向きです。

機械排煙方式は送風機(排煙機)によって強制的に排煙する方式です。停電時にも作動できるように非常電源を必要としますが、自然排煙で対応できない場所でも確実に排煙可能です。排煙機、排煙口、手動開放装置、排煙ダクト、電源装置から構成されます。

機械排煙設備の構成 ※1

建物の様々な消火設備

建物の火災発生時の初期消火をできるようにするのも、建物の大事な要素です。一戸建て住宅程度であれば消火器を使いますが、一定規模以上の大きな施設では消火栓設備などを設置する必要があります。初期消火のための消火設備についても紹介します。

消火栓設備(屋内・屋外)

消防隊の到着前の初期消火のために使われる設備です。手動操作を基本とし、水をかけることで、冷却して消火します。
消防用水(消火用水槽)、加圧送水ポンプ、消火栓、消火栓の開閉弁、消火用配管によって構成され、一定範囲内の警戒区域ごとに消火栓を設置する必要があります。消火栓内のホースを取り出して、ホースの開閉弁を開けることで水を放出します。

屋内消火栓設備の系統図 ※1
消火栓 ※4

スプリンクラー消火設備

火災による熱で、天井などに取り付けられたスプリンクラーヘッドが反応して、水を噴射させて消火する設備です。自動操作が基本ですが、補助散水栓も同時に設置されることもあり、手動で操作(消火)も可能です。百貨店・病院・ホテルなどの不特定多数の人が使用する建物や、高層ビルの11階以上の部分に設置する必要があります。
消防用水(消火用水槽)、加圧送水ポンプ、スプリンクラーヘッド、補助散水栓、流水検知器、消火用配管で構成されます。

スプリンクラー消火設備の系統図 ※1

泡消火設備

泡による窒息作用と冷却作用を活用した消火設備です。身近なところですと商業施設などの屋内駐車場に使われることが多いです。まれに屋内駐車場で泡消火設備の誤作動でニュースになることもありますが、駐車場に泡消火設備を使っているのは、車のガソリンなどに引火した場合、通常のスプリンクラーですと燃え広がってさらに危険になるからです。
消防用水(消火用水槽)、泡消火薬剤、混合装置、開放弁、泡ヘッド、消火用配管などで構成されています。

ガス消火設備

不活性ガス(燃焼しないガス)を使用して、酸素濃度を低下させたり、冷却させたりして消火する設備です。二酸化炭素の気化による冷却作用と窒息作用を利用した二酸化炭素消火設備、ハロゲン化合物の燃焼抑制効果を利用したハロゲンガス消火設備、窒素の窒息作用を利用した窒素ガス消火設備などがあります。
消火は手動操作を原則とし、起動装置の扉を開いて警報→起動スイッチを押して再度警報→一定時間後にガス放射という動作原理としています。起動スイッチを押してからガス放射まで一定時間空けることは義務です。自動的に起動すると、逃げ遅れた人に危険を及ぼすためです。

消防隊が使う設備

建物によっては、初期消火だけでなく、消防隊の消火活動のために設けられる設備もあります。

連結送水管設備は、消防ポンプ車で消火活動な困難となる、3階以上の建物や地下街・アーケードに設置されます。消防ポンプ車のホースを建物内に設けたものと思えば良いです。

連結散水設備は、建物の地下階や地下街に設けられます。地下は煙が充満しやすく、消火活動が困難になりやすいためです。天井に設けた散水ヘッドから水を放出して消火します。

以上が、建物で火災が起こった時に、建築設備がどのような反応・対処するかの話でした。建物の規模や用途に合わせて防火設備・消火設備を計画して、災害時に人々を安全にさせるのも設備設計の仕事です。

※1 図説建築設備(学芸出版社)より引用
※2 パナソニック株式会社(https://www2.panasonic.biz)より引用
※3 ホーチキ株式会社(https://www.hochiki.co.jp)より引用
※4 初田製作所(https://hatsuta.co.jp)より引用

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