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インド経済は、”次の中国”になることが出来る?(UBS Su Mi TRUST ウェルス・マネジメント 青木大樹氏/Morning satellite Aug,2024)

インド経済は、次の中国になるのかについて解説する。

中国経済は景気不透明の中、インドはV字回復し、2023年の経済成長率は7.8%、2024年も6.8%と高い成長が見込まれている。

インドの経済規模は、3兆5721億ドル。一方、中国は17兆6620億ドルと大きな差はある。しかし、2000年時点の中国と比べると、既に2倍以上の経済規模になっていることが分かる。また、人口についても、2000年の中国並みの伸びを示している。雇用者数について、インドは女性の労働参加率が非常に低い国であることから、今後上昇の余地があり、遅から早かれその中国経済と肩を並べると考えられる。

ただ、インドが中国のようなグローバル製造拠点として輸出大国になれるについては困難と考えられる。理由として、中国とは異なった経済構造である故の課題を抱えていることから、中国とは違った成長パターンを辿ると考えられる。

中国とインドの経済構造の具体的な違いについては、GDPに占める製造業の割合の低く、基盤が出来ていないことが挙げられる。中国は2000年の時点で占める製造業の割合31.6%と高い水準であったのに対し、インドは2023年でも12.9%に留まっている。

今後、中国からサプライチェーンのシフトなど期待もあるが、土地開発やインフラ投資が不十分なことから製造業の輸出拠点となるための大規模な工場などの設置が難しく、中国と同様に発展するとは考えづらい。

一方、中国がここまで急激に成長することができたのは政府による土地を安くかつ容易に提供することにより大規模なグローバルに対応した工場開発出来たからだ。インドは、補助金政策による土地開発を推進しているものの登記や手続きの煩雑さが否めない。

具体的に、インフラ投資の数字を見ていくと、インドは10年間で約3倍インフラ投資増えているが、GDPに占めるインフラ投資の割合は5.8%と2003年の中国と比較すると、その差は大きい。インドは民主主義という点も理由の一つであろう。

では、インドの成長ドライバーについては考えてみると、中国のようなグローバルな製造生産拠点にはならなくても、人口の拡大や所得の上昇による消費大国として内需拡大の成長が大きいと考えられないだろうか。

製造業にも賃金見ていくと、これからまだまだ賃金の上昇余地が起きる可能性が高いのは明らかである。製造業は輸出向けではなく、国内向けの需要として、拡大する余地が大きいと考えられる。

インドへの投資アイデアについては、消費主導の財の普及が妙味がある。特に、家電や自動車の普及率が低いことから、株式の投資であれば、製造業含め、内需の拡大を捉えていく産業が良いと考えられる。

ただ、インドの金利が7%程度と魅力的な水準にあることから、円建てにすると金利差が大きいため、ヘッジコストが高いことから、ドル建てコスト抑えた投資が理にかなっていると考えられる。

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