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銀行の預金金利正常化により、今後は銀行間の競争化が活発化?(ピクテ・ジャパン 大槻奈那氏/Morning satellite Apr.2024)

日銀は先月マイナス金利を解除し、17年ぶりの利上げとなり、私たちが銀行にお金を預けたときに得られる預金金利にも変化があるのか?について解説する。

まずは、伝統的および振興系銀行の預金金利を見ていくと、引き上げ幅は普通預金20~30倍とはなるが、マイナス金利前の2015年末に戻っただけであり、正常化への1歩とは言える程度であり、極めて低金利な状態が続いている。

例えば、100万円を1年間預けた場合、定期預金での金利収入の増加額は最大でも300円程で、ため息が出るようなレベルである。

さらに、実質金利(預金金利-インフレ率)は、継続してマイナスである。“政策金利がマイナス“を続けてきた影響から、仕方ないと考えがちであるが、かつてマイナス金利だった当時のドイツと比較すると、日本の預金金利は極めて低い。そしてマイナス金利解除後は、大きな差が出ている。

なぜ、日本の預金金利は低いのか?

⑴ インフレ率の差

⑵ 貸し出し競争
貸し出し金利低いため、ヨーロッパほど預金金利を高くする余裕がなかった

⑶ 極めて低い金利水準
金利水準自体が低いため、預金金利に差をつけても、顧客を呼び込むほど魅力的な金利水準を付けられなかった。例えば、マイナス金利下であった2020年のドイツを見ると、各銀行の1年の定期預金金利は、0.007%~0.687%まで、約100倍の差をつけることが出来ていたことを考えると、日本の銀行との差が明確である。

⑷ 銀行の高い信用力
日本の金融機関の信用力高い分、海外のように預金金利に差をつけても、顧客を呼び込む必要がなかったことが挙げられる。

ただ、これだけ海外と比べ、日本の預金金利低いことは、貯金好きな日本国民にとって、大きな収益機会の損失だったと考えられる。

例えば、マイナス金利中の8年間で、預金金利がわずか0.1%高かっただけで、預金全体の収入は、7.5兆円増加した試算となる。特に、預金金利の低さから上昇したタンス預金が、10%銀行預金に流入した場合、0.4兆円増えることはユニークである。

今後、マイナス金利が解除され、銀行の預金金利を引き上げるモチベーションと確実に高まることを想定している。地域別に、銀行の金利増減をみると、大規模緩和が始まった2013年を期点にし、個人預金残高が、全国平均を上回っているのは関東しかない状況である。

そして、今後10年で見ると、都道府県によって預金残高が減少に転じてしまう可能性が極めて高く、国民全体が、銀行にお金を預けない時代が来る可能性があるため、銀行は、預金獲得に向けてとても競争が激しくなっていく時代が来るだろう。

そのため、銀行の戦略によっては、預金金利に銀行間の格差が出て、預金金利を基準にした銀行選びということが生まれることが想定できる。注意点としては、預金は銀行に対しての与信(銀行が個人に返さないといけないお金)であるため、長期の預金をする場合は金融機関の信用力にも注意すべきである。

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