トヨタのバイブリット戦略とアメリカEV市場の現状(Bloomberg ケビン氏/Morning satellite Feb,2024)
トヨタ自動車の株価は大幅に上昇し、時価総額は53兆円を超え、2024年3月までの1年間の業績見通しについて、売上高・純利益ともに上方修正した。時価総額で日本企業として初めて50兆円の大台を超えた。
株高の要因は、業績だけでなく、台湾の半導体メーカーTSMCの運営子会社への出資や2025年からアメリカで生産を始めるEV電気自動車工場への追加投資、そして2026年に世界でEVを150万台販売する点が好感されている。
しかし、アメリカ市場では、EV自動車の販売に異変が生じている。例えば、フォードF150ライトニングの価格はガソリン車で60,000ドル、EVは70,000ドルと、1万ドルの価格差がある。
その価格差を埋めるため、EVを買う際、最大で7500ドルの税控除を受けられる仕組みとなっているが、中国製の電池が入ったEVは税控除の対象から外す条件が加わった。
これにより、中国製の電池を積んだマスタングマッハEのような車は、税控除がゼロとなるなど、アメリカでは販売の伸びは2022年初めをピークに減速。
フォードやGMはEV事業の赤字が続き、生産縮小に追い込まれている。さらに極端な低温状態ではテスラ車の充電が遅くなることが報じられるなど、EVには逆風が続いている。
先行きについて、アメリカ最大のEVメーカー、テスラは、2024年の販売台数の伸び率が去年を下回る可能性があると説明し、さらに、GMゼネラルモーターズもEVの成長が鈍化し不確実性が生じているとの声明を出した。
アメリカ消費者の懸念として、長距離移動による路上での電池切れリスクが挙げられる一方、トヨタの決算ではハイブリッド車が業績を牽引し、EVの充電インフラが未成熟な今だからこそ、日本メーカーが得意なハイブリットが世界で見直され始めている。