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石油業界における南米の地政学リスク(日本生命NY投資現地法人 漆山氏/Morning satellite Dec,2023)
南米のベネズエラは、2023年12月5日、隣国であるガイアナのエセキボ地域が自国の領土であると主張する法案をまとめ、混乱が生じている。
ガイアナは、かつて西半球の最貧国の1つと言われていたが、エセキボ地域で、2015年エクソンモービルが油田を発見したことで一転し、2023年は40%の成長率が見込まれる国となっている。
この油田を狙うベネズエラは石油を掘削しているエクソン、ヘス、そして中国海洋石油に対して、3ヶ月以内の撤退を要求した。
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これに対し、ガイアナが軍を厳戒態勢に置くなど、対立が激化し、アメリカ政府も自国の石油企業を守るべく、ガイアナの主権を支持するコメントを表明し、緊張が高まった。
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その後、両国の大統領が会談を行い、武力衝突を回避することで合意したが、引き続き領土問題に関して対話が継続される見込みである。
アメリカの石油企業への業績インパクトについて、ガイアナでの石油生産量が足元急速に増加していることから、将来的に大きなインパクトにつながる可能性もあると考えられる。
例えば、ガイアナでの油田の権益の半分近くを保有するエクソンは、1日あたり170,000バレルを生産しており、エクソン全体の生産量の5%程度に相当する。
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また、エクソンはこの地域で海洋石油の生産、貯蔵、積出設備の新規導入を進めており、2024年前半までに追加で1日220,000バレル、さらには2027年までに追加で1日500,000バレルの増産が行われる見通しである。
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仮にベネズエラによってガイアナの埋蔵石油資産の全てが没収されたとすると、エクソンにとって500〜750億ドルの損失になると予測されるため、今後の動向を注視していきたい。