思考実験: 性自認と性役割の判別
私が、自らの性自認と性役割を判別する際に考案した思考実験を載せる。18歳頃だっただろうか。
まあ、筋書きはなんでもいいんだ。対人関係、社会生活、コミュニケーション。そういった類のものが一切合切消滅して、安全とか食料とか健康とかはとりあえず当面は大丈夫みたいな、そういうハイパー都合のいい世界に自分の身柄がすっ飛んだ――という前提を立てる。
私が出した答えは、《最悪。人類が消え去ってしまったらしいと結論づけたその場で、自殺をする》だった。
その理由は、「医療機関がなくては、投薬や手術でこの身体を変えることができないから」だった。
自分でも驚いて、本当にそうなのか、もう誰も私を女の子だと言わないのに、女性としての在り方を求められないのに、喜ぶことをしないのか、と自問した。そして、たしかに喜ばなかった。
私は、周囲の目ではなく、身体の形に悩んでいた。
いわゆる「心の性別」という雑な言葉から「『自己が認識する身体』の性別」を取り出して考えるために有用な思考実験だと思う。
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