忌野清志郎と武道館

スクリーンショット 2021-05-20 0.44.08

「その人のロックンロール人生があるとしましょう。
その最高点は、ロックンロールに出会った瞬間なんです」
甲本ヒロトはそう言った。

一四才の時、初めてロックンロールのライブに行った。
「忌野清志郎&ニーサンズ」の武道館ライブだ。
自分のチケットは確か、2階席だったと思う。

武道館のまわりで座ってじーっとチケットを眺めていると、
ロックンローラーな髪型のお兄さんがヒョイと覗き込んできた。

「んー。僕の持ってるチケットの方がいい場所だから一緒に行こうよ」
これまたロックな姿の隣りのお姉さんもニコニコしていた。

どういうことなのか分からないけど、お兄さんに着いていった。
すると、お兄さんは、一階のアリーナ席に突入した。

「??!????」

なんと、その席は、アリーナセンターの最前列であったのだ!

とんでもない良い席だったのだ。

会場が暗転

ステージがはじまり、爆音でロックンロールが流れる。
目の前で清志郎さんがピョンピョン飛び跳ねてシャウトする。
ガッタ!ガッタ!ガガガガガガ!!

ニーサンズの演奏がドライブする。

「ベイベー、愛しあってるかい!」

この世の中に、こんなに楽しいものがあったのか!
一四才の子供は、本当に、大ショックを受けたのだ。
この瞬間が私にとってのロックンロールに出会った瞬間だったと思う。

ライブが終わるとお兄さんはニコニコして
「楽しかったでしょ?笑」と言ってくれた。
何度もお礼を言って、武道館の外で別れた。

今思うと、あのお兄さんはロックンロールの神様が出会わせてくれたのだと思う。

この瞬間、子供ながらに清志郎さんの見せてくれたエンターテイメントの世界に行きたいと強く思った。

そんなわけで、自分にとって忌野清志郎体験は、RCサクセションではなく、
ニーサンズが主になる。

実は、清志郎さんのキャリアの中では、古参のファンの方はあまり
ニーサンズを認めていない空気がある。(成り立ちが急だったから)
でも、自分からみると、ニーサンズは清志郎さんのバックバンドではなく、4人で1つのバンドだった。

ニーサンズは、近年、再結成されている。