はじめて有料セミナを開催して失敗した話
先日、生まれてはじめて有料セミナなるものをやってみた。
所属するコミュニティでこれまで何度かラジオみたいなことをやったことはあった。
無料開催はとても気楽だ。人が来なくても途中で退席されてもあまり気にならない。自分が差し出すものが少ないのだから仕方がないと思える。
しかし有料開催となれば自分の何かを差し出す対価にお金をいただくということになるので、人が集まらないということは自分のそれに価値がないという事実が突き付けられることになる。
今回扱った題材は、Slack の消えてしまった過去投稿を復元するという内容だった。
Slack というのはチャットメッセージツールである。
無料プランではメッセージが1万件しか蓄積されず、それを超えると過去のメッセージが消えていく仕様になっている。
有料プランにするとこれが復元されるのである。
所属しているコミュニティでも Slack を使っており、既に1万件を超えてメッセージが溢れ始めていた。
これを有料プランに移行せずなんとか過去投稿を復元できないかと奮闘した結果、実現することができた。やったー!
私はこの方法をメンバーに共有したいと考えた。
もともと個人の趣味でやったことにせよ、成功にこぎつけるまでにある程度工数を使ったこと、そして職業であるエンジニアのスキルをお裾分けする内容であったため、有料開催にしてみようと思った。
有料開催はひとつのチャレンジだった。
パイロット価格を設定し、払った値段以上の価値があったと感じてもらえたら良いなと思った。
まず、テキストとして note を用意しこれを有料販売とした(100円)。
そしてnote を見てできなかった人はもくもく会(500円)に参加してください、とした。
もくもく会は平日と休日に2回プランし、別途2,500円で個別サポートプランを用意した。
これで大体の人を救えるだろうという目算だった。
・note(100円)
・もくもく会(500円)
・個別サポート(2,500円)
もしかすると、もくもく会って聞き馴染みのない人も多いかもしれない。
エンジニアの世界ではよくやるのだが、参加者がもくもくと作業をする勉強会を指す。
私も最初は「もくもくって何」と思ったんだけどたぶん「黙々」のことだと思う。なぜか平仮名で表記するのが通例だ。
つまり、もくもく会とはみんなで集まってひとりひとりが黙々と作業をする勉強会のことを言う。
同じようなところで躓いた人同士で情報を調べたり、できた人に助けてもらったりしながらわいわいやるのも楽しい。
私はもくもく会にアドバイザとして参加し、メンバーの質問に答える予定だった。
個人的に、もくもく会をとても楽しみにしていた。
さて、事前に無料で開催した説明会には約40名が参加してくれた。
説明会ではデモを行い、実際にターミナル画面での操作を見てもらった。そして有料プランについて案内した。
説明会参加者のうち、必要なバックアップデータのダウンロード希望者が18名だった。
さらに note 購入が8名、そしてもくもく会への参加はたったの2名だった。
にめい!
しょぼーん。
落ち込んでいても仕方がないのでここから、こんなことになってしまった原因について考えてみたい。
もともと、説明会に参加していただいている時点で Slack の過去投稿復元に興味を持ってもらえているはずなので、そこから先に進まなかった理由は
・実際見てみたら自分には無理そうだと思った
・有料とは聞いていなかったのでお金を払うほどの価値はないと感じた
などが考えられる。
いずれにしても、私は参加者に対してレベルの設定を間違えてしまったということになる。
つまり、初めからサービスとして破綻していたか、もしくはレベル感の伝え方が不適切だったか、もしくは大前提である私という人間の信用が不足していたという可能性もある。
有料サービスを開始するときにはこのあたりをきちんと見極めなければいけないのだな、と思った。
価値は場所、相手、状況によって変わる。
「砂漠で水を売る」ではないけれど、自分が提供しようとしているサービスが正当に評価される場所で売らないと、自分の苦労に見合わない結果になってしまう。
そこで自分がどれだけ苦労をしたのかということと、受け取る人が価値を感じるかどうかは無関係なのである。
だから売る場所、売る相手、時代の流れや相手が置かれている状況をよく見極めるべきだし、そもそも、自分が貯めてきた信用をいま使うときなのかをよく考えた方が良いと思った。
信用の使いどころの話は、Voicy「ワーママはるラジオ」のはるさんもよくおっしゃっているし、私も頭では分かっているつもりだった。
しかし今回実際に自分で有料サービスを売ってみて初めて、これが腹落ちした。
私は今回有料サービスを考えるにあたり、どんなプランを用意しようか?値段をどうしようか?それをどうやって説明しようか?色々悩んだ。
そうして「提供者側」になったことで、他のいろいろなサービスを売っている他者にアンテナが立つようになった。
よく、飲み会の幹事をやったことがない人は主催者の気持ちがわからないなんていうけれど、自分でやってみるって大事なことだと改めて思った。
今回このような機会を与えてくれたコミュニティにはとても感謝しているし、イベントを開催するにあたり相談に乗ってくださった先輩方、勉強会に参加してくださった皆様、興味を持ってくださった皆様、応援してくださった皆様、貴重なお時間を、お知恵を、お気持ちを、本当にありがとうございました。
今回の話がこれから有料サービスを考えているどなたかのご参考になれば幸いです。
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考察続きます↓
いただいたサポートは自己研鑽に使わせていただき皆さんにアウトプットという形で還元させていただきます。いつもnoteをお読みいただきありがとうございます。