ジークアクス考察❷ジークアクス世界のサイコミュ関連
ジークアクス世界のフラナガン機関はボンクラ
ジークアクス世界のフラナガン機関はどうもボンクラなようだ。
ボンクラである根拠
劇中で主席のエグザベ少尉は、オメガ・サイコミュの承認を得られず運用が出来ない。システムに拒絶されているのだ。代わりにマチュがNTとして操作してみせた。このシーンで下記の事が示唆されている。
アルファサイコミュ オメガサイコミュ共に構造を解析できていない
フラナガンスクールはNTを正しく選別・育成出来ていない
マチュはシステムに認められたNT(ニュータイプ)
もしもフラナガン機関が優秀でNTやサイコミュについて解明済みなら、フラナガンスクールの卒業生はNTで埋め尽くされ、オメガサイコミュ搭載ガンダムの量産計画が進んでいるはずである。キシリアなら間違いなくそれを行う。
しかし現実はフラナガンスクールの首席は、NTとしてオメガサイコミュの期待に満たない。なぜこんなサイコミュとNTの質の乖離が起こりえるのだろうか?
フラナガン博士はNTの発生機序を論文にしていたではないか?
実態はそうはなっていない。これはフラナガン機関はボンクラと断じていいだろう。意図的な欺瞞工作を行うにしても、それならシャリア・ブルのソドン隊に貴重なガンダムを預ける筈がない。そもそもガンダムを借りれたのも、エグザべ少尉ではサイコミュが起動しないという予測を貸出側が持っていたのではないだろうか?
劇中のエグザべ少尉も、使えるという前提に立っていない言動である。
原作とNT研究で差が生じた理由
ジークアクス世界線の赤いガンダムの性能は圧倒的だ。そしてその性能差故に、エルメスの開発はキャンセルされた。この差はどこから生じたのか?
歴史変動による内的要因
原作(富野由悠季の語る一年戦争)では、ララァはシャアが見出している。
ジークアクス世界線でのシャアはホワイトベースを追跡して地上に降下しなかった。ガルマも死なず、MSM部隊に左遷されてキシリアに拾われる事もない。年表によれば地上での作戦参加はオデッサとなっている。またジオンは地上では劣勢であり、最終的に地上の支配権を連邦に明け渡した。(原作では各地にジオン残党が潜伏している)つまり「ジークアクス世界線は、バタフライ・エフェクトによりシャアはララァやアムロと出逢わなかった世界」なのだ。
フラナガン博士のNT研究の進捗は、ララァ・スンという最強のNTを入手できた点による所が大きいのではないか。これは実際、原作劇中でもララァを得て興奮しているフラナガン博士の様子が描かれているのだ。
シャリア・ブルもシャア・アズナブルもNTではあるが、その能力はララァには及ばない。また軍人であるシャリアやシャアと異なり、ララァは実験体としてフラナガン博士の実験に従事する時間が長かった。原作ではそれがサイコミュの発明に繋がり、NT用MAのブラウ・ブロやエルメスの開発へとつながっている。原作のララァは軍属として少尉の階級を得て正式にシャアの部下となるが、それはあくまでエルメス完成後である。エルメス完成まで実験に協力させられていた。ララァという存在の有無はエルメス完成の実現性に大きく影響するだろう。但し上記だけでは全ての説明はつけられない。先に述べた通り、赤いガンダムの性能が圧倒的すぎるのだ。
歴史改変による外的要因
劇中で明らかにされるのは、キシリアの台詞にある「シャロンの薔薇」という存在である。グラナダの地下にあった意志のあるそれが消失し、ゼクノヴァ現象を引き起こしたとされる文脈である。また、その歌声から原作におけるララァの光る宇宙現象との相関が強く示唆されている。
シャロンの薔薇は富野由悠季の語る原作に登場していない。つまりこの存在は歴史改変の主要因たり得る存在である。ここで前回の記事ののジークアクス世界の前提という話に戻る。「多次元世界」か「時間遡行」か。どちらの解釈でいくにせよ、シャロンの薔薇こそが鍵と言う点で周目は一致する。
ゼク・ノヴァ以前の赤いガンダムは、シャアの搭乗する単なるアルファサイコミュ搭載のMSでしかない。シュウジが証言するように語りかけたりはしなかった。シャアに語りかけたとしても、それはゼク・ノヴァが初であり契機と言える。
シャロンの薔薇がサイコフレームとしたら?
以下のような幾つかの展開が考えられる。
仮説1 サイコフレームを解析してオメガサイコミュが産まれた
仮説2 シャロンの薔薇が消失したので以降のNT研究が停滞した
仮説1は、時代を超える性能を誇るオメガサイコミュの由来として納得できる。ガンダム強奪成功はエルメスをキャンセルする理由として弱い。あくまでもビットを搭載した赤いガンダムが開発されてはじめて、圧倒的な性能を発揮するのだ。
そもそもフラナガン博士由来のサイコミュはMAでなければビットを運用できない大きさである。実際、ブラウ・ブロと見た目が同じキケロガ(因みにこの名称はトミノメモ由来である)は運用されている。
一年戦争の技術水準でMSサイズでのビット運用は驚異的である。因みにサイコミュを搭載したMSはジオング以外にも試験機体としてザクが設定上存在しているが、ジオングを含めたいずれも有線ビーム砲攻撃である。
仮説2については、フラナガンスクール首席の不出来さと一致する。シャロンの薔薇に作成方法を教えられたアルファサイコミュはできが良く、その改良版のオメガサイコミュも作成可能だったのだろう。
だが彼らが把握しているのはあくまでサイコミュの製造技術なのだ。NTは戦争の英雄であるシャリア・ブルしかいないように思われる。赤いガンダムの捜索が地位協定に盛り込まれるほど躍起になって追跡する理由はそれであろう。赤いガンダムに、彼らが見失ったNT研究のほぼすべてが詰まっていると見ていい。彼らはゼク・ノヴァという形でNTの危険性を思い知った。危険性を知りながらも実用化を夢見て捜索を続ける。キシリア麾下のフラナガン機関は、再現しようとしても再現できないままにゼク・ノヴァの事象とNTとサイコミュを研究し続けたのだろう。
ララァの意思=シャロンの薔薇?
よく提唱される仮説だが、ララァの意思=シャロンの薔薇と仮定しよう。あの歌声から、その連想は無理がないように思われる。ちなみにシャロンの薔薇という名前そのものに深い意味はなく、聖書由来のそれらしいジオンのコードネームに過ぎないと私は考える。それなりに由来はあるかもしれないが、その謎は枝葉であって聖書とガンダムはそこまで密接にリンクしないだろう。この語が示すのは、単なるNTという存在ではない。時間や空間を超えた神の如き存在であり、恩寵も得られるが恐れる必要もあるものというニュアンスなのではないだろうか。
そもそも戦後世代はNTを知っているのか?
ニュータイプという概念自体が広く大衆に知られているかは疑わしい。理由は幾つかある。
ニュータイプが世に知られたきっかけはアムロ・レイの存在である
劇中でNTについて会話されているが、それは当事者ないし運用者のみ
カネバン有限公司はガンダムを弄るが、NTやサイコミュに言及しない
女ボスのアンキーは内部を見て察した顔をしてみせるが何も言わない
ガンダムのwikipediaに登場するシャアでも言及されない?
連邦エースのアルテイシア(セイラ)がNTの可能性は極めて高いが消息は不明で連邦が掴んでいるように思われない
劇中でガンダムとシャアの記事をマチュが閲覧するのは一瞬で判別しづらい。そこでNTについて記載があるかといえば、シャアはニュータイプだったという文脈ではなかったと記憶している。ただ間違いなくサイコミュの存在も秘匿されていたように思える。ニュータイプという言葉自体はジオン・ダイクンが提唱した人の革新という概念なので存在しておかしくはないが、ジオンはNT及びサイコミュの存在を徹底的に秘匿していると見ていい。
女ボスのアンキーは何者か?
女ボスのアンキーとは何者なのか。劇中、酒場でシャリア・ブルは誰かから連絡を受けてクランバトルの視聴を開始する。この電話の相手はアンキーではないか。因みに直前のシーンはアンキーが登場しており、それらしい様子を見せている。
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仮にアンキーがジオンの関係者であり潜伏するスパイの場合、その地位はレジスタンスではないだろう。あくまで赤いガンダムの捜索。それこそが最大の任務のはずなのだ。
赤いガンダムの出現をシャリア・ブルが知り、ソドンと共にサイド6中域に出張るのにも根拠が必要である。その根拠こそ、潜入させたスパイであるアンキーからの報告である可能性が極めて高い。
最後に
とまあ以上は私の推測でしかない。状況証拠的には合致するが「そう思わせて実は」という展開も大いに有り得る。でも劇中で語られる内容で情報整理しておく。それこそが、リアルタイムで作品を追いかける醍醐味であるのだろうから。