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ジークアクス考察17シャアの大義GQuuuuuuX

ジークアクス世界線では、シャアの扱われ方が従来と大きく異なっています。一つはシャアの消息が不明ということですが、もう一つはシャアの素性が明らかにされているのです。これがどのような変化を生むか確認してみましょう。

なお、シャアが帰還した場合どういう選択肢があるか? という視点です。

シャアが掲げる大義

  1. ネオ・ジオン(ジオン継承国家)

  2. ニュータイプの理想国家

本来、シャアはネオ・ジオンを標榜します。このネオ・ジオンというのはミネバ・ザビを擁立したハマーン・カーンであったり、或いはグレミー・トトが標榜しています。

ニュータイプの理想国家とはもう少し対象が狭い範囲です。GQuuuuuuX劇中でシャリア・ブルと同志になるシャアは明らかにこちらを志向するようになります。この話は後述します。

ネオ・ジオンの定義とは

ネオ・ジオンの定義は分かりにくいのですが「ジオン公国の継承国家建設運動」と解釈しましょう。この基準で考えると、サイド3自治政府というのはジオン継承国家ではない訳ですね。

またジオン継承国家は誰も樹立していないので(ハマーンやシャアは限りなく政体に近いものを構築していますが)複数の後継者が名乗りを上げる。それがネオ・ジオンです。

自治政府と何が違うのか?

ジオンが他のコロニー国家と明確に違うのが、スペースノイドの理想郷を作るというイデオロギーに根ざす国家です。このイデオロギーの根幹はアースノイドとスペースノイドの区分ですが、「人間の宇宙への進出が人の革新をもたらす」と唱えたところに建国の父ジオン・ズム・ダイクンの革新性があります。

ジオン・ズム・ダイクンはどうなったか?

ジオン・ズム・ダイクンは暗殺され、それがザビ家の権力掌握の過程であると見做す事がジオン・ズム・ダイクンの子キャスバルのザビ家の復讐の原動力です。

分かりにくいジオン公国の権力構造

ジオン公国は少し分かりづらい構造です。連邦に対する独立運動による建国ではあるのですが、実態としてはむしろ企業の起業に喩える方が適切です。

  • ジオン・ズム・ダイクン=スタートアップ企業の創業CEO

  • デギン・ソド・ザビ=スポンサーを取りまとめるCOO 後 後継CEO

  • ギレン・ザビ=デギンが会長職に退いた後の社長

  • ダルシア・バハロ=革命の元勲にして代表権のない専務取締役

  • ジンバ・ラル=革命の元勲にして元役員

  • サイド3名家=実質的なスポンサーであり所有者、大株主に相当
    ジオン・ズム・ダイクンの正妻のローゼルシア・ダイクンなど)

  • ジオン国民=社員であり、社員持株会を通じた小株主。

ジオン公国はスペースノイドのための国家ですが、成り立ちで見ると一部資本家の支援を受けた起業に近いといえます。そもそも独裁体制で民主主義の国ではないので、首相は存在しますがあくまで内政担当という位置づけです。

劇中で名家とされるのが革命に寄与した名家です。具体的にはギニアス・サハリンとアイナ・サハリン兄妹であるとか、マハラジャ・カーンとハマーン・カーン父娘が該当します。この貢献は活動よりむしろ私財提供の場合もあります。ジンバ・ラルとランバ・ラル父子も本来は該当しますが、ダイクン派であるために逼迫しているという情勢ですね。

ジオン・ズム・ダイクンは創業社長ではあるけれど、オーナとは呼びづらいのですね。また後継者は時間を開けずに決定する必要もありました。ジオン・ズム・ダイクンの後にザビ家が台頭するのはこのような寡頭政治体制特有の現象で、役員会や主要株主の承認を経て副社長が社長に昇格するようなものです。

ジオン公国は革命への貢献度合いを考慮した、ザビ家を中心とした寡頭政治体制です。ギレン・ザビのような独裁者に表向き頭を下げますが、実権は彼らサイド3の名家が握り続ける構造なのです。それは彼らが多数のサイド3国民の生活を支える資本家や資産家という面に則しています。

ネオ・ジオンは推戴者がいてこそ成立する

ネオ・ジオンという組織は、つまるところジオン国家を構成する権力者たちの代表に誰がなるか、という問題でしかありません。ザビ家の血統や、ジオン・ズム・ダイクンの血統は分かりやすいアイコンでしかないのです。

ハマーンのネオ・ジオンがキャスバルのネオ・ジオンに形を変える。それは彼らが傀儡ではないまでも、ネオ・ジオンの顔として推戴された存在であるからに過ぎません。

ハマーンもキャスバルも自由に振る舞っているように見えて、自らを推戴してくれる者達の意向は無視できないのです。

潰されたネオ・ジオン路線

ジークアクス世界線では、シャアがネオ・ジオン路線を継承する事は困難です。それは本来、シャアが権力を掌握できた過程を考えると分かります。

  1. ジオン公国は敗戦してザビ家が行き詰まった

  2. シャアの身元が明かされておらず人々に衝撃を与えた

ジークアクス世界ではこの2つの前提条件が満たされません。そもそもジオンが現在進行系で健在です。潰れてないのでネオ・ジオンを名乗れません。特にザビ家手動で戦争に勝利してしまった事もあり、シャアの目論見と異なっていて迂闊に手を出せないのです。

しかもシャアの身元は「ザビ家への貢献者」という形で明らかにされています。ザビ家としては政治的効果を最大にしつつ、「死人に口なし」とばかりに忠義者と祭り上げたのです。これではシャアが浮かばれないでしょう。

しかしこの2つの条件で、ネオ・ジオン路線をシャアが継承することは難しくなったと言えます。

シャアにとっての失敗例

  • ジオンをまとめ上げる勢力(ネオ・ジオン)

逆襲のシャアにおけるネオ・ジオンは、ジオンの名家というべき推戴者による勢力でした。シャアにとって失敗例と言えるのは、ニュータイプの同志に恵まれていないことです。

ニュータイプ研究所所長のナナイ・ミゲル
強化人間のギュネイ・ガス

これらは同志の代替でしかありません。

逆襲のシャアのネオジオンにおけるシャアの行動は矛盾があります。

  • アムロにサイコフレームを提供する

  • クェスを素早く受け入れる

  • NT用MS(ヤクト・ドーガ)とMA(αアジール)の配備を終えている

NT用MSとして定評のあるヤクト・ドーガ
クェスでなければだがこのMAを動かしたのか問題

本来は、シャアのもとに多数のニュータイプの同志が集結するはずだったのでしょう。しかしそれは果たせず失敗していたのが逆襲のシャアにおける彼の立ち位置なのです。唯一の成功例がクェス・パラヤでしょうか。

シャアにとっての幸福

シャアにとっての幸福とはなにか?
一貫して、ニュータイプを結束した勢力を築く事として描かれます。GQuuuuuuX劇中でも、シャリア・ブルを同志として迎え入れます。シャアの理想は間違いなくこちらの路線でしょう。

因みに過去に類例があります。

  • 連邦とジオンのNTの結集 (小説版ガンダム)

  • アースノイドとスペースノイドのNTの終結 (エゥーゴ)

  • ララァを擁する勢力

特にZガンダムにおけるエゥーゴは、唯一シャアとアムロの共闘が果たせました。しかしなぜ、エゥーゴでのシャアの路線は失敗したのでしょうか?

シャアのエゥーゴ時代

それでは理想にかなり近づいた時代として、シャアのエゥーゴ時代を確認してみましょう。

最初は赤いクワトロ・バジーナ

後年、赤が標準色化したのは「赤い彗星隠し?」

クワトロ・バジーナは冒頭よりかなり赤い彗星として活動しています。グリプスへのリック・ディアス隊の潜入シーン、シャアの搭乗する機体だけが赤です。聡い人であれば、冒頭からその正体が赤い彗星ではないかと気がつく構造になっています。(声優も同じという大ヒントもありますし)

アムロ合流後は金色の百式に

金色ですがアニメの色調ではより黄色に

アムロが合流した際、カミーユとともに宇宙に戻るシャアはリック・ディアスをアムロに譲り渡します。この時機体は百式となり、Zガンダム終盤までシャアことクワトロ大尉は百式に乗り続けます。

百式の性能の優劣はさておき、赤から金という色の変化は強烈です。

この時期のみ、シャアは自らの色を金色と定義するのです。この色は何を意味するのか?

大胆な推測をすれば、ララァのパーソナルカラー黄色の踏襲ではないでしょうか。金色という大胆な色を纏うことによって、シャアはニュータイプの為に戦おうとしたのではないかと思えます。

この時期のエゥーゴは、シャア、カミーユ、アムロという最強格のニュータイプが揃い踏みです。カツや声を聞き取る程度の微弱なニュータイプであるファの存在もあります。

アクシズのハマーン・カーン、或いはティターンズのパプティマス・シロッコとサラ・ザビアロフそして強化されたフォウ・ムラサメやロザミア・バダムといった勢力と比較しても最もニュータイプ的な組織でした。

なぜシャアはエゥーゴを去ったのか?

ではなぜシャアはエゥーゴを去ったのでしょうか?

この三つ巴を最後に姿を消し、百式だけが残されます。

これはZガンダム劇中では最大の謎とされ、実際理由があるかどうかも怪しい話です。(ZZガンダムでは低年齢でも見れるようにスポンサーの意向で路線変更のテコ入れが行われたという説があります。)

事実だけを追いましょう。

シャアはハマーンに与しないまでもネオ・ジオンに戻り、NT用の兵器を多数開発します。そして得た最大の成果であるサイコフレームを「逆襲のシャア」時点でアムロに提供するのです。

リック・ディアスというMSは、ジオンのガンダリウムγ技術をシャアが伝えたことにより開発されます。これは作中の事実であり、ZZガンダムではリックディアスの後継MSシュツルムディアスはジオン側でのみ運用されています。この時、リックディアス系統の技術がジオンに伝わっています。

これは従来は(ZZガンダムの路線変更と同じく)スポンサーの「モノアイのMSは敵にしろ」という要望という説が浸透しています。或いはアナハイムエレクトロニクスによる「マラサイはティターンズに供給するけれど、ネモはエゥーゴに提供する」話の再来と見る向きがあります。

またバウの開発にZガンダムの技術が採用されたとする説もあり、この時期のアクシズとエゥーゴで一定の技術の相関関係が見られるのは事実です。

これらの説で語られる内容の真贋はどうであれ、シャアが自身がエゥーゴに参加する際に引き連れてきた技術チームとともにジオン側に戻った。そう考えても辻褄が合ってしまうのですね。キュベレイとジ・オと百式で戦わされたらそりゃ限界を感じますよね。。。

そしてネオ・ジオンではシャアはサイコフレームを開発します。その成果で多数のNT用MSとMAを揃えてニュータイプ同志の参加を待っていた訳です。けれど、ネオ・ジオンではクェス以外のニュータイプの同志には恵まれなかった。そんな話に戻ってしまうのです。

まとめ シャアにとっての理想形

シャアにとっての理想形は何だったのでしょうか。振り返ってまとめてみましょう。

  1. ララァがいる

  2. 多数のニュータイプの同志に恵まれる

  3. サイコフレーム搭載のNT用兵器が開発されている

  4. ジオン継承国家という形で政治的思惑を束縛されない

どうでしょうか。
こうしてみると、ご都合主義的なまでにGQuuuuuuX劇中での全てがシャアにとって理想的な形に近づいているように見えます。

GQuuuuuuXが「時間を超えてシャアの為に都合よく整えられたであろう世界線」だとすれば違和感がありません。

Biginingの話を見る限り、赤いガンダムとシャアの存在が物語の焦点です。ですから私としては、今度こそシャアが満足するニュータイプの理想的展開が見られるのではないかとそう期待しているのです。

過去記事はこちらです


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