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ジークアクス考察⑦ジークアクスの諜報戦
アンキーの存在で触れましたが、ジークアクスは平時の世界だけに諜報戦の痕跡が見られます。以下に見ていきましょう。
拳銃を隠すアンキー
マチュとニャアンが訪れた際、相手が学生で単なる子どもだと制服の質で見切ったアンキーは拳銃を隠します。
明らかに日本を連想させるほど平和なサイド6内で拳銃の存在は不穏であり、アンキーは何らかの背景があることを示唆しています。スパイか裏社会か反政府活動か。ジオン占領下ならいざ知らず、平和で非武装に近いサイド6にレジスタンスがいると思えません。難民由来の裏社会の住人の可能性はありますが、スパイと見るのが無難でしょう。ジオン占領下ではないから、スパイを送り込むんです。では誰が、何のために?
コマキ少尉のセリフを借りれば、「サイド6は主権国家」です。アンキーはジオンのために働くスパイと見るのが妥当でしょう。
拳銃のデザインが一致するかを見れば、アンキーがジオンの拳銃を使っているかわかるかもしれませんね。因みにこの拳銃を隠すアンキーは、0080へのオマージュと思われます。相手が子どもと知って警戒心を解き、拳銃を仕舞うバーニィーに意図して重ねられているのではないでしょうか。ちなみに弦巻監督は好きなガンダムとして「0080ポケットの中の戦争」と「F91」を上げています。
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なお、「0080ポケットの中の戦争」はGAINAX創業メンバーの山賀博之氏が脚本として関わっています。スタジオカラーとは袂を分かつ形となっていますが、「山賀がガンダムを手掛けた」というのは若き日の鶴巻監督にも強い印象を与えているのは間違いないと思います。庵野秀明氏がガンダムオタクであった事実を鑑みるに、0080は初めて富野由悠季監督ではなくガンダムオタクの作ったガンダム作品であり、ファーストを再定義しようとした意欲作なのですよね。(OVAとしては最古参の作品です)
ガンダムにおける映像化された主な諜報活動
レビル将軍の脱出劇
一年戦争におけるベルファストでのミハル
0080ポケットの中の戦争におけるサイクロプス隊
映像化されているジオンの諜報活動は大きくこの3点だと思います。
レビル将軍の脱出劇
レビル将軍の脱出劇は、「ジオンに兵なし」という有名な演説に繋がります。これにより南極条約での講和が一転し、ABC兵器の禁止のみの内容と変わりました。因みに昨今はデギン・ザビがこの脱出の背後にあったとされる事が多く、後のア・バオア・クーでのデギンとレビルの講和会談の前振りと言われています。
(ギレン・ザビがソーラレイの発射で潰したゲルドルバ照準ですね)
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ミハルのスパイ活動
「こんにちは、お急ぎですか?」
「特に急いではいませんよ」
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ジークアクス劇中で運び手のニャアンにより交わさるこの会話は、実は原作であるファーストガンダムの劇中でミハルが行う会話のオマージュです。ミハルは明確にジオンのスパイの手先として描かれており、ジオンの諜報網が戦争難民・戦争孤児を活用して構築されているのが分かります。
ニャアンも劇中で明確に避難民として描写されていて、このやり取りだけでファンは「あ、ジオンのスパイなんだな」とわかる描写になっています。恐らくは切り捨て可能な存在が使う低レベルの暗号なのでしょうね。
この時に取引されているのはMSを武装する為のデバイスです。ジオン軍のロゴマーク入り。ジオン軍以外がばらまくとは考えにくく、スパイ組織の背後にジオンがいる証左になっています。
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ザクをサイド6の民間に払い下げる。武装化のデバイスを別付けにしてサイド6を納得させる。その上で、スパイにサイド6内に武装化デバイスを流通させる。ね、大人の考えることってえげつないでしょう?
サイクロプス隊のスパイ活動
0080ポケットの中の劇中、サイクロプス隊はサイド6に潜入します。これもまたジークアクスにおける直接的なスパイ活動の描写につながっているでしょう。
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ジークアクス劇中は鉄道網が描写されています。そもそものマチュとニャアンの衝突シーンも改札でしたね。
後で実際に出てくるニャアンの元締めはエレカで移動しています。彼は本物のスパイなので、目立たないエレカ移動が鉄則だと知っているのです。実際、ニャアンは目をつけられて警察に追いかけられます。鉄道網は警察の厳重な監視下にあるのでしょう。それがマチュとの出会いにつながるので物語的には結果オーライなのですが、ニャアンはド素人です。安物の制服を買って雑踏に溶け込めると考えた、学生になりたい普通の女の子なのですね。
シャリア・ブルとエグザベ少尉は普通に鉄道移動しています。この場合、監視下にあるのは明白なので敢えて正々堂々と活動しています。サイド6政府の大物である、カムラン・ブルームと既に話をつけてありますからね。
ジオンのスパイは何のため?
ジオンのスパイは何のためにサイド6にいるのでしょうか?
地位協定の例外事項である赤いガンダム。その行方を探すというのが、やはり説得力を持っています。単なる捜索部隊ではなく、それなりの計画があるのでしょう。複数の担当者がいるようですし。
ただ赤いガンダムの存在はかなり優先事項として設定されています。ゼクノヴァのインパクトは事実上グラナダを救い、一年戦争を終結させました。
そう考えると、やはり掴みかけて失った赤いガンダムに象徴されるものは非常に大きかったのだと思います。
TVシリーズ本編では、重要な脇役としてアンキー一家が活躍することになるはずです。現在、マチュとMSやクランバトルの接点はアンキー達だけ。シャリア・ブルもマチュの存在にロックオンしています。
今後の展開から目が離せませんね。
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