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もし片づけでリバウンドしてしまったら(44)

せっかく時間をかけて片づけても、数週間ですぐ散らかってしまい、リバウンドしてしまった、という声を聞きます。今回は、リバウンドの原因と、リバウンドしてしまったときの対応策について、お話しします。

自分を責める前に現状分析

「片づけでリバウンドしてしまった」 
「一度片づけたのに、継続できない」
こう思ったとき、頭ごなしに「自分は怠け者だ」と責めてはいけません。

物事が続けられないのは、心の問題ではなく、物事自体の仕組みが間違っていることが大半です。

「維持するのがしんどい」と感じる場合、それは気合いの話ではなく、その前段階での片づけがそもそも失敗していたということです。 自分を責めるのではなく、モノの定位置をもう一度、見直してみましょう。

また、実際は「部屋全体が、何もかも駄目」ということはないのです。 失敗しているのは恐らく部屋全体のうちの一部で、まずはその失敗箇所がどこなのか、現状の課題を洗い出すことからはじめましょう。

部屋Before

まず、ごちゃっとした状態の部屋を見渡しましょう。
より客観的に状況を見るために、その状態を写真に撮って見るのも良いです。

具体的に床に散らばっているモノは何なのか?
どんな背景で散らかっているのか?

を考え、具体的に自分のライフスタイルを思い描きながら、客観的に理由を分析します。

・平日家に帰ってきて、疲れて脱ぎっぱなし。定位置に戻すのが面倒くさい
・朝の支度がバタバタで、引っ張り出して戻す暇がない
・本棚がギュウギュウで戻しづらいので、ソファに置きっ放しになりがち

このような理由は、大きく分けて、次の3つの根本原因に分類することができます。

①依然として物量が多い
②定位置が悪い
③買い物・貰い物の量が多すぎる

一つずつ、見ていきましょう。

①依然として物量が多い 

1つ1つのモノと向き合い、不要なモノを部屋の外に出したはずですが、それでも物量が自身の管理能力を超えているケースです。 

以前、「収納量の8割を目安に収納しましょう」とお伝えしましたが、モノがあふれている場所は、収納量の8割を超過していないでしょうか。

モノは減れば減るほど、管理の手間がラクになります。 平日仕事に追われ、ほとんど家のことが出来ないという方は、一度5〜6割までモノを減らすことをおすすめします。 捨てる・預ける・寄付する・売るなどの方法で「とにかく家の外に出すこと」を心がけましょう。少なくともハンディーゾーンは、モノを減らして余裕をもたせます。

物量に加え、収納スペース内のモノの「稼働率」も重要です。 クローゼットの中のモノを、今月ほとんど1回も触っていないとしたら、要注意。クローゼット内が死蔵品と化している可能性があります。

理想は、収納スペースに収まったモノのうち、半分が月1回以上、触れられていること。動かないモノが5割を超えていたら、動いていないモノともう一度向き合って、家の外に出してみましょう。

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②定位置が悪い

こちらは、使用頻度の高いモノがしまいにくい場所にあり、整頓作業に無駄なステップがかかるというケースです。

アクション数が少なければ少ないほど、収納の手間は減ります。「何回も引き出さないと取り出せないケース」「蓋の硬い缶」など、トリッキーな収納アイテムを導入していませんか?アクション数を増やしているものは撤廃しましょう。

また、導線も重要になってきます。

「バタバタした朝、着る服が決まらず何着も引っ張り出して、出しっ放し。夜は疲れて片づける気にならず、着ていた服も脱ぎっぱなし…」というお悩みを相談をよく受けます。

ここで解決策として、「朝に少し早く起きて余裕を持とう」「夜、朝散らかした分を必ず片づけてから寝よう」と、生活改善を掲げる方も多いと思います。実はその目標は、ほとんど意味を成しません。 

片づけることを最優先にできる場合、朝早く起きる・夜に頑張るだけのモチベーションが沸くでしょうが、現実では片づけより大事なことが山ほど起こります。遅くまで残業が続いた翌日、片づけのためにいつもより5分、早く起きられるでしょうか?

正しい解決策は、「忙しい朝と、疲れ切った夜に、どう頑張っても散らからない構造を事前に作る」ことです。

洋服を出したり戻したりする理由は、何を着るか迷っているからです。 つまり、「今日、何着よう?」と迷うような配置をしているから、迷うのです。

この課題を解決する仕組みは、ずばり、「事前に着る服のセットをハンガーに掛けて、寝る前にどれを着るか、あらかじめ決めておく」です。平日が忙しい方は、休日に手持ちの服で、1週間分のコーディネートを考え、クローゼットにかけておきましょう。 これをするだけで、平日は左から順番に、機械的に袖を通すだけです。

また帰宅後、脱いだ服を投げ入れるバスケットを設置すれば、手間をかけず、脱ぎっぱなしの服を居住スペースに広がることも防げます。「平日は、服を畳んでタンスにしまうだけでも無理」という方も、畳む努力をするのではなく、放り込む大き目のバスケットを用意して、休日しか畳まなくても成立する構造を作りましょう。

カバン、時計、ベルト…など使うモノがバラバラの場所にあると、歩いて何往復もしなくてはならなくなります。アイテム単品でのアクション数はもちろん、「朝全体を通してのアクション数」も少なければ少ないに越したことはありません。 朝、流れるような導線が身支度を終えられるよう、使うモノは一つの場所にまとめておきましょう。

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③買い物・貰い物の量が多い

買い物好き・もらいグセがあるなど、家に入ってくるモノの量が多いと、どんなに頑張ってルールを決めても、片づける前にモノでパンクをしてしまいます。

ずぼらな買い物でお金を無駄にするだけでなく、すでに片づいている部屋をめちゃくちゃにしてしまうのは、二重でもったいない行為です。

無駄な買い物が多いと感じる方は、事前に家の中のストックを確認したうえで買い物リストを作り、リスト上に書いてあるモノ以外は絶対に買わない、というルールを決めるのがいいでしょう。セット品割引や、セール品も買わないルールです。割安な商品を得ようとせず、必要最小限のモノしか家に入れないという意識が大切なのです。

貰い物に関しては、極力もらわないことを前提に、もしもらってしまった場合は1週間以内に消費するか、人に譲る、というルールにしましょう。

買ったモノも、貰ったモノも、家に入れた瞬間にやってほしいことがあります。それは、包装を取って、極力使いやすい状態にし、指定席を決めること。

家に入ってきた瞬間に定位置を決めず、袋に入れたままにしていると、次から次へと買い物袋が増えていき、せっかく買ったモノが死蔵品と化していきます。

毎回ストイックに定位置に収めるところまでを習慣化すると、次第に定位置に入れづらいものを家に持って帰るのが億劫になり、ペットボトルのおまけなどをむやみにもらわなくなります。

また、「買い物自体を趣味にしている方」もいるかと思います。

その場合、片づけのために趣味を諦める必要はありません。ただし、趣味を守るためにも、モノは適正量を超えないようコントロールが必要です。

「服は1着買ったら、1着捨てましょう」とよく言われますが、今あるモノを捨てるか、それが難しければ人に譲ったり、預けるなどして、とにかく家の外に出しましょう。

それでも、やっぱり「家に置きたくてしょうがない」という場合は、他のカテゴリのモノ(たとえば、本を処分するなど)を意図的に減らし、場所を譲ってもらいましょう。

収納量の8割以上、パンパンに詰め込んでしまうと、結局いつまでたっても部屋は片づきませんからね。

しかし、トイレットペーパーなどの日用品ストックを買いすぎることは、本当にオススメできません。その行為は「モノを心から愛している」のではなく、「お得な買い物を楽しんでいる」のだと思います。「おトク好き」の方は、モノで得をするのを諦めて、飲食店の割引など「体験で得をする」ことに、シフトしていきましょう。都心で高い家賃を払っている以上、簡単にモノで得をすることはできないのです。

私は、消耗品は消費するスピードに合わせ、Amazon定期便を利用しています。店舗で買い物をしてしまうと、ついつい目に入ったモノがほしくなってしまうので、「買い物をせずとも必要なモノを補充できる仕組み」として重宝しています。

職業柄、本や書類が増えてしまう方は、職場や外部倉庫など、自宅以外での保管ができないか検討してみましょう。

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誰かに頼ってもいい

ここまでで、リバウンドしてしまった方は散らかってしまった原因が特定できたでしょうか?

「私には原因も解決策もわからない…」と落ち込んでしまった場合は、自分を責めずに、人を家に呼んでみましょう。自分1人で抱えていると、暗い気持ちになりますが、他の人から見ると意外なところから答えを導いてくれることもあります。

一方で、全くモチベーションが湧かなくなったり、やり方が分からなくなった方は、一度整理収納アドバイザーを家に呼んでみることをオススメします。

株式会社インブルームの「お片づけコンシェルジュ」は、初回お試しプランは2.5時間で12000円〜。片づけのプロが自宅でみっちり片づけを指導してくれます。

家全体をアドバイザーに片づけてもらおうと思うと、20〜30時間程度の時間が必要で、費用にしても相当なものになってしまいます。 最初のきっかけ作り、コツを掴むまでのインストラクションというつもりで、まずは1度お試しをしてみたうえで、もう一度自力でできるところまでやる、またどうしても行き詰まったら再度来てもらう、などで活用していきましょう。

1人ではイマイチ掴めないきっかけも、周りの誰かしらを巻き込めば、うまく好転することは多くあります。どうにかあの手この手で、最初の一歩を掴んでいただき、軌道に乗ったら再度、片づけ作業に戻っていきましょう。

「片づけは一回にしてならず」です。何度戻っても大丈夫なので、片づけて、生活してみて、苦しくなったらまた戻ります。

PDCAを回して、より快適な部屋を作っていきましょう。


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