モノを愛するお片付け:「沢山捨てる」を諦める (18)
前回から、モノを愛する方に向けて、片付けの極意をお伝えしています。
モノを愛する方のためのお片づけ極意は、以下の3つです。今回は①について、お話していきます。
①「沢山捨てる」を諦める
②自分の部屋が無限に広いと仮定する
③1日1箇所まで。一気にやらない
①「沢山捨てる」を諦める
既存の片付けメソッドには、スピーディーに沢山モノを捨て、捨てること自体を楽しもうと推進するものが多く存在します。モノへの愛着が深くない方にとって、これは理にかなっています。
例えば、ゴミ屋敷部屋に住んでいた方が、使わないモノを一斉に処分して、一気にミニマリスト生活になる、等は、実際に成功事例として多く存在するものです。短時間で劇的な変化が得られ、本人も周りも、「人生が変わった!」と幸福を感じることができます。
しかし、モノへの愛が深い人ほど、一気にモノを捨てると、必ず後悔をします。これまでモノを買うまでに、時間をかけて吟味をし、その後も大切にしてきたことでしょう。そんな人が、わずかな時間の判断で、ポイポイとゴミ箱に捨ててしまうと、もし誤って宝物を捨ててしまった時、とてつもない後悔を味わうことになります。
「思い入れがある持ち物を捨てて、幸せになる」というのは、人間の本能に反しており、エコではありません。自分にとって必要でない「ゴミ」を取り除くこと自体は、幸せに繋がるのは納得ができますが、あくまでモノへの愛をより際立たせるために、ゴミを取り除くのです。
美しい花の周りの雑草を抜く作業と同じです。「とにかく抜けば良いのだ」と花壇の雑草に紛れて花まで抜いてしまっては、花壇には寂しさだけが残り、後悔を味わうことになります。
寂しさを紛らわすために新しいモノを買い足してしまう方も多くいます。これがリバウンドです。
目指すべきは「捨てた量」ではありません。大量のゴミ袋が玄関に並んで快感に思えるのは、モノに対してドライな人だけです。捨てた量ではなく、「残したモノの質の高まり」を、ゴールにしましょう。
1日の作業でゴミがちょっとしか出なくても、大丈夫です。定期的にモノと向き合う時間自体が、モノの愛をより高めます。たとえ1つもモノを捨てられなかったとしても、モノの意味を考え直すだけでも意義ある時間なのです。