お義父さんに会いにいく
「娘さんを僕にください!!」
というベタなセリフの出番は、一切ありませんでした。
昨日、35度を超える炎天下を意に介さず、彼女のご両親に同棲のご挨拶にいきました。
・・・
■「会ったこと、あったっけ?」
私と彼女は4年前の7月末に付き合い始めました。それ以前は中学のバンド仲間で、ただの友達でした。
お義父さん(仮)に会うのは、中学時代に彼女(当時は友達だった)と遊んでいた時以来、2度目です。
玄関を開けてリビングに入ると、お義父さんがいました。
齢60を超えても、休日はサーフィンを楽しむお義父さん。アディダスのTシャツから焼けた肌と、浮き出た腹筋がまぶしいです。
―こんにちは、ご無沙汰しております!!
「おおおーー…… 会ったこと、あったっけ?」
出だしからペースを乱された。
■「新しくできたイオン」
台所からお義母さん(仮)もお茶をもって来てくださいました。
大きめのテーブルに私と彼女、お義父さんとお義母さんの4人で座りました。
私はケーキ屋さんで買ってきたプリンをお出ししました。
お義母さんと彼女はベリベリと蓋をあけ、ぱくぱくと食べ始めます。
すると開口一番、お義母さんは彼女に言いました。
「新しくできたイオンには、行った?」
―イオン!?!??!
私は引っ越しと同居、自己紹介をしにうかがいました。でも、大事な初球はイオンの話からスタートしたのです。
彼女も彼女で、「行ってないけど行ってみたい」とか「オーサムストアが好き」とか、変化球に柔軟に対応していました。
お義母さんと彼女は久々の会話を楽しんでいるようでした。
お義父さんはプリン開けるのに手こずってた。
■「鹿児島のマンゴー」
「このままではやばい。」と思った私は、ファシリテーションをします。
本日は話したいことは2点ありまして、①そもそも私の自己紹介と ②引っ越しの進捗をご報告しに来ました。
休日にすみません、よろしくお願いします。
お義父さんはニヤっと笑って、お義母さんは「あらやだ」といった表情をしていました。
そこで、私の大学時代の専攻や今の仕事に関するお義父さんからの質問に答えていました。
すると、お義母さんが後ろにある冷蔵庫からマンゴーを取り出しました。
「これね、ちょうど今日来たの。鹿児島のマンゴー。」
一瞬、「なんで鹿児島…?」と思いました。が、
お義父さんのご実家が奄美群島の南西部に位置する沖永良部(おきのえらぶ)だったことを思い出しました。
お義父さんのホームタウンについて無事乗っかれたため、そこからは会話が弾みます。
彼女は「私マンゴー嫌い。臭い桃だから」と言い、手を付けなかった。
■沖縄土産のキャンディ
網目状に切られたマンゴーのブロックがだいぶ減ってきたころ、
「もうそろそろ、不動産屋さんに行く時間だね」
彼女がそう言うと、
お義母さんが「暑いからこれ持っていきなさい」と、沖縄土産の塩キャンディと梅キャンディと泡盛キャンディをくれました。
私はそれを握りしめて、たしか下記のようなことを言いました。
二人の生活は私も楽しみですし、彼女もとても楽しみにしています。DIYもして、良いお部屋にするので、ぜひ遊びに来てください。
最後に、今後の引っ越しの手続きの話をして、色々片付いたらお二人に遊びに来ていただく約束をしました。
玄関でお別れをする直前に、お義父さんが「これから、よろしくお願いします」と言いました。
お互い、ちょっと照れくさい感じになりました。
少し歩くと彼女が「暑いから、さっさと不動産手続き、終わらせたいね」とか、のんきなことを言ってました。
私の手のひらのキャンディはドロドロになっていた。
サポートしてくれた方、いつでも靴を磨かれに来てください。