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諏訪湖、聖地巡礼の旅:岩波其残とスケート
少し前のことですが、仕事の合間をぬって長野県の諏訪湖に行ってきました。きっかけは、noteクリエイターのつきふねさんの記事を拝見して。
下諏訪町ゆかりの文化人、岩波其残の企画展です。
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つきふねさんの投稿を読むまで、「岩波其残」という人物を知らなかったのですが、作品に登場する人物や動物が可愛いのなんの。うん、カワイイの原点を感じる!ということで、つきふねさんの記事を読んだその場で行くことを決めたのです。(会期中に投稿してくださったつきふねさんに感謝!)
余談ですが、一昔前までは「いいな」「行きたいな」と思っても、「遊んでいないで仕事をするべきだよね・・」と躊躇して、結局やりたいことをやらない、という選択を取っていました。今では好奇心の赴くままに行動できるようになりました。ほんと、えらく変化したものです。これも「自分を好きになる」「やりたいことをやる自分を許可する」というトレーニングのおかげです。初心者の素人で個展を開催したのもこれが理由です。ご興味のある方は以下の記事ををご覧ください。
さて、せっかく諏訪湖に行くんだからと、観光スポットを調べてたところ、あることを思い出しました。そういえば諏訪湖と言えば・・・あの映画のロケ地じゃないの!
そう、是枝裕和監督の『怪物』です。
「かいぶつ、だーれだ!」に聞き覚えはないでしょうか。なんだか物々しいタイトルですが、物語と映像、そして音楽のすべてが美しく、心に染み入る作品です。
きっかけは、大好きな坂本裕二さんが脚本を書いたからでしたが、もう、あまりにも好きで、映画館で2回観て、ノベライズ本とシナリオブックも読破。そんな大好きな映画のロケ地が諏訪湖にあるなんて・・・これはもう・・・聖地巡礼するしかない!ということで、同じく坂元裕二ファンの友人と共に馳せ参じたわけです。
なんと、諏訪圏フィルムコミッションによるロケ地特設サイトまであります。
その後知ったのですが、諏訪の聖地と言えば諏訪大社ですね。日本で最も古い神社の一つで、全国の諏訪神社の総本社。むしろ諏訪大社へのご参拝が「聖地巡礼」というべきですね。。。(あぁ世間知らずで恥ずかしい…)せっかくの機会なので、諏訪大社にもご参拝することに。
そんなこんなで、「カワイイの原点、岩波其残」「怪物のロケ地」「諏訪大社」と、色んな意味での「聖地巡礼」の旅になりました。今回は、そんな旅の記録です。
雪が降り始める中、到着。思わぬところに第一の聖地
諏訪湖に行ったのは2月のことです。そろそろ暖かくなるかな・・と思いきや、旅初日はしっかり雪が降っていました。
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保利先生と広奈が出てきたエレベーターです(笑)
素通りしそうなところ、旅の相方であるがんちゃんが「ここって…もしかして…」と第一の聖地を発見!この先、期待しかありません。
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黒い塀のコントラストが美しく、思わずパチリ
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天竜川につながる諏訪湖は昔から天然鰻が有名だとか。
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余談ですが、メニューを見ると松→竹→梅の順でお値段が高くなっていました。あれ、普通「松」がもっとも上等なのでは?と気になって店員さんに聞いたら、「一番お手頃のものを頼んでも、「松!」って堂々とお客様が注文できるように」という心遣いが込められているようです。粋ですね!
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知られざる「下駄スケート」の世界
鰻で腹ごしらえしたところで、いざ岩波其残の企画展へ!下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館に向かいました。(寒すぎたのでタクシーで)
到着すると、がんちゃんがあるものを発見。(やたら発見力が高い)
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「下駄スケート発祥の地」ですって!下駄スケート?!と大盛り上がり。近づいて見てみると・・・
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下駄スケートはその名の通り、下駄に刃を取り付けたスケート靴とのこと。
下駄スケート(げたスケート)とは、下駄に刃(ブレード)を取り付けた日本独特のスケート靴である。現在の一般的な革製のスケート靴が広まる以前に日本国内で広く使用された。
1906年(明治39年)、長野県下諏訪町の飾り職人だった河西準乃助が、外国製のスケート靴を模して下駄の底に鉄製の刃をつけた「カネヤマ式下駄スケート」を発明した。この下駄スケートの流行により、スケートが日本国内に急速に広まった。
日本国内にスケートが普及したのは、下駄スケートの存在あってのことだったんですね。ちなみに下諏訪町秋宮スケートリンクでは、下駄スケートのレプリカをレンタルできるとか。(※現在も行っているかは要確認)
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雪の帽子と膝掛けで温かそうでした。
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いよいよ「カワイイの原点 KIZAN」へ
前置きが長くなりましたが、いよいよ岩波其残の企画展「カワイイの原点 KIZAN」へ!岩波其残という人物については、つきふねさんの記事をご覧ください。
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1段目が「赤穂浪士の討ち入り」、2段目が「花見をする人々」など、
段ごとにテーマがある。
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いま流行りのピンクヘアが、この時代の髪色に使われることが驚き。
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ピンクヘアといい、どこから発想を得たのか気になる。
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自分物を線で描いているのに、
表情やキャラクターが一人ひとり違うのがすごい。
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「線」だけでこんなに生き生きとした描写ができるのが羨ましい。
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「隣から大根もらう(もらった)な」とは・笑
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(と、書きつつ、本屋で見かけた「おしり探偵」の絵本を思い出す)
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これは歌会で俳句2句を左右に並べて、優劣を決めて記録したものだとか。赤文字は其残の判定。左側の句には、赤い墨で軍配団扇(ぐんばいうちわ)の絵が。素晴らしい句には其残が描いて楽しませたようです。
こうやって其残の作品や講評(そしてダジャレ)を一通り見ると、遊び心やユーモアの持ち主だったように感じます。小さな企画展でしたが、すっかりファンになりました!
帰り際、実物に遭遇!
タクシーを待つ間、常設展をブラブラしていると、なんと例の下駄スケートの実物が!またもやテンション爆上がりの2人。
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そして秋宮スケートリンクって大正2年からあったの?!
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いやいや、鼻緒側が心許ない・・・
実物の下駄スケートのパンチ力が強く、一瞬、岩波其残の作品が飛んでしまいましたが、どちらも素晴らしい展示でした!