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メンズコンカフェに行ってみた

何かとニュースでよく聞く新宿歌舞伎町の話。
立ちんぼする若い女の子たちの目的は、ホストやメンコンや地下アイドルや2次元(Vtuber、アニメ、ゲーム、マンガ)など、
さまざまな「推し活」の資金のためと言われている、とかなんとか。

ずっと女性向けのオタ系コンテンツを作る事を生業にしている身として、「ターゲット女性の間で今流行っているものは何なのか」「それは何故か」を出来るだけ追うようにしている。

なのでずっと気になっていた「メンコン(メンズコンカフェ)」というものに昨日初めて行ってみたので、思った事を書き残しておこうと思う。


▼店選び

客引きは厳しくなったので、昔のように道に立つ「お店のキャスト」さんは道行く人に手を振ったり、店名の看板を見せてアピールするのみ。
気になればこちらから声をかけてお店の事を聞いたりするのは客引きではないからセーフだろうが、ちょっとそこまでの度胸はない。

以前から「行くならここかなあ」とネットのメンコン情報サイトで3店舗ほど目星をつけており、1番コンセプトと店の特徴が好みな店から!と決め
GoogleMapを見ながら店に自力で突撃した。

※結論から言うと「絶対また行こう」とにやにやしながら帰るくらいには楽しかったので、お店の事は特定しずらい感じにぼかして書く。

📝だいたいのメンコンの料金

・1時間飲み放題セット 1500〜2500
・キャストドリンク 1000〜2000
・他クライナーやテキーラや高額ボトル系
・チェキ 1000〜2000
・最終会計から+10〜15%(チャージ料的な)

今回突撃したメンコンもだいたいこんな感じで、初回はセット料金がちょっと安くなる。噂通り、ホストより全体的にお手頃価格になっていた。

で、わたしがなぜメンコン気になっていたかというとこの「課金メニューにチェキがある」というところだ。
「女用のメイドカフェ的な感じなのかな」という疑問もあるし、チェキなら舞台やらメン地下で買い慣れているので、そちらとの違いも比較できそうな気がしたのだ。

▼いざ初回突撃

この手のお店に初めて入る際、店内の人間が全員こちらを見るこの瞬間だけはどうにも慣れない。
気まずい気持ちで席につき、説明を受けていざ話はじめるまで…の先からどこまで楽しい気持ちにテンションがあがるかだ。

柔らかい雰囲気のお兄さんが席に案内し、メニューを広げながらお店のシステムを説明してくれた。
わたしは酒が飲めないので、ソフドリ含めた基本の飲み放題セットとお店の特徴であるとあるメニューとキャストドリンクを注文し、席についてくれたキャストさんと乾杯をした。

▼お店全体の雰囲気

こじんまりとした店内にはバーカウンターと何卓かのテーブル席があり、わたし以外には3組ほどのお客さんである女の子が来ていた。
他の人をじろじろ見るのは失礼なので横目に映る雰囲気や聞こえてくる声の感じから、やはり全然わたしより若い方なんだろうなとお見受けする。

店内は程よい薄暗さでバーカウンターのネオンや所々に置かれたランプがいい感じに落ち着いた雰囲気を出している。
ホストのような煌びやかな装飾品や高そうなソファなども悪くはないが、程よく力抜いて楽しめるこれくらいの雰囲気の方がわたしは好きだ。

ドリンクを取りに行く際もキャストさん同士リラックスした感じで会話をしている様子も伺えて、こういう気張らなくてよい雰囲気は確かに若い女性も入りやすくて落ち着けるだろうなと思ったりした。

▼楽しいキャストさんとのおしゃべり

夜のお店では営業形態に応じて「キャストさんが席にどうつくか」が違う。
隣のソファに座るか、テーブル向かい側に座るか、カウンターごしの接客のみで座りはしないか…など。
ここは「コンカフェ」であくまで「カフェ」なので、テーブル向かい側にしゃがむ形でキャストさんがついておしゃべりしてくれた。
(ちょっとひざとか痛そうなのでせめて座布団かクッションくらいは法的に許されてほしいね…という話をしたりした)

話した順番なんかはうろ覚えなのだが、わたしが居た2時間ほどの間に4人くらいのキャストさんがかわるがわるテーブルに来てくれた。
みんなお店のコンセプトに合わせた制服を着ており、自分に似合うメイクやヘアセットをしている。

そして全員、フレンドリーさとはじめましての丁寧さの塩梅が程よく、とても話しやすかった。
話題もみんなそれぞれ。

・メン地下やチェキの話
・ライブやバンドなど音楽の話
・仮面ライダーや映画など特撮系の話
…など、割とわたしが好きな事や興味のある分野から話題を膨らませてくれた。

この手のお店で1番退屈なのは「女と飲みと車とブランド」くらいしか趣味がなくて適度に表面上うんうん聞いてれば良い、が透けて見えるキャストに当たってしまうパターンだと思っているので
わたしの好きなジャンルで自分なりの好きなものを色々語ってくれるキャストさんに会えたのが本当にありがたいし楽しかった。

ふとした事をきっかけに話を広げたり、いいタイミングで話題を変えたり、そういう気配り上手で自然に会話をエスコートしてくれるので
本当に久しぶりに自分が相手に気を使い過ぎて疲れる事もなく、おしゃべりを楽しむ時間を過ごさせてもらえた。

▼思わぬ沼の予感

ついてくれたキャストさんみんないい子だったのだが、どうしても気になる子がいた。
挨拶をした時から「可愛い系の子だな」と思ってはいたのだが、話し方や所作のひとつひとつを見るたびに「可愛い」が貯金箱に1枚づつじわじわチャリンチャリン溜まっていくのを感じ
退店する頃には「次いつ会いに来れるかな」で頭がいっぱいになっていた。

別に色恋営業をされたわけでもないし、そういう目線で気になるわけでもなく、どちらかというとやはりメン地下で気になる子を見つけた感覚に近い。
ソシャゲで推しが増えた時の感覚にも似ている。
ただ「もっと見ていたい」感じが強い。

「チェキを撮ること」についての持論を聞いたときに彼なりの「推される側としての矜持」が見えたこともかなり大きいと思う。
思い出に残りたいからと撮る前に鏡を見てリップを塗り直す時の真剣な目がとても素敵な子だった。

▼お会計&帰宅

2時間ほど楽しくおしゃべりを楽しませてもらい、この日のお会計は1万数百円くらいだった。
お店の特殊メニューやキャストドリンクを頼まなければ半額くらいにはおさまるが、ふつうに舞台の物販やメン地下でチェキ10枚課金した時に比べたら
この日2時間おしゃべりして払った1万円はとても満足度や自分のため要素の高い、とても良い課金だったなと感じている。

コンカフェなので深夜営業はなく、お店は日付が変わる前に閉店する。
お会計を済ませエレベーターまでチェキの子に見送ってもらい「また来てね!」とこれまた可愛く手を振ってもらう。
可愛い仕草を思い出しながら新宿駅まで歩く最中、マスクの下はにやにやですっかりしっかりメロメロである。行きと足取りが違うのが自分でよくわかる。

初めてのコンカフェはまことに楽しい場所だった。

地元駅につき家まで歩いていると、Twitterにチェキくんから「今日はありがとう」的なDMが来た。
この家に帰るギリギリのところで来るタイミングもいい。楽しかった気持ちを持続したまま帰らせてくれるなんて…時間外業務なのにありがとな!というますますまた行きたい気持ちが増してしまう。


▼総括的な、現状のメンコンの印象

接客の仕方はお店によると思うし、1回行ったくらいで全てがわかるわけではないし、そもそも沼らせる側は簡単に手の内がわかるような事はしないだろう事は前提として…

それでもやはりメンコンはホストに比べれば色恋売り的な要素は低いし「居心地の良い場を与える」という部分がとても強いのだろうな、という印象だった。
だから自分の居場所を求めて若い女の子が集まるのだろうなと。

女側が勝手に沼る・またはそうなるように誘導する手法なケースも店によってはあると思うが、わたしの行った店の初回ではひたすらに
「楽しくおしゃべり出来て落ち着く時間と場所」としての価値を全力で提供されていたし、だからこそまた行きたいな、また会いたいなと思った。

どんなに気になる子に出会ったとしても「沼らせる前提感」を感じられる接客内容や雰囲気だとどうしても身構えてしまう。
「女側から自然に沼ることはまあやぶさかではない」程度にうまく誘導する接客方針なのだとしたら実に見事だし、それくらいうまく誘導してもらえるならば喜んで引っ掛かりたい。

だからわたしにとってはどちらでもいい。

とにかく「居場所の提供」に重きを置いているであろうメンコンは今の歌舞伎町であったり、寂しさを抱える若い女の子の需要に沿ったサービスを提供している「この時代ならでは」感のあるものだ。
わたしのようなBBAにとっても楽しめるものであった。


▼「推し」に求めるもの

ここ数年ずっと考え続けている「推しとは何か」がまたひとつ広がった感じがする。
「推し」とは何かは1人1人意味が違う。
「推す」という定義も理由も違えば「推し」の対象に求める事も感じる価値も違う。

・良席で推しを見る
・全通するなど強いオタクになる
・繋がる

若手俳優界隈、アイドル、メン地下などでは↑これらの行為が「推しからの認知」を目的に行われる事があったりする。
推しに自分を知ってもらう、自分が居る価値を推しに認めてもらう事をはらむようなアレコレ。

これも本当に純粋にただ近くで観たいだけの人も居たりもするので必ずしもそれが全てではないのだが、「◯◯のため」を表の理由にした、根っこの目的が違うものは推し活において様々ある。
そんで「推しからの認知」が根っこの目的だったとしても「なぜそれを求めるのか」すら人によって理由が様々ある。

だからどうにも難しい。
だからこそ仕事的には面白さを感じるわけなのだが、推し活の闇的なことを話題にするニュースなどはどうにもラベリングしたがるので、なんかあってるけどそれが全てではないしなあ…という感じがするのだ。

「推し活」はいろいろ。
それ以上でも以下でもない、正解も正義もゴールも無ければはじまりもない。
1人1人の好みや人生から構成された曖昧な集合概念みたいな感じのままにしておいていいんじゃないだろうか、と最近は思う。

ただ唯一のルールとして
・推す側は自分の身の丈にあった遊び方を
・推される側は仕事としての矜持と線引きを
・両者ともに法令遵守で人として最低限の思い遣りを忘れずに
…みたいな感じだけ何かしら共通項があればそれ以外は何が存在したっていいはずと思う。

何か事件があるたびにマンガのせい、アニメのせい、ゲームのせい、ホストのせい、風俗店のせい、推し活カルチャーのせい…にするのは意味がない。
あくまで「そこに何を求めて来た誰が何をしたか」でおきた事件だし、ラベリングやカテゴライズされた表面だけ知識として集めたってなんの意味もない。

いちいちあれはダメ、これはダメって、体験ではなく知識としてしか知らない人・それらを必要としていない人が勝手に「これは要らぬ」と決めるのはあまりに人として野暮だなあと思うんだ。

・自分で身銭を切らないと理解にはつながらない
・自分がお金出したいと思えないものを仕事にするん?

みたいな考えで仕事をしているので、
これからも色んなエンタメや推し活文化のあれこれ興味があるものについて、適度に課金して体験して、自分なりの理解を深めたいなと思う。

人生の貴重な時間を使って得たお金を使ってまで体験したいエンタメ、過ごしたい時間、会いたい人。
人それぞれ違う定義で感じる「好き」「楽しい」という感情。
そういう果てしないものをひとつづつ知って集めて似たものを結びつけたり、考えてみたりするのはとても楽しい。

色んな需要に応じたエンタメがあふれていて、とても面白い時代に生きれてラッキーだね!!
٩( ᐛ )و


※補足〜客引きについて〜

客引きは条例で禁止なのだが、
ゴジラ通りや東横などを外れた道にはふつうにキャッチはいて、わたしも昨夜うろうろする間に3人ほど「初回どうすか」と声をかけられた

3ヶ月ほど前にそのキャッチについて行って何のコンセプトでもないボーイズバーに行って、2セットぶんおしゃべりして帰った。
特にキャッチだからといってぼったくられたり等はなかったが、ついてくれたキャストさんの顔面がよほどタイプでない限り面白味は少ないと思うので
やはり行くなら特定のキャストさんなり店なりが気になっているところに自分から選んで行ったほうが楽しめると思う。
(それでも以前ふらっと行った池袋のボーイズバーに比べれば顔もオシャレ度もトークも数段上だったので、遊ぶなら歌舞伎町の方が固いはず)

なぜ客引きが禁止なのかというと、届け出していない違法なお店なんかは客引きでしか集客できないから…とかなので大前提としてついていかない方がいい、なんだけど。
その辺問題ない店だとしても、自分で調べて開拓していく方が面白いよね的な話をしておきたかった。