<今落ち着いてJクラブの経営について考える②・・・・地域密着と市場拡大(都市圏進出)は二律背反じゃない &人材投資が未来を決める
(はじめに)
在宅ワークにおける最大の敵は「喫煙」です。
先日の日経新聞にも「在宅で喫煙本数増える!!」の記事が出ていました。
普段は勤務時間中(9:00~17:00)は昼食後とかも含めて、一切吸わなかったのに、なぜか家でPCに向かって仕事していると、気づけば・・・・・・これはまずいです。
ということもあり、この2週間は事務所で仕事をしています。電車に乗らず徒歩で通っていますのでその分健康管理にもなり一石二鳥です。
これを機に、そろそろ本気でスパッと止めたいと思っているのですが・・・・・・(昔からこれだけは「継続力なし」です・・・)
今日は、昨日提示した③④の「違和感」について私の考えを記します。
(長文になりますが何かの参考になれば幸いです)
(「地域密着」という言葉で「市場拡大」思考を停止させてはいけない)
スポーツと地域は密接につながっていて、地元から応援されることが非常に重要ですし、それが地域の活力につながっていることは紛れもない事実です。
その輪を広げるために法人・個人向けそれぞれに営業・PR・地域貢献活動していくことは当然のことです。
しかし、それは企業/クラブの成長にとって必要条件ではあるけれど、十分条件ではないということを忘れてはいけません。
つまり、ここで大事なことは「地域密着」と「市場拡大」は二律背反したものではないということです。
しかしながら残念なことに、ここを勘違いし、結果として「思考停止状態」に陥っているクラブがいくつもあるように思えてなりません。
これが続いていけば、地方クラブと都市型クラブの資金力格差は広がる一方です。(地域経済力に比例することになります)
私は地方クラブこそ
■「都市圏から資金を集める」
■「域外にもファン層を拡大する」
努力をするべきだと思っています。
理由は明確です。
【これからの地方経済は高齢化・若年労働力不足とともに縮小し、事業承継問題も含め企業数が減少していく】
このことを否定する人はいないでしょう。単純に言えば「市場が縮小」していくのです。
したがって、クラブとしての生き残りはもちろん、地域経済を引っ張る存在になるくらいの意気込みをもって事業に取り組むべきだと思っているのです。(儲かっている会社にサポートしてもらう存在から、成長する企業の旗頭になる決意と言っていいかもしれません。)
そして、その確固たる方向性が組織内に新たな風を吹かせます。
①市場拡大を考えることによって「市場・顧客・価値」とか「自社の強み・弱み」などについての議論のきっかけができます
②BtoB・BtoCそれぞれにおいて「戦略・戦術」を作るきっかけになります
③ビジネスのスピード感や情報感度が上がり、意思決定もどんどん早くなっていきます
③新たな人材(専門性の高い人材・福業で働ける人材・ベンチャー気質にあふれた人材などなど)が集まってくるようになります
と、ここまで「都市圏に行けばみんな成功する!!」的に書きましたが、実は「言うは易く行うは難し」です。
地方のクラブが「縁もゆかりもない東京の企業」に営業活動をしたところで、そうそう簡単にスポンサーになってくれるはずもありません。私たちの例を取って言えば「なんでうちの会社が大分に?」という企業さまの素朴な疑問に答えられないのです。頭を抱えました。
結局何らかの地縁・人の縁がない限り「営業しても無理」ということになり、八方塞がりのようになっていくのです。
(事実、「東京で色々営業してみたんだけど・・・・・今はやってないな・・・・」と仰るクラブもたくさんありました。)
でも、私は本当の勝負はここからが始まりだと思っています。
「なぜ受注できない?」「どうして理解されない?」「どうしたら【企業の素朴な疑問】を超えられるのか?」について徹底的に考え抜く、議論する、仮説を立てる、実行してみる、玉砕したらまた考える・・・・
これを繰り返すことができる営業メンバーとやり続けることで、少しずつ光が見えてくるのです。
そもそも簡単にスポンサー獲得できるなら皆がやっているでしょうし、そしたら今度は競争が激化し別の困難に向き合うことになるのです。
私たちトリニータマーケティングもめげずにやってきたことによって、ようやく少し壁を越えられそうなところまで来ました。
「市場拡大」こそ生きる道・成長への条件だと確信することで、思考力・想像力・工夫力・実行力が生まれます。
その力を蓄えて、次は世界を目指すのです。
これは日本の企業が世界を目指してきた道です。決して特別なことではないのです。私たちも地道に歩めばいいのです。
幸いにしてサッカーは「世界に通用する言語」です。
地方クラブが世界を目指しても何もおかしくないと僕は思っています。
都市圏はもちろん、世界に羽ばたける力を身につけ、その力で地域経済に貢献・還元していくことこそが、地域に生んでもらい、育ててもらっている
地方クラブの恩返しの姿だと思うのです。色々なクラブで謳われている「地域の活力になる」というのは、このエネルギーの好循環を生み出すことなのだと信じています。
(フロント人材への投資がクラブの未来を決める)
一般的にスポーツクラブのフロントスタッフの給与水準は低く、労働環境も劣悪と言われています。
かなり改善が進んでいるクラブもあるでしょうが、今回のような事態になるとまたぞろ給与カットなどが行われないとも限りません。
「スポーツクラブにとってのフロントスタッフとはいったいどんな存在なのか」と経営者に問うてみたくなります。
クラブ着任前にいろいろなクラブ関係者とお話しする機会を頂きました。
皆さん口をそろえて仰っていたことがあります。
「優秀な人材を採用したいんだけどさ・・・・でもうちの給与水準だと採用できなくてさ・・・・」
「若い人の定着率がね・・・・・男性も独身のうちはいいけど、結婚するとなるのこの給与じゃ食っていけませんって・・・・」
「研修とか、教育に金かけたいんだけど、そんな余裕がなくてさ・・・・・」
人材会社出身の私からしてみると、「最悪の経営者だな」と感じていました。(口には出しませんが・・・・笑)
企業が成長するか否かは「経営者が人にお金をかける気があるか否か」で決まると言っても過言ではないと思っています。
フロントスタッフの成長なしにクラブの事業が成長するわけもありませんし、ましてやこれまで述べてきたような新しいチャレンジなどできるはずもないのです。
それでありながら、「お金をかけられない」という理由を作っていること自体が経営の怠慢だと思っていました。
■「売上や利益に余裕ができたら人に投資する」か「人に投資をすることによって売上・利益拡大を図る」かは、一見、卵が先か鶏が先かの議論のように見えますが、私は明確に「人が先」だと思っています。
だからこそ、「人へのお金の使い方」について徹底的に考え抜くのです。
私の場合は「人材会社」でしたから、何千・何万という会社の経営者とこのことについて話してきました。「どのように人材投資していく会社が伸びるか」について、長年事業現場で見ることができました。
自身の経営において、その学びを実践するために「黄金律」を作ってきました。
その一部を紹介します。
【お金をかける3つのポイント】
①採用に金をかける ②教育に金をかける ③待遇に金をかける
【お金をかける際の3つの留意点】
①給与総額は売上比/粗利比で予算枠を決め、それを公開情報とする。
「選手人件費」に枠を設定するのと同じように「スタッフ人件費」にも枠を設け、その維持を経営指標としていくのです。
(比率は経営者の意思ですので、ここでは言及しません)
②教育・研修関連費用を「単価×人数」(例:5万円×20人とか)として予算枠を策定する
テーマ設定とメリハリが重要なので、全員一律研修的には使わいません。
(単価設定も経営者の意思ですので、ここでは言及しません)
⇒この①②で重要なのは:
■その年々で比率や単価を決めるのではなく「P/Lの基本構造」として確定させてしまうことです。(くれぐれも「余ったお金の中から捻出する」という発想をやめることです。
■目標とする利益率・人材投資率、それにIT投資と販促投資を決めて予算を策定し、基軸を作ることで「優秀な人材を採用し育て続ける組織の基礎」ができるのです。(正直けっこう難しいです。「人にお金をかける」ことを「P/L策定時の原則」にするということは、何かを減らさねばなりません。生産性を上げねばなりません。まさに経営者の「予算策定能力訓練」です。
この訓練が経営者を強くします。
3つ目のポイントは、処遇・待遇を大胆に行えるようにすることです。
③個人の昇給昇格に際しての基準を:
・シンプルに!!
・「飛び級」「抜擢」を可能に!!
・昇給幅をできるだけ広く!!
・融通性の高い制度設計をする!!
・中小企業ほど硬直化した人事制度(年功序列型)を使っているケースがあるから要注意です。
最後に:
【最も重要なキモ】
経営者が「ヒト」の問題に最大の時間をかけること。
【人に対するお金×時間】こそが「経営者の意思」なのです。
フロント人材への投資を決断し、最大パフォーマンスを発揮できる環境を作るのが経営者の仕事です。
それが「魅力的なチーム作り」の第一歩なのだと思っています。
昨日から、長々と書いてきました。
昨日の冒頭にも述べましたように、今シーズンの決算ではおそらく大半のクラブは赤字転落です。
その挽回に向けてさらに厳しくなるであろう経済環境に向かわなければなりません。
もう小手先のテクニックではV字回復はおぼつかないと思っています。
今こそ、クラブの経営を根本から見直して確固たる経営基盤を築いていきたいと心から思っています。
みなさん一緒に頑張りましょう!!
そして、応援よろしくお願いします。