東京オリンピック会場でのエピソードとJリーグ後半戦の展望
皆さん、こんにちは。神村です。
前回、神田さんと英語学習のリスニングに焦点を当てて話しました。
今回は、久々に小出さんがインタビュアーを担当してくれました。彼は今夏の東京オリンピックとパラリンピックでスタッフとして参加しており、会場で体験したエピソードを語ってもらいました。後段では、Jリーグ後半戦の見どころ(ビジネス面)を読者の皆さんにお伝えします。
(本稿は「Off the pitch talk 」第131~133回の放送内容のまとめです。今回はインタビュー:小出さん、文責:神田さんでお届けします)
↓↓音声で聞けるstand.fmはこちらから↓↓
#131 : https://stand.fm/episodes/611a2ccedd092400066176fe
#132 : https://stand.fm/episodes/611cce91dd0924000661a45f
#133 : https://stand.fm/episodes/611f7da7f4ef5e000720969d
トップアスリートは”人間力”が凄い
(神村):オフ・ザ・ピッチ・トークで小出くんと話すの久々だね。最近は忙しかったの?
(小出):はい。実は仕事で、東京オリンピックの現場に入らせていただきました。今回はトレーナーとしてではなく、主に記者と動きながらメディアのサポートをする役割でした。
(神村):それは良い経験だね。実際やりたくても中々できる仕事じゃないからね。オリンピック期間中はフルで参加してたの?
(小出):開会前の準備から閉会式当日まで、ほぼすべて現場にいました。ありがたくも周りの人達に恵まれてこのような機会を頂けた事自体、とても良かったと思います。もちろん、開催自体の是非について様々な意見があることは理解した上で、自身で参加してみて色々なことを感じたので、この場で皆さんに紹介できればと思います。
(神村):それは是非とも聞きたいな!視聴者も気になるトピックだと思うよ!オリンピックには様々な競技があるけど、小出君はどの競技に参加したの?
(小出):僕は基本的にずっとバレーボールの会場にいました。皆さんもご存知の通り、開幕直前に無観客が決まったのですが、試合自体はそれほど影響なく割と普通に実施されていました。目の前で見るアスリートのプレーは当然レベルが高いのですが、プレー以外で僕が感じたことが2つありました。
(神村):へぇー、それは何だったの?
(小出):一つ目は、アスリートの方々は選手・コーチだけでなくてアルバイトスタッフやボランティアの方々にも優しかった点です。わざわざ試合直後に「運営ありがとう」って声をかけてくれる選手がいたり、こちらから「ナイスゲームでした!」って英語で話しかけると「Thank you!」って返事してくれたり、とてもフレンドリーに接してくれたんですね。中には、勝ったチームがハイタッチを求めてきてくれてたりしたこともありました。
(神村):そうなんだ!国によってアスリートやチームの雰囲気に特徴はあったりするの?
(小出):多少はありました。例えば、ブラジルの選手はイメージ通り明るかったですね笑。ただ、どの国においても、トップレベルの選手は人間性の部分で優れていると感じました。
(神村):なるほどね。二つ目は何かな?
(小出):二つ目は、試合に勝ったチームが負けたチームを励ます光景です。オリンピック競技である以上、メダルをかけた勝負とか、入賞するための順位がとても大切なので、勝敗には当然こだわりますよね。やはり負けたチームで悔しさのあまり涙を流す選手はいました。ただ、勝ったチームの選手が負けたチームに進んで声を掛けに行ってたんです。僕は子供の頃から野球をやっていましたが、甲子園では負けたチームが勝ったチームに「頑張れよ!」って声かけることが多いので、とても新鮮でした。
(神村):確かに負けたチームが勝ったチームに「(負けた)俺たちの分まで頑張れよ」って言うイメージがあるよね。勝った側が負けた側に行くってあんまりイメージないかもしれないな。そういうのって、選手は教えられてやっているのかな?日本だと教育的観点で形式的に行うこともあると思うんだけど、海外のアスリートとかは自然発生的にやっているのかは気になるね。
(小出):おそらく自然にやっているのだと思います。選手同士、互いにリスペクトし合う精神、とりわけ負けた側へのリスペクトがある印象を受けました。こういう文化は、あまり日本には無いのかもしれないです。
(神村):そういえば、サッカーでも負けて倒れこむ選手に対して、勝った方の選手が肩を叩いて立ち上がらせてユニフォーム交換したりとかする場面はよく見るよね。今回、日本代表が負けた試合(メキシコ戦)では、泣き崩れる久保選手に声をかけるシーンが印象的だったな。やっぱりそういうシーンが見てる人たちの心を動かしたりするんだろうね。
(小出):そうですね。本当に純粋に声をかける雰囲気で、とても素敵だなって思いました。TVでは試合中の場面しか映らないので、尚更お客さんに生で会場で見て欲しかったなという思いはありますね。
多様性のある組織を動かすには?
(小出):今回の五輪は無観客とはいえ、本当に多くの人の運営で成り立っていることを目の当たりにしました。年齢層でいうと学生から70代の方まで幅広く、ボランティア・スタッフが協力し合いながらの運営は貴重な経験でした。ただ一方で、とても難しい部分もあったんです。
(神村):お互い初対面で、尚且つ誰が現場のリーダーなのかも分からない状況だったと思うから、大変さが容易に想像できるよ。
(小出): 男女比も年齢層もバラバラで、試合が終われば即解散だったので、おそらく二度と会わない人たちと一緒に運営をしました。神村さんにお聞きしたいのですが、こういう老若男女で構成されるスタッフをまとめてプロジェクトを回す時、どのように意思疎通を図れば良いのでしょうか?
(神村):そういう時に最も大事なのは、一人ひとりの役割と組織図の明確化かな。そこがちゃんと決まっていることが、特に初対面同士の人が集まるプロジェクトでは大切だと思うな。分からないことや困った時に誰に質問して、誰に報告すべきかが決まっていると、一人一人が自発的に動けるようになるし組織は機能するんだ。
(小出):なるほど。でも、チームの中での自分の役割って初対面同士だと割り振るのが難しそうです。お互い何が得意なのかも分からないですから。さらに、チームも直前で変更になったりとか臨機応変さが求められる中で個々人の裁量権が大きくなりすぎると組織が崩壊する気がしてしまったんです。
(神村):個々人である程度の得手不得手がある中でチームを統制するには、皆で共通認識を持つための明確な基準がないといけない。何か想定外のことが起きた時には、その基準を頼りにするイメージです。個々人が自発的に動くということと相反するかもしれませんが、時には個人の判断だけで動いてはいけない場面もあります。オリンピックにおいては、”安心・安全の担保”が最優先事項でしょう。たとえば、天候が急変したらどうする?とか、停電の時は?等のあらゆるリスクを事前に想定しておくことが大事です。
(小出):とてもよくわかりました。最後に、かなり年上の方と仕事で接する際の若い人の振る舞い方を伺いたいです。今回、僕が指示を出す役割の時に、相手が年上の方でした。その方は会社で部長クラスだったらしく、周囲を細かく観察されていて、「こうしたら良いよ」と僕に色々アドバイスをくださったのですが、彼の意見を全て受けるわけにもいかず、ちょっと困ってしまったんです。
(神村):そういう時は、”言葉遣いは丁寧に”、でも”はっきりと意見を言う”ことを意識すると良いかな。まずは組織をしっかり機能させることが最重要だから、その日の課題があれば後で振り返りの時間を設けるのも有効です。小出君が出会った方みたいに、オンゴーイングで進んでる途中に色々言うのは基本的に NG だね(苦笑)
Jリーグ後半戦の見どころ
(小出):さて、ここからは話の内容を変え、いよいよ始まった Jリーグの後半戦に向けての展望をお伺いしたいと思います。せっかくなので、神村さんなりの視点でビジネス・経営的な視点で色々お伺いしたいです。
(神村): まず今シーズンの大きな特徴なのが、J1, J2とも4チームが降格することだよね。例年の様に入替戦もプレーオフもないから、シーズンの順位だけで決まってしまいます。上位チームの優勝争いも大事だけど、今シーズンは残留争いが例年以上に過酷になりそうです。「降格=リーグレベルが落ちる」ということではなく、経営的に翌シーズンの収入に大きく影響するんだよね。
(小出):そんなに大きく違うんですか!?
(神村):もちろん。分かりやすい例では、J1からJ2に降格したチームは、翌年の観客数はガクっと減ります。これはどのチーム言える事だと思います。それから、既存のスポンサー料が減額されることも多いです。フロントスタッフが見る視点は、ファンが見る視点とは少し違うかもしれませんね。
(小出):いかに降格しないようにするかが重要なポイントなんですね。
(神村):そうだね。でもフロントスタッフが試合に出る訳ではないから、どうやってチームを後押しできるか、そのために何ができるかということを後半戦に向けてしっかりと準備してかないといけないよね。
(小出):スタジアムの運営的には、この時期から何か変化が出てきますか?
(神村):出てくるチームもあると思います。シーズン序盤に始めたことをどこまで続けられるか、逆に翌シーズンに向けた新たな取り組みを後半戦のいつからトライアルで始めるかという2軸のバランスが重要だと思っています。今シーズンでいえば、コロナ禍で見に来てくれたお客さんにいかに楽しんでもらえるかが非常に大切なので、お客さんの気持ちを汲むことが大事になってきます。
(小出):今季の取り組みと来季に向けての準備は、具体的にいつ頃に切り替わるのでしょうか?
(神村):まず来季の準備については早いに越したことはありません。正直、下半期に差し掛かる8月後半からスタートできれば理想ですが、通常は11月頃にかけて来季のトライアルとなる取り組みをしているチームが多いように見受けられます。今期の取り組みに関しては、シーズン開幕から7月までチャレンジしてきたことが検証されて、8月に改善点を修正、後半戦に再度検証をしていくという流れが一般的です。あとは実際にスタジアムに行ってみて、ビジネス観点で周辺を観察してみると面白いと思うよ!複数のスタジアムを回ると比較ができるし、特徴が見えやすくなるかもね。
(小出):なるほど、少し視点を変えてみると新しい気付きが生まれそうですね。今シーズンの前半戦にも何箇所かスタジアムに行ったので、後半戦も色々行ってみたいと思います。サッカーファンの方は後半戦のビジネス面にも注目してみてはいかがでしょうか。
(文責:神田)