社会人の英語習得法について語ります ~リスニング編~
皆さん、こんにちは。神村です。
前回に引き続き、今回も英語についての学習法を神田さんとディスカッション形式で深堀していきます。
今回は、より具体的に「リスニング」の部分にフォーカスしてみました。私は、リスニングが大の苦手で、今でもコンプレックスです。もしかすると役に立たないかもしれないけれど、多少なりとも参考になれば嬉しいです。
(本稿は「Off the pitch talk 」第129~130回の放送内容のまとめです。今回はインタビュー&文責:神田さんでお届けします)※standfmで未公開分の内容も含みます
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#129 : https://stand.fm/episodes/6110ef889a2fe90006f3c177
#130 : https://stand.fm/episodes/61163c1a32f6ae0007e55172
英語のリスニングレベルは3段階ある
(神村):俺さ、英語の文法や語彙には比較的自信があるんだけど、リスニングに自信が持てなくてさ、、、今でも苦手意識があるんだけど、実際リスニングスキルって大事だと思うんだ。そこで今回は、これまで僕がやってきたリスニングの学習法や神田君がどのように勉強してきたかを聞きたいと思ってます。
(神田):僕もリスニングは得意ではないので、今でも勉強しています。そもそも神村さんや僕みたいな非ネイティブスピーカーにとっては、英語力を維持するにも継続的な学びが大事ですよね。ネイティブや帰国子女の人にとっては、元々英語で育ってきた分、わざわざ英語を勉強するという感覚が少なくとも僕らよりは薄いですよね。
(神村): たしかに、駐在時代の同僚で2人の日本人が居たけど、一人はインターナショナルスクール出身だったし、もう一人は帰国子女だったから、彼らはネイティブの方が話す内容も完全に理解していたと思うな。
(神田):僕も似た経験をしたことがあります。学生時代に海外留学していたのですが、同じ留学先にいた日本人学生の話す英語がネイティブレベルだったんです。別に彼女と英語で競っている訳じゃなかったのに、なぜか自分の中で劣等感というか、ある種の挫折感が芽生えたんですよね。
(神村):その気持ち、よく分かるなあ。自分のリスニング力への挫折感は当時からどうしようもない部分もあったからね。けど、駐在から日本に帰ってきて気づいたんだけど、英語のリスニングレベルって大きく三段階に分かれると思うんだ。一つ目が、オフィスや会議といったビジネスの場で英語が使えるか。二つ目が、英語のニュース(BBCやCNN)の内容を聴いて理解できるか。そして三つ目が一番難しいんだけど、TVのバラエティ番組や洋画を字幕なしで理解できるか。こう考えると、俺の今のレベルは丁度ビジネスとニュースレベルの中間ぐらいだなって思うな。正直、洋画やコメディを字幕なしで完璧に理解するのは相当難しいって悟ったのと、そのレベルにまで上達する必要性がそもそも無いんだよね。
(神田):そうですね。以前から不思議だと思うのが、洋画を字幕付きで見ると、途端にセリフが英語で聞き取れるようになるんですよ。でもこれは一種の錯覚で、映画は音声に加えて映像が伴うので、視覚で内容を理解してる部分が大きいのだと思います。実際、目を瞑ったら全然聞き取れなくなりますし(苦笑)
(神村):それ、全く同感だわ(笑) 皆、英語が分からないなら、分かったふりをせず正直に言うことが重要だと思うんだよね。日本語ですら、最近の若者言葉とか全然ついていけないくらいだから、英語が分からないことは全然恥ずかしくないんだよ。100%完璧に理解しなきゃって肩肘張らない程度が丁度良いんじゃないかな。ちなみに、神田くんはリスニングではどれくらいのレベルを目指しているの?
(神田):神村さんと同じくビジネスとニュースの中間ぐらいです。まずはビジネスシーンで使えるようになることが最優先なので。今では帰国子女並の綺麗な発音を目指すよりも、きちんと相手とのコミュニケーションツールとして使いこなせているかを従事しています。
(神村):神田君も僕と同じレベル感でちょっと安心したよ(笑)
色々試してみたけれど、、
(神村): ここからは、お互いがやって良かったことや挫折した経験なども含め、色々と紹介したいと思います。まず聞きたいんだけど、幼い子供が自然に言葉を覚えるプロセスと、大人が言語を学ぶプロセスって違うと思うんだけど、神田君はどう思う?
(神田):たしか中学生ぐらいの頃、「聞き流すだけで英語上達」みたいな、ひたすらCDで英語を聞き流すだけの教材を使ったことがあるのですが、全然長続きしませんでしたし、あまり活きなかった記憶があります。
(神村):その類の教材は今でも結構見かけるけど、個人的には中々上達できないんじゃないかなと思います。単に英語の音声を流しているだけでは、言葉として理解できないと思うんですよ。僕が大学3年生ぐらいの頃から社会人1年目にかけて使ってた「ヒアリングマラソン」って教材があるんだけど、神田君は知ってる?
(神田):知っています。教材は今でも購入できますよね。
(神村):当時はまだカセットテープを使ってたんだけど、毎月送られてる教材を年間で1,000時間ひたすら聴くことを目標にしているんだ。ざっと毎日3時間やる計算だね。けど、これが続かなくてさ、、、「ヒアリングマラソン」は単に聞き流すだけじゃなく、①まず音声だけで一度聴く、②テキストを黙読して意味を理解する、③テキストを目で追いながら再度音声を聴く、④音声を聴きながらテキストを音読する、このプロセスを繰り返すことが大切らしいんだけど、結局2か月くらいで挫折したんだよ。封を切らないままのテープが山積みされていったんだよな。。。。苦笑
神田くんはどうやって勉強した?
(神田):僕は基本的に飽き性なので、とにかく継続できることを最優先にして、趣味を英語で触れる時間を意図的に増やしました。例えば、好きな海外サッカー選手の英語インタビューをネットで探すと、選手の発言も原文が載ってたりするので、それを YouTubeで何回も聴いて真似てみました。他には王道手段ですが、好きな洋楽(当時テイラースウィフトやOne Directionが好きでした)の歌の歌詞をきちんと理解して、彼らの発音を真似してみる所から始めました。
(神村):なるほど。リスニングってただ聴くだけよりも、真似をする方が速く上達するのかもね。僕も有名人のスピーチ集を聴く勉強法を取り入れたんだけど、以前紹介したキング牧師のスピーチやケネディ大統領の就任演説を原文で読んで、実際に自分で演じてみると結果的にリスニング力が向上したんだよね。
(神田):おそらく自分で話す声を耳にして、初めて脳内でリンクして腑に落ちる部分があるんでしょうね。他者のスピーチに合わせて自分も一緒に話すことをシャドーイングと言いますよね。よくスピーキングの主要な勉強法として紹介されますが、僕はリスニングの勉強法でも相当活きたなって実感があります。
(神村):まさにシャドーウィングも自分で話すことが前提にあるから、究極的には”聴く”と”話す”って循環しているのかもしれない。そこに英語上達のカギというか、ヒントが隠されているかもね。
2ndランゲージ同士の英語
(神村):もう少し視点を広げて2ndランゲージ同士の英語について話したいと思う。英語を学ぶ時って、ネイティブ発音(特にアメリカ・イギリス)が中心になってくるじゃない。でも、ビジネスや実生活で使う時って、非ネイティブ同士で英語を使う場面って結構あると思うんだ。そもそもアメリカ国内ですら、ロサンゼルス(西海岸)とニューヨーク(東海岸)で話し方から全く違うからね。例えば東海岸が舞台の名作ロッキーだって発音が独特だなと感じるよ。
(神田):たしかに最近、西海岸と東海岸が舞台の異なる刑事ドラマをNetflixで観たのですが、それぞれ発音が結構違うのにビックリしました。個人的には西海岸の方が発音が聞き取りやすかったですね。
(神村):僕も西海岸の発音の方が聞き取りやすいんだよね。地域に限らず、キング牧師の英語も独特なアクセントを感じたりもする。日本語にも関西弁や博多弁があるように、英語も色んな発音に触れて勉強すると自分が使う英語にも幅が出ると思うんだよね。
(神田):もはや英語は世界中で話されているだけに、英語における標準語って無くなりつつあるのかなとも思います。
(神村):唯一挙げるとすれば、 BBC や CNN みたいな公共放送は日本の NHK みたいに標準的な話し方に統一されているのかもね。でもそれが分かったからといって、英語をマスターしたとは限らないんだよね。
(神田):そうですね。そういえば、神村さんは APU(立命館アジア太平洋大学) での講義でアジア各国の留学生たちと英語でコミュニケーションをとる機会があったと伺いましたが、その時はいかがでしたか?
(神村):講義では、とても貴重な経験をさせてもらったんだ。僕が英語で講義すること自体は特に問題なく終われたんだけど、一通り講義が終わった後に学生から質問が飛んで来る時が大変でさ。というのも、シンガポールやインド、韓国からの留学生たちの英語は本当にバラバラなんだよね。質問の意味がよくわからいことがたくさんあって・・・・
さらに困ったのは、僕が質問を理解できない理由が、①彼らの話す言葉自体が分からない(語彙力の問題)時と、②言葉自体の意味は分かっても質問の意図が分からない時が混在していたからなんだよね。その後、講義を主催する教授に「学生たちの特にアジアからの留学生の質問が分からないんです。」と相談したら、その教授も「僕もわからない時あるよ・・・」 って言ってくれたたんだよ。学生の質問が理解できなかったら「もう少し具体的に話してみてください」とか「その言葉の意味は何ですか?」と聞き返せば良いと学びました。僕はてっきり質問されたらすぐに回答しないといけないって思い込んでたから、内心ホッとしたよ。
(神田):それはまた貴重な体験ですね。アジア人同士と会話する際は お互い2ndランゲージで話しているという共通認識を持てるかで、だいぶ変わってくるような気がしました。
まとめ:"習うより慣れよ"の精神で
(神田): 先週に引き続き、今週も英語のリスニングに特化しながら、互いのリスニング学習法などについて触れてきました。
(神村):改めて思い返すと、僕は愛知県出身だけど、学生時代は関西に居たし、Jクラブでは大分と山形で働く機会に恵まれた。その都度、各地の方言に触れてきたけど、今だに東北地方の方言は慣れないし、正直全然わからない時もある。でも重要なのは、分からない時に分からないって素直に言える勇気を持つことじゃないかな。特に方言や国ごとの訛りは、習うより慣れろの精神で割り切った方が良い場合もきっとあるよね。
(神田):そうですね。あとは極端かもしれませんが、読者の中で本格的に通訳者を目指す方は少ないと思うので、まずは各々の目指すレベルに合わせた学習法を自分で確立することが大切ですね。
(神村):いつもまとめてくれてありがとう! また次回以降もよろしく!
(文責:神田)