市販薬依存の話

何度か転院したり入院したりする度に病名が変わってきた私ですが(これは精神科あるあるかと思います)、今のところ唯一はっきりと診断されているのが「薬物依存」です。
薬物と言っても色々あり、私が依存しているのは法に触れるものではなく、ドラッグストアで普通に誰でも購入できる風邪薬などです。
ざっくり言うと、市販薬の過剰服薬をやめられないでいるということです。
というわけなので、違法薬物の依存と区別するために、診断書などでは「市販薬依存」と書かれることもあります。

当然、用法用量を守って飲むぶんには安全だから市販されているのですが、決められた量よりも多く飲むことによって、違法薬物と似たような作用が出るものがあります。
法には触れませんが、立派に依存と言えるそうです。
最近はわりと有名になり、以前よりも問題視されているようですね。
規制もじわじわ強くなり、ドラッグストアで「1人1箱まで」なんて注意書きも増えてきました。


違法薬物に様々な種類や使い方があるように、依存する市販薬の種類も、どんな風に用法用量を守らず使うのかも、そして依存のきっかけややめられない理由も人それぞれです。
私は数種類の市販薬を、多いときは毎日合計100錠程度飲みます。私より多い人も少ない人ももちろんいます。
多ければ多いほど体に悪いのは当然ですが、少ないから大丈夫というのは違います。
薬の強さ、体との相性による作用の違いも色々あるからです。
単純に錠剤の数だけで危険度や依存度を測ることはできないそうです。

依存のきっかけはツイッターでした。
いや、知識は元々それなりにあったのです。
何という名前の薬をODすればどんな効果が得られるのか、体にはどんな悪影響が出るのか、という知識はそこそこありました。
ただ根本的・致命的な勘違いとして、「ODによって私が望む効果を得られる薬は市販されておらず、全て病院でしかもらえない処方薬である」と思い込んでいたのです。
ところがどっこい、2017年の秋も深まった頃、ツイッターで「ドラッグストアで○○買ってきた。今から飲む」みたいな投稿を目にしました。

普通に買えると知ってから、あっという間に抜け出せなくなりました。
「深刻な依存をしたくなければ、週に1度、20錠程度にとどめておくべき」というのも知ってはいたものの、
週に1度が2度、1日おき、毎日。
1日に1回が2回、3回、3時間おき、2時間おき。
20錠が30錠、40錠、50錠。
当時は働いていたのですが、元々抑うつが酷かったこともあり、「市販薬で気分を上げなければ働けない」という状況に陥るのに3ヶ月もかかりませんでした。
勤務時間だろうが構わず、トイレでじゃらじゃら飲んでいました。

それが原因で精神科に入院することになり、仕事は辞めざるを得ませんでした。
2018年、年明けすぐのことです。


痛い目を見たのでODをやめる、なんてことにはなりませんでした。
今でもやめられていません。
「どうしてこんなこと始めてしまったんだろう、やめなくちゃ」と泣く日もあれば、「法律を破ってるわけじゃないんだから、やめる必要なくない?」と開き直る日もあります。


気分もやる気も集中力も一時的に上がりますが、体にはもちろん悪いです。
胃と歯は常に痛いし、腸の動きが止まるらしく1週間ぐらいの便秘は当たり前。
薬なので当然、時間が経てば効果は切れます。
そのときのイライラ、気分の落ち込み、焦燥感もなかなかのものです。
それが嫌で、効果が切れそうになると追加追加で飲むことになり、耐性も容赦なくついてくるのでどんどん量が増えます。


さすがに違法薬物の常用とは比べ物にならないと思いますが、お財布にも結構ダメージがあります。
飲まない時期は全くと言っていいほど飲まないのでほぼゼロ円ですが、ばかすか飲む時期は毎月2万円ぐらい飛びます。
私は喫煙者でもありますがヘビースモーカーではないので、タバコ代より市販薬代のほうが多い月がほとんどです。


いつかやめられる日は来るのでしょうか。
OD無しで、しらふで日々を過ごせる日は来るのでしょうか。
本当にやめたいのか、やめたって幸せになれるわけじゃない、それなら市販薬にどっぷり浸かったまま体を壊して死んでしまったほうがいいんじゃないのか、と、諦めモードに入って久しい私です。

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