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JICA横浜リニューアルの壁画について
2021年6月、JICA横浜リニューアルに際し、ぬり絵「日系移民の歩み」(8.5×2.5m)を制作しました。日系移民がたどった150年の歴史を主に北米から南米を中心に一枚に収めています。
今回の制作にあたって、日系移民について調べていくと、想像以上に過酷だったことが分かりました。「150年前の外国での不慣れな土地、言葉も文化も気候も違う場所でのゼロからの生活」です。スムーズにいくわけがありません。
開墾をしている様子です。背丈ほどあるのこぎりで木を切ったり、熊をよけたりしています。下は新たな土地を求めて山を越えている様子。
防寒具は蓑笠です。
その後、地域に根差した産業や商売を行うようになりました。また日本のお祭や盆正月の行事、神社なども心の支えになっていたそうです。
150年経った今では、数多くの日系人2世3世4世5世…が外国で生活をしています。祖国を離れて生きていくことは並大抵のことではありません。このぬり絵は横浜を海で囲んだこと、髷姿や蒸気船~現代にいたるまでの人や建物を描きました。また縮小したぬり絵を配布しているので、自由に持ち帰ってください。
こういうものを制作する際考えるのは「入口は広く中は深く」です。文章の上手い人は、やさしい言葉で難しいことを書くというのに似ていると思います。
大きい!なんか楽しい!ぬり絵しよう!写真とろ! と何でもいいのでまずは足を運んでくれたら幸いです。そこから自分の絵を入口にして日系移民について興味を持ち、一人でも力になってくれるのを願っています。
ちなみに。
このぬり絵は高い部分が塗りにくかったり、ホワイトボード素材なので自由に塗ったり消したりことができます。言い換えると、完成はしません。日系の歩みを調べて、現在の我々には分からない手の届かないことがあるのを感じたからです。全部塗って「完成」で終わらせるのに違和感を感じました。
・ぼくが書いたもの一覧
二世ウィーク、全米日系人博物館、ワイン樽太鼓、ローズフェスティバルの野菜山車、写真花嫁、バンクーバー朝日軍、鉄道敷設、相撲、日墨会館、農業従事者、LARA物資、シティオブトウキョウ号、ホレホレ節、マキキ聖城キリスト教会、ハレの食事、お祭、漁業、鶴見南米タウン、移住ポスター、真珠採取、笠戸丸、さくら丸、日秘文化会館、イグアス移住地、お店、コーヒーやジュート栽培、東洋街、アリアンサ移住地など。
JICA横浜には、他にも作品がありますので、ご覧ください!
・大岩オスカール(ブラジル、アーティスト、日系ブラジル二世)
・James Kudo(ブラジル、アーティスト、日系ブラジル二世)
・藤浩志(日本、アーティスト、青年海外協力隊OB)
・dot architects(日本、建築家)
・リニューアル・ディレクション:長田哲征(offsociety inc.)
官と民、アートがうまく融合したなと思います。市役所の一角のような展示が見事に生まれ変わりました。国の施設を大胆にリニューアルすることは難しい。所長さんをはじめ職員の方とディレクションを手掛けた長田さんのおかげだと思います。
最後に。
3階の食堂では世界の料理が食べられます! 横浜の港やベイブリッジも見える穴場でおススメです。