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同性同士の恋愛モノを描いた作品を親に見せる勇気
放送前から母親と楽しみにしていたドラマがある。
私も母も好きな俳優が出演するため、一緒に観よう!と話していた恋愛もののドラマだった。
私がそれを母と観たいと思っていたのは、単純にドラマの面白さを共有したかったからだけではない。
私は同性も好きになる。家族は誰も知らない。私がこっそりレズビアンと連絡を取っていることも、家にまで呼んだことのある親友に5年間片想いしていたことも。
でも、いつかは理解してほしい。知ってほしい。
でも家族が理解のない価値観だったら、私がパンセクシャルだということは言わない方がいい。どっちなんだろう。知りたかった。
私は原作の漫画も好んで読んでいたので、先の展開も知っているし、その漫画が所謂腐女子界隈で好まれるようなBLモノとは少し違うということも知っている。
主人公達は元々同性愛者ではない。彼らは性別を越えて、人柄で、その人の人となりで、恋に落ちる。なぜ好きになったのか?彼らだから、という説明が一番しっくりくるような彼らの関係性が自分の恋愛観と非常に重なった。すごく読んでいて救われた、と思った大切な作品だった。
それを母に観てほしい。観てもらえば良さが分かる。そう思った。
何話か見たあたりで、コメディちっくだった展開から本人たちの恋の矢印が変わっていき物語の核心をつく場面になると、母は「これ男同士のやつだったの?!」とひどく驚いていた。
もう最新話が放送されたのに母は録画したものを見ようとしない。私も前までは母が見ていなかったら「一緒に観よう!」と誘っていたが、今は拒否されることが怖くて誘えなくなった。
ただ溜まっている韓国ドラマの消費に必死なだけかもしれない。
でも同性同士の恋愛ドラマに対する興味がないからかもしれない。
答えを出すことに恐れている。それはドラマを母に拒否されると、自分が拒否されたような気がしてしまうからである。
ドラマに罪はない。あの作品が届けたいメッセージは私にとっての救いであり、素晴らしいものだと思うから。
最終話の放送後、母が「いいドラマだったね」なんて話してくれたら、私は自分のことを話そうと思っていた。
まだまだ先のことになりそうだけれど。