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成功する投資・アンティークコインの知識を深めよう!フランス編②

みなさんごきげんよう、アンティークコイン投資家の葉山満です。

昨日に引き続きフランスのコイン、歴史についてお伝えしていきたいと思います。

ナポレオン1世の5フラン銀貨

フランス革命によって王政は転覆し、市民の時代に突入します。第一共和政を挟み、ナポレオン1世(通称ナポレオン)の時代に突入します。

ブルボン王朝が倒れた後に、通貨の単位もエキュからフランに変わりました。ナポレオンが在位した1804年から1815年には、皇帝ナポレオンの肖像が刻まれた5フラン銀貨が発行されています。

ナポレオン1世 5フラン銀貨

ナポレオンの顔については、絵画などで見たことがある方も多いでしょう。コインの肖像も絵画のナポレオンとそっくりで、パッと見で同じ人物だと分かります。輪郭に特徴がありますよね。

ナポレオン1世

コインの肖像にはいくつかバージョンがあるのですが、月桂樹の冠を被っているタイプが特に人気です。高値で売れるコインを狙うなら、月桂樹があるかどうかは確認しておきたいポイントです。

ナポレオンは、革命後の混乱したフランスを統治し、周辺のヨーロッパ諸国までもを征服した彗星のごとく現れたカリスマです。どういった人物なのか、詳しく見ていきましょう。

ナポレオン1世はどんな人物?

ナポレオンは1769年にフランスのコルシカ島で生まれました。フランス革命の前の、ルイ16世が統治していた頃に生まれています。

フランスでは市民による革命が起こって、酷い王様から解放して市民の時代になるはずだったのですが、そう簡単に平和は訪れませんでした。市民革命が波及することを恐れた周囲の絶対王政の国々がフランスを攻めたり、国内でもクーデターが起こったりしたため、非常に不安定な政情だったのです。

そこに登場したのが、戦争の達人ナポレオンでした。オーストリア軍を破るなど他国の軍事干渉を止め、領土も広げたため、市民たちは英雄としてナポレオンを支持します。戦争やクーデターが続いていたので、強いリーダーによる安定した政権を求めていたという理由もあります。

ナポレオン②

1799年にナポレオンはクーデターによって統領政府を倒すと、新たな統領政府を立ち上げて第一統領の座に就きます。1804年には皇帝の地位に就き、英雄から皇帝という名の独裁者になりました。

出身地のコルシカ島はイタリア半島の西にあるフランス領のため、イタリア系の人が多く、パリの貴族から見るとかなりの田舎でした。独裁政治の良し悪しは置いておくとして、いわゆる田舎者だった少年が皇帝にまで上り詰めたなんて、ロマンがありますよね。ナポレオンの銀貨を手元に置いておけば、彼のカリスマ性や向上心をも身近に感じられると思います。

ナポレオン法典

ナポレオンの功績の中でも特に偉大で現代まで受け継がれているのが、「ナポレオン法典」です。これは法の前の平等、個人の自由、信仰の自由、私的財産は不可侵であることなどを定めた法典で、近代の民法典の先駆けとしてヨーロッパ各国の民法典の規範となりました。個人主義、自由主義は現代では当たり前ですが、明確に定められた起源はナポレオン法典です。

自由主義といっても現代よりは不自由そうな内容ではありますが、改正を加えてフランスの現行の民法典として存続しています。ナポレオンがいなかったら、現代の私たちが当たり前に感じている個人の自由も、違ったものになっていたかもしれません。

缶詰の生みの親はナポレオン

実は、私たちがよく食べている缶詰の起源となったのも、ナポレオンでした。

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彼は兵士たちを率いて遠征をしていましたが、長期間の保存ができるように燻製や酢漬けの食糧が主でした。食事が美味しくないと兵士たちの士気は上がらないので、ナポレオンは食糧を新鮮で美味しい状態のまま運べるようにしたい、と思ったのですね。

そこで保存食のアイディアを募集したところ、ニコラ・アペールという人物が瓶詰を提案しました。「殺菌した食べ物は真空詰めすれば長期保存できる」という現代の缶詰と同じ発想は、アペールが発見したのです。

瓶だと割れやすいため、後にイギリスのピーター・デュランドが容器に金属を使うことを考案し、缶詰になりました。缶詰の原型までナポレオンにつながっていたとは驚きますよね。

ナポレオン3世の100フラン金貨

フランス ナポレオン3世 100フラン金貨 1864年

ナポレオン1世の次は、ナポレオン3世について見ていきましょう。ナポレオン3世は、ナポレオン1世の甥に当たります。

ナポレオン1世が失脚するとブルボン王朝が盛り返してルイ18世が即位し、王政が復活します。その後1848年に二月革命が起こると再び共和政が始まるのですが、長続きしません。ルイ・ナポレオン(ナポレオン3世)はクーデターによって独裁政権を取り戻し、その後の国民投票で皇帝となった人物です。

アンティークコインにおいてナポレオン3世というと、「ナポレオン金貨」を思い出す方が非常に多いです。人物像の前に、ナポレオン金貨について詳しく見ていきましょう。

ナポレオン金貨とは?

ナポレオン金貨はナポレオンが統治した時代に発行された金貨のことですが、特にナポレオン3世の時代の金貨を指します。ヨーロッパの富裕層は資産を100フランのナポレオン金貨として保有していることが多く、資産防衛にも優れたコインです。

コインに刻まれたナポレオン3世の肖像は、月桂樹の冠を被っているデザインと被っていないデザインがあるのですが、もちろん被っている方が人気が高いです。冠があるコインは1861年から1870年までに発行されたもので、年によっては枚数が少なく、希少価値が高まっています。
(画像:左有冠・右無冠)

ナポレオン3世有冠無冠

少し前までは地金価格で買うこともできたのですが、最近は人気が出てきて高騰しつつあります。イギリスのコインの価格が高止まりしていることから、他のヨーロッパ諸国のコインにも光が当たり始めているという理由が挙げられるでしょう。

ナポレオン3世はどんな人物?

ナポレオン3世

ナポレオン1世という偉大な存在のためか、ナポレオン3世も戦争での勝利を期待されていました。そのためか、いくつものヨーロッパの戦争に介入しています。

最も有名なのは1853年から1856年のクリミア戦争でしょう。ロシアとオスマン帝国(現在のトルコ)との戦争ですが、イギリスとともにオスマン帝国側について参加しました。

この戦争の発端は、オスマン帝国に支配されていた民族の独立が起こったことです。そこにロシアやフランス、イギリスといったヨーロッパの列強が介入したため、実質はロシア対フランス・イギリスの戦争になりました。クリミア半島はヨーロッパの中心部からは離れたところにありますが、列強どうしの戦いになったのはこのような背景があるためです。

最終的にはロシアが敗北し、フランスやイギリスが懸念したロシアの東方への南下は食い止められました。フランスは、ナポレオン1世の没落以降はパッとしない存在だったのですが、クリミア戦争での勝利により、ヨーロッパの強国としての立場を回復することができました。

パリ大改造を行った皇帝

ヨーロッパはどこも街並みが美しいですが、花の都パリの美しさは圧倒的です。昔は不衛生な街だったのですが、こ改善するためにパリ大改造を指示したのが、ナポレオン3世です。

パリ昔

大改造の前の1850年、パリには100万人もの人口が集中しており、建物も乱立していました。無計画に建てられたため太陽の光が当たらず路地は暗く、しかも下水設備が整っていないためそこら中に汚水が流れている状態でした。コレラという病気も蔓延し、パリは完全にスラムだったのです。

市民からの要望もあり、ナポレオン3世はパリを管轄するセーヌ県知事にジョルジュ・ウジェーヌ・オスマンを抜擢し、パリ大改造を進めました。地価の下水道の整備やパリの中心から放射状に道路が延びる見通しの良い景観などを作り、現在のパリの原型が出来上がりました。

パリ今

規模の大きい改造だったため、さまざまな利害が対立したことは言わずもがなです。しかし、オスマン県知事のバックには皇帝ナポレオン3世がいましたし、強い権力の下で計画が実行されました。

第三共和政時代の5フラン銀貨

第三共和政フランス 1873 5フラン銀貨

最後に、第三共和政を解説しておきましょう。ナポレオン3世・4世による帝政の後、1870年から1940年までの政治を第三共和政と言います(憲法成立の1875年からとすることもある)。

普仏戦争によってナポレオン3世が退位し、ナポレオン4世が代わりに2日間だけ執務を執り行い、共和政に移行しました。しかし、王政復古を望む者や帝政の復活を望む者も多く、フランスの政情は中々安定しませんでした。

普仏戦争以降は、ドイツとの対立が明確になっていきます。第一次世界大戦、第二次世界大戦とドイツとは常に対立関係にあり、第二次世界大戦ではナチスによって侵攻されてしまいました。1940年6月にパリが陥落し、フランスは降伏。ファシズム体制を受け入れて第三共和政は終わることとなりました。

5フラン銀貨「セレス」

フランス・セレス像 5フラン銀貨

ブルボン王朝やナポレオン一族と違って目立った権力者がいない第三共和政ですが、今でも人気の高いコインがあります。そのうちの一つがセレスの5フラン銀貨です。

「セレス」とはローマ神話に登場する豊穣を司る女神の名前です。銀貨の表面には、麦のような植物でできた冠を被ったセレスの肖像が、裏面には5フランの額面とそれを囲むリースがデザインされています。

第二共和政時代にも同様のデザインの5フラン銀貨が発行されています。状態が良ければ、古い方が希少価値が高く評価されやすい傾向にありますが、女神のコインを集めているなら1つは持っておきたいデザインです。

まとめ

フランスのコインと背景の歴史について解説してきました。絶対王政、フランス革命、ナポレオンによる帝政など、フランスには激動の歴史がありました。

コインにはフランスを統治してきた人物の肖像が刻まれているので、コインをコレクションすることで歴史の教科書を作れると言っても過言ではないでしょう。手のひらサイズに収まるコインに詰まった歴史のロマンを感じてみてはいかがでしょうか。

みなさんにアンティークコインで幸あれ!

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